ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
917 / 2,518

第917話 平和だ

しおりを挟む
 島の中心から帰ってきた次の日、俺はいつもより遅い時間に目が覚めた。

「んぁ? もう、11時回ってんのか、んん~首が痛いな。寝違えたかな? それにしても、朝飯の時間に起きないで寝過ごしちゃった。怒られないだろうか?」

 ちょっと憂鬱になりながら、食堂へ向かう。

「おはよ~」

 食堂に入って挨拶をすると、

「やっと起きてきましたね。ご主人様、お疲れなのはわかりますが、朝食はしっかり食べた方がいいですよ。特に遊んでいたわけでもないのに、目が覚めない事を考えると、本当に疲れが溜まっているんでしょうね? 本当に気を付けてください。とりあえず、こちらをお飲みください」

 オレンジ風味の飲み物が出てきた。いい匂いだな、ハーブティーのようだな。

「オレンジピールティーです。リラックス効果がありますよ。今軽めの食事を用意しますのでお待ちください。時間が時間ですので、14時位にもう1回軽めの食事を出します。夕食は、カレーにする予定ですのでいっぱい食べてください」

 あ~俺の事を考えてくれてるのね。食事の時間も気を使ってくれるのか。怒られなかった事がちょっと怖いけど、俺の事を考えて食事の時間を考えてくれているので、逆らわずに言う事を聞いておこう。

 出されたハーブティーを飲み終わる頃に、食事を持ってきてくれた。けど、これって軽食なの?

 目の前に準備されたのは、アツアツの鉄板皿に載せられた、お好み焼きだった。いや、俺も好きだよ? でもさ、結構ガッツリ系だと思うんだけど、まぁいっか。

「コッテリしてますが、野菜が多く、豚肉も美味しい所がありましたので作ってみました。もちろん卵も付いてますよ。物足りないかもしれないですが、1枚ですよ」

 なるほど、俺の食べる量を考えると、1枚は少ないもんな。コッテリだけど、野菜たっぷりでお腹にたまるからって事かな? まぁ美味いから何でもいいか!

 やっぱり、鰹節がないとダメだよな! 半分はマヨネーズで……うまー。

 思ったより満足感のあったお好み焼きだったな。食後には、麦茶を出してくれた、ほっとして落ち着くな~。

 食事を食べ終わったが、他の皆はこれからお昼だから、ここにいたらまた食べたくなっちゃうし、訓練スペースにでも行こうかな?

 移動をしようとすると、ニコが頭の上に、ハクが腕の中に来た。ダマは足元でちょこちょこ歩いてついて来ていた。逆の方にはシエルが……カメにしたら大きいかもしれないが、ダマに比べると歩きにくそうだ。だけど、俺のスピードに付いて来て必死に足を動かしている姿が可愛いな。

「さて何するか~」

 人工芝の訓練スペースで寝転がりながら、ニコをポンポンと上に投げてはキャッチして遊んでいる。

『主殿、するもなにも、体を動かすスペースですから、訓練や走ったりする以外ないのではないですかにゃ?』

 ダマ、どんな運動をするかを考えてるんだよ!

『そういえば、サッカーとやらはやらないのですかにゃ?』

 ん? シエルも聞いてたっけ?

「それなんだけどな。俺、サッカーの出来るスペースを造ったけど、サッカーできないんだよね。ゴールに向かって下手糞なドリブルして、ただゴールに向かってシュートするくらいしかね」

 スポーツ観戦は好きだけど、自分でやるのはあまり得意じゃないんだよな。それでもいいから、どういったスポーツなのか見てみたいとの事で、サッカーボールを召喚して、下手糞なドリブルをしてゴールに向かってシュートをする。

「えっ!?」

 目の前で起きた事に驚いてしまった。ボールは友達と言っているサッカー少年のマンガみたいに、ゴールネットを突き抜けてボールがフェンスまで飛んでいって、半分ほどまで食い込んで止まった。

 偶然ゴールネットに向かって飛んだからいいものの、ホームランで遠い海の彼方に飛んでいった可能性もあるんだよな。天井とフェンスの間に隙間があるから塞いでおこう。その内サッカーと違う競技になってそうだな。

 フットサルとかになったら、もっと悲惨な事になるか? まぁ、手加減する事も修行のうちだ!

 フェンスから落ちてきたボールを見て、うずうずしたのか、ダマが転がっているボールに走っていった。

 小さいサイズのダマがボールと戯れていると何か微笑ましいんだが、そのスピードが異常過ぎてどうにも変な感覚になるな。

 頭でボールをはじいたら、それを追い抜いてボールを受け止めているのだ。文字にすればたいしたことないように見えるのだが……もう一度言う! 速度がおかしいんだよ!

 プロサッカー選手のシュートの速度を見た事ないから何とも言えないが、その位のスピードが出てるんじゃないかと思う。

 シエルもちょこまかと走っていくと、ダマから最高のパスが! 蛇の頭を伸ばしてヘディングシュート!

 俺が突き破った所からまたボールがフェンスに向かって飛んでいく。まぁ、あの位置にボールが飛んでいけば、破れたネットを抜けてくよな。

 そこにハクが飛んでいきボールを掴んで上空から落とす。そうすると走ってきたダマが器用にオーバーヘッドキックでシュートをした。

 ぐちゃりっ

 え?

 ボールが潰れたかと思ったら、いつの間に入れ替わったのか、ダマが蹴ったつもりのボールがニコになっていたのだ。

 ニコにまとわりつかれたダマは、着地に失敗して背中から落ちる。ニコとハク、お前らダマに優しくしてたんじゃないのか? いじめるなよ!

 と怒ったら、2匹に猛抗議をされてしまった。

 ダマとシエルに通訳を頼むと、一緒に遊んでただけでいじめていたわけじゃないと、ニコの高速プルプルが俺の頭の上で炸裂し気持ち悪くなった……うっぷ。

 ハクに関しては、胡坐の中に入ってきて体のいたるところを突っ突かれた。痛いからやめれ!

 遊んでいると他の従魔達まで集まってきて、みんなでボール蹴りといっていいのか、すごい勢いでサッカーコート内で動き回っている。

 ボール1個じゃ足りなかったので、5個程追加で出している。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ

阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
 どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。  心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。  「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。  「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉

貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。

あおい
恋愛
貴方に愛を伝えてもほぼ無意味だと私は気づきました。婚約相手は学園に入ってから、ずっと沢山の女性と遊んでばかり。それに加えて、私に沢山の暴言を仰った。政略婚約は母を見て大変だと知っていたので、愛のある結婚をしようと努力したつもりでしたが、貴方には届きませんでしたね。もう、諦めますわ。 貴方の為に着飾る事も、髪を伸ばす事も、止めます。私も自由にしたいので貴方も好きにおやりになって。 …あの、今更謝るなんてどういうつもりなんです?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】

ちっき
ファンタジー
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

入れ替わった花嫁は元団長騎士様の溺愛に溺れまくる

九日
恋愛
仕事に行こうとして階段から落ちた『かな』。 病院かと思ったそこは、物語の中のような煌びやかな貴族世界だった。 ——って、いきなり結婚式を挙げるって言われても、私もう新婚だし16歳どころかアラサーですけど…… 転んで目覚めたら外見は同じ別人になっていた!? しかも相手は国宝級イケメンの領主様!? アラサーに16歳演じろとか、どんな羞恥プレイですかぁぁぁ———

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...