ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第953話 攻略の息抜きと攻略再開

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 今日は、この部屋の事でいろいろあったが、何とか作成は済んでいる。午前中は話し合いでつぶれたが、午後は各主張に分かれて自分たちの担当する階をしっかりと完成させている。

 俺は共有スペースになる1回を担当している。妻たちからの強い希望にてお風呂を完璧に仕上げている。後は掃除をしやすいように工夫した湯船と、滑り難さを重視した床に仕上げている。

 さすがにこの世界でシャワーという概念はないので、綺麗なお湯が流れる水路の近くに洗い場を設けて、桶ですくって体を洗う場所を作っている。

 ここで注目するのが、お風呂につかう水に関しては、一切の魔導具を使っていない事だ。3階上の森エリアにある川から水をひいている。階層を支えている柱の中を強引に魔力でくり貫き、上の階へとつなげたのだ。

 32階から30階までは直線でくり貫けたのだが、30階から29階までの柱が、マグマを通らない通路で移動させると2キロメートルも先にあり、その通路の下に穴をあけるのは苦労した。おかげで魔力回復ポーションを、吐きそうになるまで飲む事になったよ。

 それで完成した管の中に29階から、水を流してお風呂場まで繋げている。水の量はバルブで調整できるようにしているので止める事も可能だ!

 これだと水しか使えないので、熱を準備しなければならないが、この階には知っての通りマグマが存在する。ならこれを利用しないのはバカである。なので、アダマンタイト製のパイプを作った。

 結構な速さで水を流さないと熱湯になってしまう事が分かったので、熱源を通る距離を短くしたり、パイプの太さを調整してみたりして、最大毎分200リットルの適温のお湯を確保する事が出来た。

 全てダンジョンから生み出されてダンジョンに排水するので、勝手に処理してくれるようになっている。スライムのいらない、完璧な浄化装置(実際はちがうのだが)があるので何の問題も無かった。

 一応共有スペースでは、飲食もできるようにするのでキッチンなんかも準備している。そして、重要なのは、ここで働く人を守るために、スタッフオンリーのスペースと、冒険者がくるであろうスペースを繋ぐ扉は1ヵ所しかない。

 飲食の注文もお風呂の代金を受け取る場所も、全て間接的に行えるようになっている。クリエイトゴーレムを応用した受け渡しシステムを作り、世界最強と呼ばれている防弾ガラスをクリエイトゴーレムでゴーレム化し、さらにはSランクの魔核を複数組み込んで、構造強化と硬質化、自動修復機能をつけた。

「ん~、我ながら完璧な仕事ぶりだな! 安全確保のためのリビングアーマーも問題なし!」

 自画自賛をするくらいには完璧な仕事ができたと思う! 妻たちが呆れているくらいなので間違いないだろう! だから、やり過ぎ! みたいな目で見るなって! 調子に乗った事は謝るけどさ。だって魔力切れの気持ち悪さからのハイテンションで、やっちゃったんだからしょうがないでしょ!

 シルキーたちは、キッチンの事をほめてるんだから何も問題ないし!

 集中しすぎると採算度外視で暴走するのはいつもの事なので、すぐに妻たちの冷たい目は収まった。まぁ、趣味みたいなものだからしょうがないと分かってくれているあたり、本当に助かるんだよね。

 本当に暴走した時とかは止めてくれるし、今回に関しては営業するか未定だけど、素材買取りもできるし、武器の整備も消耗品の補給もできるような作りにしているので、一般人でも安全確保がきちんとできるように配慮したのだ!

 問題は、その人材をどうやってここまで連れてくるかだけどね。やっぱり水の確保みたいに、強引にダンジョンの外まで通路を作るのが最善か? 地表やダンジョンのある場所は、魔力を盛大に使うけど、ダンジョンの枠から離れると大した消費も無く通路は造れるからな。

 そんなこんなで1日は部屋の改装? とでもいうべき行動で終わった。色々働いたり体を動かしたりしたが、ダンジョンアタックの合間とは思えない充実っぷりだったな。

 その日の夜は、大部屋の2階にベッドを出して、映画の鑑賞会をしてから眠りについた。

 次の日、準備を終えて入口に集まっている。

「みなさん。今日はこの先を探索しますよ。39階までは同じようなフロアが続きますので、次は36階にあると思われるこの部屋まで一気に降ります。到着が夜中になるかもしれませんが、無駄に休憩はできないと思ってください!」

 一昨日と同じペースで進めたとしても16時間近くかかる計算だ。今が7時ちょいと過ぎた所なので、到着は23時を過ぎる予想になっている。今日は結構長丁場になるぞ。

「はぃ! 昨日ご主人様がやったみたいに、ダンジョンに穴をあけていけば楽じゃないんですか?」

 ネルが元気よく手をあげてピーチに質問した。俺に説明をまかせるという視線をされたので、俺が前に出て答える事にした。

「ネル、ちょっとマップ先生を見てごらん。この階も上の階も全部広い部屋みたいになってるよね? でも、何処に柱がある大きさはどのくらい、マグマの大体の位置っていうのは、降りてきてる時に見える範囲で書き込んだのを覚えてるかな? それがあったから上に掘ることができたんだよ」

 一呼吸おいて、

「道や柱の下にマグマが流れている可能性もあったから、先に細い穴をいくつかあけてマグマが流れてこない事確認してから、大きい穴を掘ったからね。下に行く場合は、先がどうなっているか分からない状態で、穴をあけないといけないからリスクが高いんだよ。普通に進む方が結局は楽だったりするんだよ」

 それを聞いたネルだけじゃなく、年少組のメンバーはみんなで「ふ~ん」といった感じだった。あまりよくわかっていないようだ。やってやれない事はないけど、穴をあけて下がマグマだったりしたら降りるのも面倒だしね。

 最後の確認が終わり、ピーチの合図で外に出る。

 相変わらず、視界情報から得られるのは赤いマグマの熱そうなモノだった。

 何だろうな。一昨日と景色は変わっていないはずなのに、ちょっと違和感がある。皆も首をかしげているがよくわかっていない様子。気付いた段階で声をかけていこうという話になり、32階を進んでいく。

 敵は変わっていない様子。階毎に魔物を変える事は簡単だが、同じ階の魔物を入れ替えるのは結構DPを消費するギミックを使わないといけないからな。さすがにそんな嫌らしいギミックは準備されていないようだ。

 そして、やっぱりタコの魔物は面倒だ。特に細い道の時に出てくると、わたっている途中は壁に守られているけど、渡った後や渡る前の場所では人が集まっているので、結構面倒な攻撃を仕掛けてきたりする。一番びっくりしたのは、マグマの中から半分溶けたような大きな岩を投げられた時だろう。

 スキルや魔法を使えば問題なく防げるのだが、要はびっくりしたのだ。焦って過剰に反応してしまった俺が言うのだから間違いない! 慌てたせいで、投げられた岩の3倍はありそうな氷の塊をぶつけて、止めてしまった位だからな!

 ぶつけて止めたまでは良かったのだが、その後はぶつかった衝撃で砕けた氷が溶岩の中に落ちて、水蒸気爆発してしまったんだよね。二次被害でマグマが大量に降ってきた時の方が、命の危険を感じだけど、ライムがしっかりと壁を作ってくれたので、被害なく進む事が出来ている。
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