ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第912話 ダマの足の裏

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 のんびりとお風呂に入った後に、コーヒー牛乳を飲んで食堂へ向かうと、俺の従魔であるクロとギン、ソウとコウがすまし顔で俺の座る椅子の前でくつろいでいた。あっ! そう。後でブラッシングしてもらえって言ったから待ってるのね。

 年少組がブラッシングしようとしていたが、今日は俺にやってもらうみたいなジェスチャーをしている。ってなんで俺はあいつらのジェスチャーを理解してるんだ? よくわからんが間違ってなさそうなので、仕方ないブラッシングしてやるか。

 クロとギンは体がデカいからな。せっかくお風呂に入ったのに汗をかいてしまった。さすがに今日2度お風呂に入るのは面倒だな。でもべたべたなまま寝るわけにもいかないから、シャワーだけでも浴びてくるか。

 風呂場に戻ると、そこにはまだダマとシエルがいた。俺が風呂から出て1時間くらいは経ってるはずなのに、何でいるんだ?

「お前ら、まだここにいたのか?」

『あ、主殿。向こうに戻ると先輩方に色々言われるので、ここでシエルと一緒にくつろいでいましたにゃ』

『わらわは、ここのお風呂も気に入ったのだ。温かい水などと思ってはいたが、やっぱり病みつきになるのだ! もうお風呂無しでは生きてゆけぬ! あっ、できれば水風呂も用意してほしい』

 シエルは俺の所に来るまで、お湯に浸かった事が無く初めて入るまでは半信半疑だったが1度入ってしまえば、お風呂の虜になっていたのだ。だからシエルは、クロやギンの事が無くてもあがってこないのは不思議じゃないが、ダマはそういう理由でここにいたのな。

 とりあえず、シエルの要求は無視してシャワーを浴びる。ダマたちもいる事だし、少し風呂にも浸かって行こう。

 小さいフォルムのシエルが、スイースイーと俺の前を泳いでいたので捕まえてから、柄付きブラシでこすってやる。自分でやっていたが、細かい所はできなかったので多少汚れが残っているのだ。それを綺麗にしてやろう!

 俺に捕まったシエルは抵抗もせずに、されるがまま俺の事を受け入れていた。

「うっし、綺麗になったな! 腹の方まで綺麗になったぞ!」

 そういうとシエルはまた、スイースイーと泳ぎ始めた。感謝の気持ちなのか右手をクイッとあげてきた。

 ダマは涼み終わったのか、またお風呂に入ってきた。うちの猫も冬になると暑いのが分かってて、こたつの中に入っては、暖房のきいてない廊下で涼んでたのを思い出すな。ネコ科の動物ってそういうものなのかな?

 俺の前に来たからには捕まえて、わきの下に手を入れわしゃわしゃする。嫌がっている様子を見せるが、これは見せかけであってかなり喜んでいるのだ。前に途中でやめたら、えっ! もうやめるの? みたいな顔を何度もされたので間違いない!

 実際何度やっても、自分から逃げる事は絶対にしないからな。気に入っているのは間違いない。

 両手を動かして遊んでいたら、爪や指の間、肉球との境目の汚れが気になったので、DPで硬めで先が細くなっているタイプの歯ブラシを4セットで購入! 1DPで4本まで買えたのでまとめ買いだ! いくらDPが有り余ってるとはいえ、無駄は良くない!

 ダマには風呂の縁に座ってもらい1本ずつ足を綺麗に洗っていく。そういえば、この部分を洗うのって初めてだな。今までの汚れが溜まっているのか。ペット用のシャンプーも召喚して、綺麗にごしごししてあげる。

 洗っている最中にキャフキャフとダマが鳴いているが、お前も足をくすぐられたりするとくすぐったいのか? でもな、こんなに汚れてたらせっかくの白い毛が台無しだぞ! 綺麗にしてやるから我慢しろ!

 前足の時は少しキャフキャフ鳴くだけだったが、後ろ足になると身をよじらせて暴れ始めたので、シエルに少し大きくなってもらい、ダマの体を押さえてもらった。

「ふ~綺麗になったぞ! それにしても見違えるくらいに真っ白になったな。いつも洗っている時も綺麗になってるけど、今日は何かいつもより白く見える! 主としては、おおいに満足じゃ!」

 ダマの姿を見て満足していると、睨むような顔で俺の方を見てきた。

『主殿、あれは酷いと思うのです! 本当にくすぐったかったんですからね! 次回はもうやらないでほしいのです!』

「主としては、綺麗でいてもらいたいんだけどな~」

『体を洗ってくださるのは嬉しいのですが、足の裏だけはやめていただきたい!』

 自分の白い毛並みに満足している様子なのに、キリッとした表情でそんな事を言ってくるので、

「そっか、白い毛が綺麗なのにな。シルキーたちもきっと喜ぶだろうに。もし嫌がってるって知ったら、餌が貧相になるかもしれないな」

 シルキーたちも俺と同じでモフモフは好きなので、せっかくこれだけ白く綺麗になれるのに嫌がったら、どんなことを要求されるか分かったものではないので、俺のセリフを聞いたダマはブルブル震えだした。

 シルキーたちのご飯がなくなると考えたら、さすがにビビるよな。さぁダマよ、どうする!

 30分の話し合いの後に、ダマは最低でも月に1回は足を洗う事を渋々了承した。

 30分も追加で風呂に入ってたためか、若干のぼせてしまい、そのままカプセルホテル風の寝床で寝る事にした。

 翌朝、早く寝たためかなり早い時間に目が覚めてしまった。起きて各部屋の中を覗いてみると、仕切りが付いていなかったので、皆の寝顔が見えたので、仕切りを付けておかないとな。

 というか、ウルフ系の従魔たちも一番下の段だが中に入って寝ている。でも、大きすぎて顔を出したまま寝ているので、生首が並んでいるようにも見える。ちょっと怖いな。

 ピーチに今日の目標地点を聞くと、半分は踏破しておきたいとの事で、最低でも昨日の先から2キロメートルは島の中心に向かって進むようだ。その後、昼食前に中間拠点を作り、更に昨日のように進めるところまで整地しながら進む予定との事だ。

 準備を終わらせ外に出ると、昨日と同じように魔物が俺たちを見つけると吠えて、魔物が集団で襲ってきた。切り開いた距離も短いが、昨日も魔物を倒しながら進んでいるので、数が少ないのかもしれないな。

 数にすれば、昨日の半分くらいだろう。昨日より4キロメートル程島の内側という事を考えれば、少ないと言えると思う。と言っても、それなりの数でLvもあがっているし特殊攻撃をしてくるので、油断はできない。

 ここから先は、外側の魔物より厄介な特殊攻撃をしてくる魔物が増えている。その1つが毒と言っていいのだろうか? 爪に溜まった雑菌が攻撃の際に体内に入って、体調を崩し死に至る可能性すらある厄介さだ。

 この攻撃に関しては本当に偶然発見したんだよな。シュリが盾で突っ込んできた魔物をはじいた時に爪にあたったのか、次第に動きが悪くなって勝手に死んだ個体がいたから気付けた。何も知らずにうけてたらヤバかったかもしれん。

 と言っても、抗体があるわけでは無いので、抗生剤を使う事になるだろうけど、果たしてどこまで効くのか? 生命力の高い魔物が短時間で死ぬのだからかなり厄介な物だろう。

 一応対策は考えているので、機会があったら適当な動物を召喚して実験しようと思っている。回復魔法で生命力を高めつつ免疫機能を活性化させる事が出来たのだ。

 もしこれがダメなら、雑菌というか、体に害をなす物を直接排除する魔法を考えるしかなさそうだな。一応、万能薬とかも試してみないといかんな。
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