ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
945 / 2,518

第945話 弓の改造?

しおりを挟む
 10階に現れた魔物は、俺たちに近付いてくるわけでもなく、ずっとこっちを見ているような感じだ。

「メアリー、あの魔物が何か見えるか?」

 視力がよく、スキルで遠くの物も見る事ができるメアリーに何がいるのか聞いてみた。

「えっと、オークが20体ほどいますね。見た感じ、上位種のジェネラルが4、強化種のオークが16ですね。今までと違うのは、間に合わせの武器ではなく、きちんとした装備を身にまとっていますね。

 特にジェネラルは、フルプレートを着てタワーシールドに人間のサイズで言うと、両手斧くらいありそうな大きな斧を片手で持ってます」

 フルプレートなのにジェネラルだってわかるのか? さすがにまだ鑑定のできる距離じゃないだろ?

「ご主人様が何考えてるか当てて見せましょう! 何でジェネラルだって分かったのかって顔をしていますよ! よく考えてください。オークでも強化種や上位種では、体の大きさが違うんですよ? それならだいたいは大きさで判断できるじゃないですか!」

 なるほど、あそこまで距離があるのに、そこまで正確に体の大きさが分かるのか? 俺が必死に目を凝らしても、米粒より小さくて体のサイズなんてわからねえよ!

「オークの上位種に率いられた強化種ですか、どういう風に戦闘をするのか気になりますが、この階層では大した経験も積めないでしょうから、さっさと倒してしまいましょうか?」

 内容を聞いていると、ピーチかと思ったが声がシュリだったので、ちょっとびっくりした。

「そうですね。シュリの言う通りだと私も思います。ご主人様が何か試したい事があれば、倒してみますか?」

 そう言われて、何か試したい事がないか考えてみた。距離が遠い、狙撃? でも銃じゃ決定的なダメージは、与えられるか微妙だよな~弓? そんな距離届くのか? って、高低差はあったけど500メートル以上先から、俺って狙撃されたんじゃなかったっけ?

 でも俺じゃ敵に狙いが定まんないしな。的が大きくても、遠すぎて良く見えねえんだよ! それに、山なりに軌道を描く矢を、正確に当てる自信なんてないからな。

 ん? スコープを使えば的に関しては問題ないな。矢の軌道は、前に造った銃、ピースの応用で風魔法を付与して、ほぼ直線に飛ぶようにすればいけないか?

「ピーチ、ちょっと試したい事があるから、待ってもらっていいか?」

 思いついた事を実行するために、シューティングスターを取り出して矢をつがえる方と逆側の手の上にスコープを取り付ける。

 あ・・・スナイパーライフルみたいに、スコープに目をつけられないジャン! って思ったけど、デジタルカメラの機能を分離させたような道具を発見したので、手の位置にカメラ、目の位置には眼鏡に付けられるようにして、リアルタイムの映像が見えるようにしてみた。

 カメラが手の動きに連動しているため、顔や体を動かさなくても映像が動くため、少し酔いそうだった。慣れるまでには時間がかかりそうだ。

 矢に風魔法を付与するのは、クリエイトゴーレムでアタッチメントを作る事で解決した。どの程度の魔石でまっすぐ飛ばせるのか分からなかったので、Sランクの魔石を使って魔核を作った。有り余る魔力を、全部風魔法を付与するために使う様に調整した。

 ここまで約1時間。スコープ、カメラの取り付けやアタッチメントの作成等は、クリエイトゴーレムで問題なくできたし、映像を取り込むカメラや眼鏡に着ける映像を移す道具は、召喚する際のオプションで強引にどうにかなったので、この程度の時間で済んでいる。

「よっし! 完成! ちょっと試射したいけど、壁に向かって撃てばいいか」

 カメラの取り込んだ映像が見える。中心には小さな赤い点がついている。一応中心となる目印のようなものだ。そこに飛んでいくかは分からないので、一先ずこれを元に撃ってみよう。

 おそらく200メートルは離れている壁に向かって弓を構える。目印になりそうな物を見つけて撃つ!

「うーん、思ったよりそれなかったけど1メートルも上に刺さってるな。そもそも細かく揺れるせいで、遠くなればなるほど画面が激しく動くな。クロスボウみたいに、それだ!」

 弓をクロスボウに使うなど本来はあり得ないが、弓の性能自体はピカ一なので、問題ないと踏んでいる。土台を作ってシューティングスターを取り付け、アタッチメントの調整とカメラの位置を調整する。クロスボウならスコープでもいいかと思ったが、せっかく召喚したカメラなのでそのまま使う事にした。

 30回ほど試射を繰り返して、ようやく狙い通りの位置にあたるようになった。マイクロ単位の調節だったが、クリエイトゴーレムは本当に優秀な魔法だった。イメージするとそれがダイレクトに反映されるので、自分で認識できていない物でも問題なく調節できたのだ。

「ご主人様、出来たのはいいのですが、横に大きくありませんか?」

 そうなのだ。このクロスボウは、弓をそのまま流用しているので、普通のクロスボウの2倍くらい横に大きいのだ。でも性能は問題ないのでそのまま使う事にした。

「よーし、みんなお待たせ! オークをサクッと倒して、もうちょっと先まで進むよ!」

 軽食を食べて休憩していた皆が準備を始める。準備が整った所で、ピーチから合図が来た。

 バイポット≪狙撃とかに使う二脚の事≫を装着したシューティングスター改を構え撃つ!

 狙いはジェネラルの1匹の頭だ。寸分の狙い違わず頭を撃ち抜き貫通した。倒れてしばらくピクピクした後に消えてドロップ品になった。

 続けて2射3射と撃ち、ジェネラルを仕留めていく。4発目は頭部からそれて首に刺さり貫通したが、ジェネラルは膝をついて動けなくなっていた。それならと思い、近付いてくるオークの強化種達をドンドン撃ち抜いていく。

 前衛と接敵する距離になった頃には、20匹いたオークが8匹になっていた。瞬殺されて終わったけどね。それにしてもこのシューティングスター改は悪くないな! 普通の弓をそのまま使ってもこうはならんだろうけどな。

 というか、このアタッチメント何かを流用すれば、バリスタやクロスボウの威力や精度もあげられるか?ディストピアに帰ったらドワーフのじっちゃん達に相談してみるか。湖の島に置く武器が心もとないからな。

 ドロップ品を回収して、10階を後にした。

 その日の内に到着できたのは15階までだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ
ファンタジー
最高に楽しいオフ会をしよう。 ゲーム内いつものギルドメンバーとの会話中、そんな僕の一言からオフ会の開催が決定された。 どうしても気になってしまうのは中の人、出会う相手は男性?女性? ドキドキしながら迎えたオフ会の当日、そのささやかな夢は未曾有の大天災、隕石の落下により地球が消滅したため無念にも中止となる。 死んで目を覚ますと、僕はMMORPG "オンリー・テイル" の世界に転生していた。   「なんでメインキャラじゃなくて倉庫キャラなの?!」 鍛え上げたキャラクターとは《性別すらも正反対》完全な初期状態からのスタート。 加えて、オンリー・テイルでは不人気と名高い《ユニーク職》、パーティーには完全不向き最凶最悪ジョブ《触術師》であった。 ギルドメンバーも転生していることを祈り、倉庫に貯めまくったレアアイテムとお金、最強ゲーム知識をフルバーストしこの世界を旅することを決意する。 道中、同じプレイヤーの猫耳魔法少女を仲間に入れて冒険ライフ、その旅路はのちに《英雄の軌跡》と称される。 今、オフ会のリベンジを果たすため "オンリー・テイル" の攻略が始まった。

処理中です...