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第950話 おかしな生態
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バジリスク……小説の中では最強の一角に名を連ねることもある魔物だが、この世界では大した事はなかった。
いや、強い事は強いのだが、何というか接近戦をしなければかなりの雑魚だった。代名詞の強力な毒は、体の外に出てすぐに気化するのだが、その気化した毒が効果を発揮できる範囲が、やつの口からおよそ3メートル、それならその外から攻撃すればいいだけの話だった。
それにこの階層のせいなのか、バジリスクの特性なのか分からないが、やっぱりこいつも水や氷魔法に弱かったのだ。なので、効果が発揮する空間が狭いとはいえ、無駄に気化する毒を拡散させないために、水魔法で毒を吸収させながら攻撃をしている。
「ん~見掛け倒しというか名前倒れ? とでも言えばいいのかな。鉄とかを溶かす毒を使うと言われているバジリスクが、こんな一方的に倒されるなんてな、何か複雑な気分だ。後、こいつ移動遅すぎないか?」
シュウの言っている通り、バジリスクの移動速度が亀か! というほど遅かったのだ。遠距離攻撃のいい的だった。遭遇しても余裕で逃げ切れる、そんなタイプの魔物だったのだ。
そして一番笑えたのが、バジリスクと一緒に出てきたロックリザードが擬態しているにもかかわらず、バジリスクが毒を使ったため、ロック……岩が溶けてしまい大変な事になっていた。しばらく様子を見ていたら、ドロップ品に変わったので、仲間に殺された哀れなトカゲと笑ってしまった。
順調に魔物が強くなってきていて、一撃で倒せない魔物も増えてきた。一撃でほぼ瀕死になるので、攻撃回数が多少増えるだけで大した手間ではないのだけどね。
25階までは魔物に変化は無かったが、21階から降りるにしたがって、だんだんダンジョン内の温度が高くなっているようだ。
26階になって少し雰囲気が変わった。上の階と同じで洞窟型のダンジョンなのだが、所々に赤い模様。人間の血管みたいなのがダンジョンの床や壁、天井に見かけるようになったのだ。若干気持ち悪いが、触っても周りと温度が違うわけでもなく、ただ模様が浮き上がっているだけなのだ。
それに26階からは新しい魔物が追加された。カエルとカメレオンだ。
カエルは他の魔物と違って、カラーバリエーションが多かった。赤・青・黄色・緑・ピンク……どこか戦隊ものを彷彿とさせる色使いだった。
赤はそのまま火を使った攻撃をしてきた。青は水属性攻撃かと思ったが、近接戦を仕掛けてくる変わり種だった。黄色は麻痺、緑は毒。そしてピンクは応援なのか、攻撃をせずにずっとゲコゲコ鳴いているだけだった。
意味が分からない事も多かったが、基本的には口から吐いたり、舌を伸ばして攻撃が基本だったな。あ、青だけは奇妙な動きをして、蹴りだったり殴ってきたりと奇妙な事をしてきたが、やっぱ水や氷の攻撃に弱かった。
ここまで弱点属性が有効な敵を今まで倒した覚えがなかったので、こんな簡単に倒せていいのかと思うが、ダンジョンの敵について考察しても意味がないので放置しながら進んでいる。
それにしてもダンジョンの範囲がかなり広くなっている。25階を超えた所で、ダンジョンの1階毎の広さが5キロメートルを超えていたのだ。しかも迷路みたいなダンジョンであるため、下の階に移動するのにかなりの時間がかかっている。
現在、28階まで到達しているが、21階からここに来るまでに2日もかかっていた。敵のバリエーションが増えてLvも高くなているから手間がかかる。魔力回復薬を飲みながら強引に魔法で突破している。
ダンジョンによっては、敵を避けながら進んでいくのがセオリーの所もあるが、このダンジョンは戦闘不可避が多いので、どうしても戦闘の回数が増えてしまう傾向にあるようだ。
俺たちは、サーチアンドデストロイが普通だから変わらないのだが、ダンジョンを進んでいる時にミリーから聞いた話では、「毎回、遭遇した敵すべてを殲滅するのは私たちくらいだわ」と言っていた。
29階に入って更に状況が変化してきた。壁や天井の赤い模様は色が濃くなっているが、床に関しては、一部剥き出しになっているといってもいいのだろうか? 所々でマグマが噴き出していた。
「これはヤバいな。さすがにこのマグマを浴びれば肉が焼かれるな。前に同じタイプのダンジョンを攻略した時の方法を使った方がいいかな?」
以前に攻略した時にあったマグマが流れているダンジョンで、移動するのが危険だという事もあり、階層を魔法で冷やしながら進んだ方法をとるか? とピーチに聞いてみたが、
「確かにあの力業ができる私たちならいいと思いますが、今回は普通に進みましょう。ご主人様の探している朱雀が何処にいるか分からない以上、無差別な攻撃は避けた方がいいと思います。話を聞く限りでは、朱雀はこのダンジョンの魔物と同じで水や氷属性に弱そうなので、最悪殺してしまうかもしれませんよ?」
そう言われて、朱雀が階層を冷やす魔法に巻き込まれて死んでしまう可能性がある事に気付いた。進む事ばかりを考えて、朱雀の事を忘れていた。
魔物のLvも120台を超えてきて、順調に強くなっている。
「マップ先生でこの階がほぼ1部屋だという事は分かってたけど、こう来るか」
30階に入って、このダンジョンに入って最も大きな変化だと思う。見渡す限りマグマが流れており、どういう原理で保たれているか分からない、マグマの上に出来た通路。そして、天井から流れ落ちるマグマ。一気にダンジョンの中の環境が変わった。
ダンジョンの階層自体が殺意を持っている作りになっているのだ。そして魔物の種類も変わってきている。訳が分からないが、マグマの中を泳ぐ魚やサメがいるし、おそらくタコの足だと思われるものがマグマから出ていたり、マグマの流れていない天井にコウモリのような奴がぶら下がっていたりしている。
天井のコウモリ、口から赤い液体が垂れてるぞ。それにしても、マグマの中を泳ぐ魚……どんな体をしてるんだか? エラ呼吸なんてできるわけないだろうし、そもそもどうやってあの高温に耐えてるんだ? 特性と言っても限度がないか?
いや、強い事は強いのだが、何というか接近戦をしなければかなりの雑魚だった。代名詞の強力な毒は、体の外に出てすぐに気化するのだが、その気化した毒が効果を発揮できる範囲が、やつの口からおよそ3メートル、それならその外から攻撃すればいいだけの話だった。
それにこの階層のせいなのか、バジリスクの特性なのか分からないが、やっぱりこいつも水や氷魔法に弱かったのだ。なので、効果が発揮する空間が狭いとはいえ、無駄に気化する毒を拡散させないために、水魔法で毒を吸収させながら攻撃をしている。
「ん~見掛け倒しというか名前倒れ? とでも言えばいいのかな。鉄とかを溶かす毒を使うと言われているバジリスクが、こんな一方的に倒されるなんてな、何か複雑な気分だ。後、こいつ移動遅すぎないか?」
シュウの言っている通り、バジリスクの移動速度が亀か! というほど遅かったのだ。遠距離攻撃のいい的だった。遭遇しても余裕で逃げ切れる、そんなタイプの魔物だったのだ。
そして一番笑えたのが、バジリスクと一緒に出てきたロックリザードが擬態しているにもかかわらず、バジリスクが毒を使ったため、ロック……岩が溶けてしまい大変な事になっていた。しばらく様子を見ていたら、ドロップ品に変わったので、仲間に殺された哀れなトカゲと笑ってしまった。
順調に魔物が強くなってきていて、一撃で倒せない魔物も増えてきた。一撃でほぼ瀕死になるので、攻撃回数が多少増えるだけで大した手間ではないのだけどね。
25階までは魔物に変化は無かったが、21階から降りるにしたがって、だんだんダンジョン内の温度が高くなっているようだ。
26階になって少し雰囲気が変わった。上の階と同じで洞窟型のダンジョンなのだが、所々に赤い模様。人間の血管みたいなのがダンジョンの床や壁、天井に見かけるようになったのだ。若干気持ち悪いが、触っても周りと温度が違うわけでもなく、ただ模様が浮き上がっているだけなのだ。
それに26階からは新しい魔物が追加された。カエルとカメレオンだ。
カエルは他の魔物と違って、カラーバリエーションが多かった。赤・青・黄色・緑・ピンク……どこか戦隊ものを彷彿とさせる色使いだった。
赤はそのまま火を使った攻撃をしてきた。青は水属性攻撃かと思ったが、近接戦を仕掛けてくる変わり種だった。黄色は麻痺、緑は毒。そしてピンクは応援なのか、攻撃をせずにずっとゲコゲコ鳴いているだけだった。
意味が分からない事も多かったが、基本的には口から吐いたり、舌を伸ばして攻撃が基本だったな。あ、青だけは奇妙な動きをして、蹴りだったり殴ってきたりと奇妙な事をしてきたが、やっぱ水や氷の攻撃に弱かった。
ここまで弱点属性が有効な敵を今まで倒した覚えがなかったので、こんな簡単に倒せていいのかと思うが、ダンジョンの敵について考察しても意味がないので放置しながら進んでいる。
それにしてもダンジョンの範囲がかなり広くなっている。25階を超えた所で、ダンジョンの1階毎の広さが5キロメートルを超えていたのだ。しかも迷路みたいなダンジョンであるため、下の階に移動するのにかなりの時間がかかっている。
現在、28階まで到達しているが、21階からここに来るまでに2日もかかっていた。敵のバリエーションが増えてLvも高くなているから手間がかかる。魔力回復薬を飲みながら強引に魔法で突破している。
ダンジョンによっては、敵を避けながら進んでいくのがセオリーの所もあるが、このダンジョンは戦闘不可避が多いので、どうしても戦闘の回数が増えてしまう傾向にあるようだ。
俺たちは、サーチアンドデストロイが普通だから変わらないのだが、ダンジョンを進んでいる時にミリーから聞いた話では、「毎回、遭遇した敵すべてを殲滅するのは私たちくらいだわ」と言っていた。
29階に入って更に状況が変化してきた。壁や天井の赤い模様は色が濃くなっているが、床に関しては、一部剥き出しになっているといってもいいのだろうか? 所々でマグマが噴き出していた。
「これはヤバいな。さすがにこのマグマを浴びれば肉が焼かれるな。前に同じタイプのダンジョンを攻略した時の方法を使った方がいいかな?」
以前に攻略した時にあったマグマが流れているダンジョンで、移動するのが危険だという事もあり、階層を魔法で冷やしながら進んだ方法をとるか? とピーチに聞いてみたが、
「確かにあの力業ができる私たちならいいと思いますが、今回は普通に進みましょう。ご主人様の探している朱雀が何処にいるか分からない以上、無差別な攻撃は避けた方がいいと思います。話を聞く限りでは、朱雀はこのダンジョンの魔物と同じで水や氷属性に弱そうなので、最悪殺してしまうかもしれませんよ?」
そう言われて、朱雀が階層を冷やす魔法に巻き込まれて死んでしまう可能性がある事に気付いた。進む事ばかりを考えて、朱雀の事を忘れていた。
魔物のLvも120台を超えてきて、順調に強くなっている。
「マップ先生でこの階がほぼ1部屋だという事は分かってたけど、こう来るか」
30階に入って、このダンジョンに入って最も大きな変化だと思う。見渡す限りマグマが流れており、どういう原理で保たれているか分からない、マグマの上に出来た通路。そして、天井から流れ落ちるマグマ。一気にダンジョンの中の環境が変わった。
ダンジョンの階層自体が殺意を持っている作りになっているのだ。そして魔物の種類も変わってきている。訳が分からないが、マグマの中を泳ぐ魚やサメがいるし、おそらくタコの足だと思われるものがマグマから出ていたり、マグマの流れていない天井にコウモリのような奴がぶら下がっていたりしている。
天井のコウモリ、口から赤い液体が垂れてるぞ。それにしても、マグマの中を泳ぐ魚……どんな体をしてるんだか? エラ呼吸なんてできるわけないだろうし、そもそもどうやってあの高温に耐えてるんだ? 特性と言っても限度がないか?
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