ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第900話 拠点に舞い戻る

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「あんたたちの船、やっと完成したのね。私たちの船は、3日も前に完璧に仕上がってるわよ! 準備もできてるんだから、早くあそこへ出発しましょうよ。兵士たちもはやくいこうと騒いでいるのよ!」

「すまんすまん。まさか、俺たちの完成を待ってくれてたと思ってなかったよ。言ってくれたらよかったのにさ」

「だってシュウ……あなた、あの状況で作業中断させたら、こっちに合わせてくれても戻るまでずっと文句言うでしょ? ずっと文句言われるくらいなら、待とうってはなしになったのよ。あなたの事しっかり理解してる妻たちで良かったわね!」

 リンドに言われたことを否定できずに、黙るしか無くなった。

 そんな俺の様子を見て、みんな満足したのか出発の話が始まる。

 今回あの拠点に行くのは、兵士120人とレイリーが戦闘訓練組。拠点の調理担当でブラウニーが10人。俺と妻たち、土木組のみんなで行くことになっている。

 俺たちは戦闘ではなく、拠点の未完成部分を手分けして行う予定だ。後は、兵士たちの移動用の船に俺たちの船を合わせると、4隻になるのできちんと繋留出来るようにしておくための、船着き場を造らないとな。

 アダマンタイトで水の中を囲って、造船所みたいに整備できる場所を造ってもいいかな?

 綾乃とバザールも誘ってみたのだが、船に積む兵器を考えるからパスと断られてしまった。実験中に作った火炎放射器みたいなのは、側砲として積むつもりらしい。ほどほどにしてくれよな、俺が帰ってきてすることなかったら泣くからな!

 全員船に乗り込み移動を開始する。今から移動をすれば夕食前には、あの拠点に到着する予定だ。

 リンド達が作った船は壊れる事もなく、安定した航行をして俺たちの船に付いてくる。まぁ俺たちが作り終える前に、何度もしっかりと確認しているのだから、問題があるはずないんだけどね。造船に詳しいドワーフ達も手伝ってたのだからあたりまえか。

 6時間半程の船の旅を終えて拠点に到着する。

「ん~どうしよっか?」

 船着き場みたいなところを作ってなかったので、どうやって拠点に移動するべきか悩んでいたのだ。俺達の船は大きめという事と、陸地にも降りる事が出来るように機材を積んでいるので、多少高い位置にも問題なく移動する事ができるのだ。

「ご主人様、あれじゃないですか。島側の橋なら移動できる高さじゃないですかね? もしダメでも、一時的に改造して移動できるようにしましょうよ」

 早く移動したいと考えていたシルキーたちが、俺にそういう風に助言してくる。

「あれ? シルキーたちは、いつの間に乗り込んでたんだ?」

「ご主人様、何を言ってるんですか? ご主人様が泊まりで出かけるのに、私たちが付いてこないわけないじゃないですか! ブラウニーたちも食事の準備をしたいから、早くしてほしいと言っているので、よろしくお願いします」

 なるほど……確かに最近は、俺が泊まりだと必ずシルキーたちがいるよな。

 スカーレットの助言を元に簡易的な船着き場を作るために移動する。のんびりとしていると、船に乗っている兵士たちが暴れ出すかもしれないな。そんな事はないけど、そこまで広くない空間に40人で乗っているのだから早くしてやらんとな。

「よっし、サクッと船着き場を作ろうか」

 俺が移動した後に土木組のメンバーと、リンド、カエデが続いて降りてくる。

「シュウ、簡易的な物だから、ちゃんとしたものじゃなくてもいいんだよね?」

「そうだな、今回だけ移動できれば問題ないと言えば問題ないな。何かいい方法あるのか?」

「それなら、この部分を扉の蝶番みたいなのを使って、簡単な橋でいいんじゃない? どうせ今回の移動だけにしか使わないんだからさ。ここにいったん木材で補強をしてから、橋とつなげて移動させた後に外せばいいでしょ」

 なるほど、確かに簡易的な物でいいんだからそれでいいかな。

 簡易的な船着き場を作った後、兵士たちが拠点に乗り込んでくる。120人の兵士たちは全員が拠点の大きさに飽きれていた。

「あ、シュウ。まだ100人分しか部屋で来てないけど、大丈夫なの?」

 そういえば、まだ2階までしか完成してないから、100人までしか収容できないんだった。

「土木組! いくぞ!」

 土木組のメンバーを連れて、5部屋分の準備を始めた。1部屋4人なので5部屋分さえ準備できれば、今回の兵士たちを全員泊める事ができるのだ。

 土木組も慣れたためか、作業のスピードが速かった。まぁ、クリエイトゴーレムを使いなれている俺の方が、作業スピードが早かったため、羨望のまなざしで土木組に見られて少しむずがゆい思いをした。

 俺たちは船で寝るので問題ないだろう。

「そうだ。拠点に魔物が来た形跡がないか調べておかないとな。でも、その前に食事を食べよう!」

 シルキー達が中心になって作った夕食を食べて、レイリーに何か形跡がないか探しておいてもらう。俺は、風呂の準備をする事にした。キッチンなんかは作っていたが、お風呂はまだ魔導具を着けていなかったので、排水と一緒に整備をしていく。

 海水から真水を作る魔導具はセットしていたけど、お湯が出せなかったので、その部分を調整していく。

 あ~、排水に関しては忘れていた物があった。排水をきれいにするあれを、連れてきていなかったのだ。スライムたちを入れておく場所を準備して、召喚したスライムを放流しておく。これで、トイレも問題なくなったな。

 食堂に戻ったらレイリーが、兵士たちを集めて何やら話し合っている。しばらく話を聞いていると、明日の戦闘訓練の順番を決めているようだ。10人1組で、3組ずつ組んで後方に3組待機、6組が休憩という形でシフトを回していくそうだ。

 小隊単位の戦闘訓練だろうか? 色々試してくれ! 俺たちも明日からの事を話しあっておかないとな。

 リンドとカエデを呼んで明日からの計画を立てる事にした。

 明日はまず、船着き場兼整備場を作ることに決まった。問題は、多少ある潮の満ち引きに対する対応はどうするか。という話になったが、どうにもならないので、低めの位置に乗り降りする場所を作って、船着き場に乗り降りしやすい橋をかけれるようにしておけばいいだろう。

 その後は各部屋の家具作成になるだろう。

「シュウ様。解散して部屋に行くように言ったのですが、部屋にまだ寝具が無いのですが」

 あっ! 忘れてた。慌てて121人分、レイリーの分も合わせて出しておく。レイリーに関しては、ディストピアで使っている硬めのエアーマットを渡した。

 レイリーの部屋はさすがに4人部屋というのは良くないので、ブラウニーたちが泊まる部屋の1つをレイリーにつかわせることになった。

 さて、明日はどうなるのかな? 一応、ヒーラーのメンバーは、兵士たちがケガをした時のために後方待機しておいてもらうか。
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