ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第905話 島の探索

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「さて、何度も上陸しているけど、俺は島の森の中に入るのは初めてなんだよな。ピーチたちは、実験のために何度か入ってもらってるけど、その時の事を聞いていいか?」

 魔物を狩り続けても魔物が減らないのか、実験してもらった時の事を聞いてみる。ピーチたちもそこまで奥に入ったわけでは無いので、感じた範囲で色々話してくれた。

 島の外周、海の近くより、100メートル程内側にある森の中の方が、魔物が多く集まってきていたようだ。理由は分からないが、普段は森の中にいるのだが俺たちや兵士たちが上陸すると、森の中から魔物が出てくるのだ。

 島の中心に近付くにつれて、魔物が多少強くなっている気がするらしい。魔物同士が戦ってレベルが上がっていると考えている。実際に島の中にはドロップアイテムがいくつも確認できているらしいので、間違いないと考えている。

 森という地形上、島の中心に進むほど全方位から攻撃されるようになったようだ。森の中に魔物がいるんだったら、海に近ければ回り込める魔物は少ないもんな。

「進めば進むほど、魔物が強くなる上に全周囲からの襲撃が増えるのか。それにしても、ダンジョンなら放棄されていても、ダンジョン内で生まれた魔物同士が争う事ってないんだけどな。

 どういう原理なんだろう? 命令されてから放棄した? でも昔に放棄実験したダンジョンは、色々初期化されてたんだけどな。偶発的にできたダンジョンは違うのかな?」

 よくわからない事に多少いらつきながら話していた。

「全周囲を警戒しながら進まないといけないって事は、後衛は中心において周りに前衛を配置する感じかな? 島の中心側に人数多めにして、海側はタゲをとりやすいタンクを配置かな。

 昨日力業で行くって言ったけど、森に入ったら俺達が歩くスペースの木を全部切り倒す。そのままだとすぐに木が生えてくるはずだから、土魔法で蓋をして固めながら進む予定だ。だから、土木組にもついて来てもらっている」

 俺が説明すると、なるほど! 全員が納得した顔になる。ただ、従魔を含めれば50以上の大所帯になるので、指揮系統はしっかりとさせておく。

 基本は、ピーチとシュリが中心になって取ってくれるから問題はない。ただ、今回は規模が大きいので、島の中心側はシュリ、陣形の中心はピーチ、海側はミリーが指揮をとる事になっている。

 ただ危険に陥った時だけは、俺に優先命令権がある感じだ。優先命令権と言ってはいるが、要は撤退命令を出すのが俺というだけであって、戦闘指示は基本的にしない。

 俺は作戦を考えたりするが、実際にみんなを指揮するのは、あまり上手ではないのだ。だから、基本的にはみんなに任せた方が上手くいく。だけど、いざという時の判断はしてほしいという事で、撤退命令の権限を有している感じだ。たまにはみんなを指揮するけど、今回は未知の領域だからね。

「行こうか。進軍はピーチの指示に従って進もう。シュリは魔物と遭遇した時の指示をお願い。ミリーは、後方からの襲撃があったら指示してくれ。みんなも声を掛け合って行こう。

 特に後方に注意をしながら進む上に道の整備もしながら進むから、進行ペースには注意してくれ。俺は、土木組と整備しながら木材の回収をしていく」

 今回は、木材を放置するわけには微妙だったので、全部回収する予定だ。そのために収納の鞄を5個召喚してあり、収納の箱を積んでいるリアカーも作ってある。リアカーをひくのは、少し大きくなったシエルだ。地上での動きはそこまで早くないので、ちょうどいいと考えてリアカーを引かせている。

 ダマは、地上での戦力はピカ一なので、従魔たちを率いて遊撃みたいな事をまかせている。まぁピーチの指示の下にだけどな。

 島の中心に向かってから3時間が経過した。戦闘をしながら木を伐採し整地しながら進んでいる。そのため、約3キロメートル程しか島の中心に近付いていない。

 島の半径が20キロメートル近くあるので。まだまだ時間がかかりそうだ。島の中心に向かうにつれて、木が高くなっているようだ。遠目でみて島の中心に向かって丘みたいに、盛り上がっているのかと思っていたが、実際は木が大きくなっているためそういう風に見えていただけらしい。

 なので、整地して進んできた道を振り返ると、目に見える程の勾配は無い。ほぼ平坦な道が見えるだけだ。

「いったん休憩をしようか。まわりを広めに伐採してくれ。土木組は木の回収と整地を、残りのメンバーは周囲の警戒にあたれ!」

 5分もしないうちに伐採と整地が終了した。さすがだな!

「じゃぁみんな、中心に集まってくれ」

【ロックウォール】

 皆が切り開いた中心に集まったのを確認して、石の壁を作り出す。厚さは1メートル、高さは15メートル、半径20メートル程の広さの休憩スペースを作った。

 収納の鞄にいれたあった机や椅子を取り出して、シルキーの作ってくれた昼食を並べて食事を開始する。

「シュウ、さすがにこの壁は味気なくない?」

 昼食を食べているとリンドに、先程作った壁の事についてつっこまれた。

「土魔法で作った壁に何を求めてるんだよ。クリエイトゴーレムで作った壁なら、レンガ調みたいにできるけど、ダンジョンだから土魔法でも地面の土や石を利用できないから、魔法のコストが高いんだよ。それに一時的な物なんだから、意匠にこだわる必要なんてないだろ?」

 ドワーフとして、のっぺりした壁は嫌なのだろうか? 魔法はイメージと言っても、細かい所までイメージで再現できるのはクリエイトゴーレム位だよ。それでも大きくなりすぎるとどうにもならないので、いくつかに分けて模様を造ったりするんだよな。

 昼食の間に午後どの位まで進んで引き返すかを決め、食後休憩を挟んでから出発する。

 進んでいくスピードは午前中よりも遅くなってしまった。4時間で3キロメートル程しか進めなかった。

 大きな理由は、魔物の数が増えて戦闘に割かないといけない時間が増えてしまったためだ。切り開いているので、その部分からの攻められる事はないのだが、森に接してる場所からは結構な頻度で襲撃があるためかなり大変である。

 さすがにこれ以上進むと拠点に帰るのが遅くなってしまうので、今日はこの辺で引き返す事にした。

 約6キロメートルの道のりを10分で駆け抜けている。土木組の子たちの身体能力も、地球の人間に比べたらかなり高いと改めて感じた。

 重量軽減されているとはいえ、フル装備で走ってマラソン選手の2倍に近い速度で走っていることになるのだから、恐ろしい世界である。
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