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第904話 兵士たちの事情
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拠点の追加施設、訓練スペース、家具の設置が終わり俺たちがする事はなくなった。兵士たちの実戦訓練は順調に進んでおり、今の所大きな怪我をしている兵士たちもいない。治療は妻たちが行っている。ん? そういえば、衛生兵みたいな兵士がいないな。
「レイリー、衛生兵はいないのか?」
隣で実戦訓練を一緒に見ていたレイリーに声をかける。
「衛生兵ですか? 兵って事は兵士ですよね? 衛生は、綺麗にするとか清潔を保つみたいな感じでしたっけ? 戦場にそんな兵士は必要ですか?」
「あれ? 衛生兵って一般的な言葉じゃないのか? 要は、ヒーラーみたいな兵士はいないのか?」
「そういえばシュウ様は、戦争の時にも治療院の人間を連れて来てましたね。冒険者でもヒーラーがいるパーティーは少ないですし、戦争となるとケガ人の数も膨大な数になるので、ヒーラーは現実的ではないという事で、ポーションを中心に集めて戦争をするのですよ」
「えっ! そうなの? でも、前にそういった話をしたことあるのに、兵士にはヒーラーみたいな人はいないのか?」
「ヒーラーは、通常の仕事ではあまり役に立たないと言いますか、迫力に欠けるので兵士には向かないというのが一般的ですね。それに、シュウ様の管理されている街には、治療院がありますのでわざわざ兵士にヒーラーを雇う意味もないですしね」
ここに来て予想以上に考えが違った事にびっくりだな。確かに俺の街には治療院はあるし、魔法薬各種も工房の見習いたちが結構な数作っているから、品質にこだわらなければ問題なく手に入るもんな。そのせいでヒーラーを常駐させる意味が更に低いと考えているのか。
ピーチやキリエ、ネルは例外として、ヒーラーはそこまで戦闘能力に長ける人は少ないから、自然とそうなってしまったのかな? それにヒーラーの絶対数も少ないしな。ゲームのモンクみたいな人はこの世界には少ないんだな。
「やっぱりコストの問題なのか?」
「それもありますが、兵士になるような人間の大半は、武器を振るって勲章をもらい騎士になるのが夢ですからね。裏方になるヒーラーは敬遠されがちですね」
「でもさ、ディストピアには騎士制度なくね? それなのに勲章何かほしいのか?」
「ディストピアだけは例外ですよ。ディストピアの兵士だけは、シュウ様のために常日頃訓練に仕事をしていますからね。ですが、シュウ様の奥様方は、孫のリリーを含めみんな前線で戦える程強いですからね、あこがれているという面は大きいと思います。
特にピーチさんは、指揮をとりながら華麗な盾さばきに加え鈍器による攻撃も過激ですからね」
そういえば、戦争時にピーチ達がケガを負ってる事ってあったっけ? 一方的にボコボコにしているイメージしかないな。ヒーラーなんていらんと言わんばかりの様子だもんな。でも万が一というのは大切だと思うんだけどな。
俺はそんな事を考えながらレイリーの話を聞いていた。
「レイリーの意見というか、この世界の考え方は分かった。だけど、俺を誰だと思ってる? ダンジョンマスターの俺には宝珠を生み出す力がある。前線で戦う兵士にだって回復魔法を覚えさせることは簡単だ! 他の街や国の事はどうでもいい。
兵士の中から回復魔法に興味のある者、素質のある者、これから兵士になる者に適性があれば覚えさせろ。戦闘に置いて衛生兵は大切だ。ポーションがたくさんあるからと言って、回復をおろそかにすることはダメだ。実戦訓練を中止してミーティングをするぞ」
レイリーは驚いた表情をするが、すぐに行動に移した。後で、何で驚いた表情をしたのか気になったので聞いてみると「今までにここまで強い意志で命令する事が無かったので」と言われた。結構自分勝手に色々して命令してる事もあるけどな。
俺は集まったみんなに、俺の考えを伝えた。
考えを伝えた後に、1班に回復と支援できるメンバーが1人ずつほしいと伝えると、150人いた兵士の内3分の2、100人程が立候補してきた。ちょっと多くない? 1割位いればいいなって思ってたら、予想の7倍近くの兵士が立候補してくれた。
ただ立候補の理由が「シュウ様のお考えなら、絶対に意味がある! だから役割のふられていない、自分たちが役に立つべきです!」と胸を張られて言われた時には、さすがに頭痛がした。どこかの宗教だろうか?
しかも、立候補しなかった50人程は、すでに役割を持っているため泣く泣く立候補しなかったとの事だ。その役割というのも、攻撃魔法使いと防御魔法使い、指令を出すリーダー的存在である。
前者の2つは、魔力を温存するために他に割けないという考えはわかるが、リーダーはそういう事はない気がするが……と思ったら、リーダーは前線で戦いながら指揮をとるため、防御に優れたタンクのような立ち位置の兵士がなるらしい。後ろにいる方がよくない?
それに関しては、レイリーの方針だから何も言うまい。だけど、やっぱりヒーラーやバッファーは、いた方がいいと思うんだよな。専門じゃなくてもいいから1班に1人はほしい。中隊や大隊になった時には、専門のヒーラー兵士がほしいとこだけどな。
100人の中から5人の専門ヒーラーを決めて、残りを半々に別けて、ヒーラーとバッファーのスキルを覚えてもらった。弓職だけは、全員ヒーラーにまわってもらったのは役割分担だ。ヒーラーが活躍するタイミングでは、弓職が攻撃している事は少ないからな。
さて、基本的には今までの戦い方と変わらないのだが、バッファーに関してはタイミングや効果時間があるので、そういった事を考えて戦闘しなければいけなくなるので、そこら辺を妻たちがレクチャーしていた。班で助け合ってやってもらう予定なので、全員に基礎知識を覚えてもらっておく。
次の日には、それを実戦で活かすために戦闘訓練が開始され、その次の日には実戦訓練になった。移行する速度速くない?
今まで、兵士たちの中にバッファーがいなかったため、どれだけの恩恵があるか分かっていなかったが、バフの効果を実感すると、俺の言った事をちゃんと理解してもらえるようになった。俺が言ったからではなく、きちんと理解してくれてよかった。
回復を担当する兵士ができたため、俺たちがお役御免となった。3日程は訓練を見ていたが、問題なかったので、俺たちも独自に行動をする事にした。
「する事がなくなったので、前回できなかったこの島の探検をしようと思います。何があるかよくわかってないからね! フィールドダンジョンなんて初めてだから、ちょっとワクワクしてる! 今日は、ちょっとだけ入ってから様子を確かめよう!」
島の中に入るための準備を始めた。今回は、日帰りを考えているので少し力業を使う予定である。そのために土木組も連れていく予定だ。
「レイリー、衛生兵はいないのか?」
隣で実戦訓練を一緒に見ていたレイリーに声をかける。
「衛生兵ですか? 兵って事は兵士ですよね? 衛生は、綺麗にするとか清潔を保つみたいな感じでしたっけ? 戦場にそんな兵士は必要ですか?」
「あれ? 衛生兵って一般的な言葉じゃないのか? 要は、ヒーラーみたいな兵士はいないのか?」
「そういえばシュウ様は、戦争の時にも治療院の人間を連れて来てましたね。冒険者でもヒーラーがいるパーティーは少ないですし、戦争となるとケガ人の数も膨大な数になるので、ヒーラーは現実的ではないという事で、ポーションを中心に集めて戦争をするのですよ」
「えっ! そうなの? でも、前にそういった話をしたことあるのに、兵士にはヒーラーみたいな人はいないのか?」
「ヒーラーは、通常の仕事ではあまり役に立たないと言いますか、迫力に欠けるので兵士には向かないというのが一般的ですね。それに、シュウ様の管理されている街には、治療院がありますのでわざわざ兵士にヒーラーを雇う意味もないですしね」
ここに来て予想以上に考えが違った事にびっくりだな。確かに俺の街には治療院はあるし、魔法薬各種も工房の見習いたちが結構な数作っているから、品質にこだわらなければ問題なく手に入るもんな。そのせいでヒーラーを常駐させる意味が更に低いと考えているのか。
ピーチやキリエ、ネルは例外として、ヒーラーはそこまで戦闘能力に長ける人は少ないから、自然とそうなってしまったのかな? それにヒーラーの絶対数も少ないしな。ゲームのモンクみたいな人はこの世界には少ないんだな。
「やっぱりコストの問題なのか?」
「それもありますが、兵士になるような人間の大半は、武器を振るって勲章をもらい騎士になるのが夢ですからね。裏方になるヒーラーは敬遠されがちですね」
「でもさ、ディストピアには騎士制度なくね? それなのに勲章何かほしいのか?」
「ディストピアだけは例外ですよ。ディストピアの兵士だけは、シュウ様のために常日頃訓練に仕事をしていますからね。ですが、シュウ様の奥様方は、孫のリリーを含めみんな前線で戦える程強いですからね、あこがれているという面は大きいと思います。
特にピーチさんは、指揮をとりながら華麗な盾さばきに加え鈍器による攻撃も過激ですからね」
そういえば、戦争時にピーチ達がケガを負ってる事ってあったっけ? 一方的にボコボコにしているイメージしかないな。ヒーラーなんていらんと言わんばかりの様子だもんな。でも万が一というのは大切だと思うんだけどな。
俺はそんな事を考えながらレイリーの話を聞いていた。
「レイリーの意見というか、この世界の考え方は分かった。だけど、俺を誰だと思ってる? ダンジョンマスターの俺には宝珠を生み出す力がある。前線で戦う兵士にだって回復魔法を覚えさせることは簡単だ! 他の街や国の事はどうでもいい。
兵士の中から回復魔法に興味のある者、素質のある者、これから兵士になる者に適性があれば覚えさせろ。戦闘に置いて衛生兵は大切だ。ポーションがたくさんあるからと言って、回復をおろそかにすることはダメだ。実戦訓練を中止してミーティングをするぞ」
レイリーは驚いた表情をするが、すぐに行動に移した。後で、何で驚いた表情をしたのか気になったので聞いてみると「今までにここまで強い意志で命令する事が無かったので」と言われた。結構自分勝手に色々して命令してる事もあるけどな。
俺は集まったみんなに、俺の考えを伝えた。
考えを伝えた後に、1班に回復と支援できるメンバーが1人ずつほしいと伝えると、150人いた兵士の内3分の2、100人程が立候補してきた。ちょっと多くない? 1割位いればいいなって思ってたら、予想の7倍近くの兵士が立候補してくれた。
ただ立候補の理由が「シュウ様のお考えなら、絶対に意味がある! だから役割のふられていない、自分たちが役に立つべきです!」と胸を張られて言われた時には、さすがに頭痛がした。どこかの宗教だろうか?
しかも、立候補しなかった50人程は、すでに役割を持っているため泣く泣く立候補しなかったとの事だ。その役割というのも、攻撃魔法使いと防御魔法使い、指令を出すリーダー的存在である。
前者の2つは、魔力を温存するために他に割けないという考えはわかるが、リーダーはそういう事はない気がするが……と思ったら、リーダーは前線で戦いながら指揮をとるため、防御に優れたタンクのような立ち位置の兵士がなるらしい。後ろにいる方がよくない?
それに関しては、レイリーの方針だから何も言うまい。だけど、やっぱりヒーラーやバッファーは、いた方がいいと思うんだよな。専門じゃなくてもいいから1班に1人はほしい。中隊や大隊になった時には、専門のヒーラー兵士がほしいとこだけどな。
100人の中から5人の専門ヒーラーを決めて、残りを半々に別けて、ヒーラーとバッファーのスキルを覚えてもらった。弓職だけは、全員ヒーラーにまわってもらったのは役割分担だ。ヒーラーが活躍するタイミングでは、弓職が攻撃している事は少ないからな。
さて、基本的には今までの戦い方と変わらないのだが、バッファーに関してはタイミングや効果時間があるので、そういった事を考えて戦闘しなければいけなくなるので、そこら辺を妻たちがレクチャーしていた。班で助け合ってやってもらう予定なので、全員に基礎知識を覚えてもらっておく。
次の日には、それを実戦で活かすために戦闘訓練が開始され、その次の日には実戦訓練になった。移行する速度速くない?
今まで、兵士たちの中にバッファーがいなかったため、どれだけの恩恵があるか分かっていなかったが、バフの効果を実感すると、俺の言った事をちゃんと理解してもらえるようになった。俺が言ったからではなく、きちんと理解してくれてよかった。
回復を担当する兵士ができたため、俺たちがお役御免となった。3日程は訓練を見ていたが、問題なかったので、俺たちも独自に行動をする事にした。
「する事がなくなったので、前回できなかったこの島の探検をしようと思います。何があるかよくわかってないからね! フィールドダンジョンなんて初めてだから、ちょっとワクワクしてる! 今日は、ちょっとだけ入ってから様子を確かめよう!」
島の中に入るための準備を始めた。今回は、日帰りを考えているので少し力業を使う予定である。そのために土木組も連れていく予定だ。
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