ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第909話 島の探索再び

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 雨が降り始めて10日目、やっと雨が止んだ。その間、ディストピアに何度も連絡をしているが、2日雨が降った以外は、特に問題なかったようだ。ディストピアは、俺たちがいなくても問題なく街がまわっていくようになっているので当たり前だ。

「ん~晴れたのは良いけど、今度は晴れ過ぎて暑くないか? 昨日まで雨が降っていたせいで、何か湿度が高くてジメッとした暑さが嫌になる」

 スコールの後にサンサンと、太陽の光が降り注ぐ熱帯地方の森の中ってこんな感じなのかな? う~ジメジメするな。

 今俺たちは、10日前に造った道を歩いている。やはり地面を魔法でならして蓋をしているせいか、木が生えてくる様子は無い。魔法で蓋をしていない場所には、すでに木が生えてきている。樹海より木が成長する速度が速い気がするな。フィールドダンジョンのせいか?

 木材に困っていないとはいえ、新しく伐採できる場所が増えたのは喜ばしい事だ! って、俺のダンジョンでも同じことできるから意味ないか?

「雨の降った後の森って変なにおいがするよね! 青臭いって言うか、あまり好きじゃない臭いだな~」

 周囲の警戒をしながら、年少組が何やら森について話しているようだ。確かに、雨の降った後の森って不思議なにおいがするんだよな。俺はあのにおい嫌いじゃないけど、今回みたいな暑いのは勘弁してもらいたいな。

「それにしても、10日前に比べて魔物の出現ペースが減ったな。道があるせいか木を切る時間が無いから、魔物が寄ってくる数が少ないとか? まぁ、少ないならさっさと行こうか。今日中に前回の道を作った所まで行くぞ」

 俺がそういうとピーチが

「では、訓練を兼ねて駆け足で周囲を警戒しながら進みます! 斥候班、先行して魔物の索敵にあたりなさい。遭遇時は本陣まで撤退して合流後殲滅。前衛陣は、斥候班が確認した後に近付いてきた魔物たちを警戒して進むように。

 バッファーは、みんなの支援を切らさないように! 後衛陣は、魔物と遭遇する事を前提にすぐ攻撃に移れるように。特に魔法班は魔法を待機状態にして、発見次第すぐに攻撃できるように!」

 俺の迂闊な発言で、このジメジメした暑い森の道を走って移動する事になった。さすがにそれには耐えれない。なので、オリジナル魔法を使う事にした。

【クールエリア】

 結界魔法のようにある一点を中心として涼しい空間を作り出す魔法だ。結界魔法とは違い、ある一点は移動可能となっているため、効果が切れるまで涼しい空間を維持してくれる。魔力を注ぎ込めば時間も延長できるため、とても便利な魔法だ。

 まぁ、前に攻略したダンジョンの灼熱エリア。溶岩地帯など想定した熱量を超えると、魔法の効果が打ち消されてしまうため、本当に限定的な使い方しかできない魔法である。ちなみに、この魔法ができたきっかけは、エアコンの魔導具を開発している時に思い付きで作ったものである。

 本陣の俺達だけ涼しいのは、斥候をしてくれている斥候班に悪いので、斥候班のメンバーには個別に【クールエリア】を使用している。

 走って道を進んでいくが、やはり10日前に比べて魔物の襲ってくる頻度が少ない気がする。フィールドダンジョンの中の環境が変わってしまったから、魔物の湧く場所やスピードが変わってしまったのか? 落ち着いたら調べないといけないよな。

 もし、本当に減ってるのなら、兵士たちの狩るペースによっては道を壊さないといけないな。

 順調に道を進んでいき、10日前に昼食を食べた場所まで到着した。

「ここまでは、ほとんど時間かからなかったな。魔物がいなかったのが大きいか。少し休憩したらこの前のとこまで行こう」

 10分程の休憩を終えて、島の中心に向かって移動を開始する。

 休憩の場所から島の中心に向かうため扉を出ると、予想外の光景が目の前に広がっていた。

「これって、どう考えても移動しやすいからここを使ってる感じじゃないか?」

 おそらく500メートル程先に魔物がいるのが見えたのだ。その魔物が吠えると、まわりから魔物が集まってきて、10日前の木を伐りながら4時間移動した際に戦った魔物の数の、半数に匹敵する魔物の数が襲ってきた。

「戦闘準備! 壁を背に外周に前衛! 内側に後衛! 土木組は、攻撃魔法で支援! バッファーは前衛優先で支援を! 後は各自状況に応じて殲滅!」

 ピーチが短く指示を出して、戦闘態勢にはいる。

 島の中心に若干近付いているため、樹海の魔物よりちょっと強いのが厄介だった。ただLvが高いだけじゃなく、特殊攻撃を使うようになっているのが、この島のフィールドダンジョンの厄介な所だと思う。

 外縁部なら樹海と変わらない強さなのにな。10日前に入った時は、そこまで強くなっている感じはしなかったが、ここまで集団になって襲ってくると、ちょっとの差が結構大きく感じるな。兵士たちじゃ無理だぞこれ。

 特殊攻撃というのが、切って流れ出た血が毒霧になったり、獣系の魔物が炎を吐いたり、虫系の魔物が糸を吐いたりしてきたのだ。10日前は、ほとんど特殊攻撃されなかったから、一部の魔物がLvが上がって使えるようになっただけだと思ってたのだが。

「予想以上に厄介だな。ピーチ、いったん結界張って広域で殲滅魔法使うか?」

「そうですね。このまま戦っても問題なく殲滅できると思いますが、前衛の疲弊が大きくなると目的地にまでたどり着けなくなりますからね。ご主人様の作戦で行きましょう。結界は任せてもいいですか?」

 ピーチにお願いされたので頷いておく。

「みんな! ご主人様が結界を張るから密集して。前衛は結界内に敵がいた場合は殲滅。魔法使えるメンバーは、島への被害は一切無視して全力で広範囲魔法を使用します。中心は火と風魔法でお願い。土木組は、2属性が苦手なメンバーは、拳大の石礫を可能な限り多く作って、火と風魔法の中に打ち込んで!」

「みんな! 結界を張るぞ!」

 俺は物理結界を張り魔物の侵入を防ぐ。カエデとリンドはそれに合わせて魔力結界を張っていた。これで、耐えれる限界の物理攻撃や魔法攻撃が来ない限り安心だ。

「10秒後に魔法を撃ちます。準備を!」

 ピーチのカウントダウンが始まる。前衛組は、結界の内側にいた魔物を退治した後に、後衛の後ろまで一気に移動する。

「前衛のみんな、魔法が終わったらまた前に行ってもらうけどよろしくね」

 結構な魔物の数がいるので、100パーセント殲滅できるとは考えていない。うちもらしを前衛と弓使いに倒してもらう事となるだろう。

 ピーチのカウントが0になる。それと同時に結界を解除する。

 魔法で発せられる熱が尋常じゃない位熱かったので、俺は慌てて熱を遮断する結界を使用してみんなを守る。と言っても結界を張るまでの熱量はどうしようもなかった。でもそこは、ミリーの機転で何とか火傷をしないで済んだ。

 魔法も広域で放つと自分達まで巻き添えになってしまうんだな・・・1つ賢くなった。

 魔法の効果が終わり、視界が開けると。かなりの範囲の木々が扇状に炭になっていた。魔物も多くがドロップ品になっていて、そのドロップ品が炭と化していた。

 その中でも生き残った魔物は瀕死になっており、文字通り虫の息だった。

 近付こうにも、地面が溶けている所もあり弓を使って倒す事で今回の戦闘が終わった。
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