ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
868 / 2,518

第868話 6日目終了

しおりを挟む
 武闘大会に参加していた冒険者によるルール違反というか、街のルールを犯してしまった者への対処をしたことによって、かなりの時間をとられてしまっている。だが、選手達にとってはちょうどいい昼食休憩になっただろう。

 俺的には、今回のトラブルを見世物にするつもりはなかったのだが、モーリスとテオから「ゴーストタウンのルールを破った場合には、こういう風になるという見せしめにちょうどいい!」と訴えられ、様子を中継する事にしたのだ。

 俺以外の関係者が、ほとんど賛成に回っていたので、そういう物と理解して許可を出したのだ。

 どんなに優秀な冒険者でもゴーストタウンというよりは、俺の支配下にある街での不法行為は許さない! というスタンスを見せつける形になった。

 他の街では、上位の冒険者の多少のトラブルは見て見ぬふりをする事が多いらしい。街に利益をもたらす上に、いざとなれば戦力として使えるからだ。

 まぁ、それを理解して多少悪さをする冒険者も中にはいるが、そう多くはない。ただ知ってしまったうま味を退けられるほど、強く心を律せる人間がそう言った行為に走ってしまう事がある。

 今回の冒険者は、自分の実力を広めたいという信念に沿って行動していたのだが、間が悪かったのだ。その瞬間に運営関係者に怪我を負わせてしまい、引けなくなり追放という形になってしまったのだ。

 俺の街のスタンスを示せた事は良い事だと、グリエルやガリアがホクホクした顔をしていたのには、俺にはよくわからなかった。

 街のスタンスを示すという意味では、不法行為をすれば貴族だって処刑するという実績があるのに必要なのか? と考えていたからだ。あれのおかげで、他の街に比べると悪さをする割合が減っているから、一定以上の効果があったはずなのだ。

 それなのにグリエルたちがホクホクした顔をしていたのは……やっぱりわからん。

 後で聞いてみた所、貴族に対してそれなりに強く出ている街でも、魔物や外敵からの脅威を退けるための冒険者には、強くでれない街も多いらしい。それを考えると、今回の事は冒険者に対する牽制になったとも言えるだろう。

 正直、ゴーストタウンに外部から攻めようとすれば、地下通路か樹海を越えてゴーストタウンと外をつないでいる洞窟を抜けるか、ディストピアを何とかするくらいしか思いつかないが、守りにレベルを上げたワイバーンや、Sランク相当のスケルトンがウヨウヨしてるからな……

 っと、そろそろ武闘大会が開始される時間だ。会場内がまた熱くなっている。

 次の試合は、シュリの登場だ。それにしても、シュリはこの大会で苦戦らしい苦戦をしていないな。ほとんど一瞬で試合が終わってるからな。

 2日目終わった後に、訓練にもならないと愚痴っていたが今日は、この試合と次を勝てばシングル冒険者との試合になるので、いい試合ができるんじゃないかな?と思っている。

 シュリの対戦相手は、冒険者でタンクなのだが重装備という程ではないが、動きを阻害しないような装備を身に着けている。今までの試合を振り返ると、サーシャに近いタイプのタンクだと分かっている。

 ステータスは、圧倒的な差があり対抗できるのかと思ったが、予想以上にいい試合になっている。

 30代前半くらいであろう対戦相手なのだが、シュリの攻撃をかわして受け流す事が出来ているのだ。あそこまでステータスに差があるのに、それが可能になっているのは、体の動かし方が上手いのだろうと思う。

 戦闘技術もレイリーに迫る程の物を持っているが、それ以上に体の動かし方が上手いのだろう。俺が見る限り、レイリーより戦いにくそうな印象を受ける。

 避けにくく受け流しのしにくい、横からの斬撃を剣で綺麗に受け流すのだ。初めは自分の目を疑ってしまう程、まぐれだと思う程の事だったのだ。だが、それも続けて行われるとまぐれでは無かったと、理解せざるを得なかった。

 相手は見事に攻撃を防いでいるが、防ぐ事に精いっぱいで攻撃を返すことができていない。このままなら、体力の差で負ける事はない気がする。しっかりと食事も食べた後なので、燃費の悪いシュリでも問題なく攻めきれるだろう。

 そんな事を考えていたら、シュリが攻撃の手を止め距離を置いた。対戦相手はどうしていいか迷っている様子で、体力の回復を図りながら様子を見ている感じだ。

 少し悩んだシュリがとった行動は、1回戦のレイリーのように剣と盾をその場に置いて、対戦相手との距離を詰めた。

 そこからはシュリの怒涛の攻撃が始まった。対戦相手も手数の増えたシュリの攻撃をよく防いでいるが、今までのように完璧に防げなくなり、ダメージが蓄積している様子が分かる。動きに繊細さがなくなってきたのが見て分かるのだ。

 特に盾を持っている左手の動きは明らかに鈍くなっている。シュリが全力で殴りつけた攻撃をまともに受けてしまったのが原因だろう。あれは受け流さないと、俺でも少しは腕が痺れるからな。ステータスにあそこまで差があれば、下手したら骨折しかねない威力だ。

 攻撃を防ぎきれなくなり、体に攻撃が当たった所で対戦相手が審判に負けを申し出て試合が終わった。

 あれだけステータスの差があってもシュリと戦えるんだからすごいな。世の中には俺たちが想像できない相手も結構いるんだな。

 5回戦最終試合、レイリーの試合がやってきた。レイリーのブロックには、もう強敵はいない。実質4回戦の試合が決勝みたいなものだった。

 指導をするような試合を行い、簡単に勝ち上がった。

 6回戦、残り8人。

 この6回戦は、4回戦、5回戦に比べると、面白みに欠けていた上にすぐに終わってしまった。

 勝者は、メルフィに勝った真紅の騎士団のメンバー、サーシャ、シュリ、レイリーの4人で準決勝に進んだ。メルフィが自分がまけたから上位を独占できなかった、と帰ってきてから泣いていたので慰めるのに時間がかかった。

 なぜこんな話になったかというと、6回戦が終わった所でアナウンスが入り、準決勝、3位決定戦、決勝は7日目の午後、ゴーストタウンコロシアム完成イベントの締めに持っていく事が、急遽決められたと伝えられたのだ。

 確かに、イベントの締めがトリプルの冒険者共とホモークの試合とその後のあ゛~~! 的な展開に任せるのはさすがにね。ちなみに、その光景はテレビ放送はしません! 見たければ、コロシアムの一部を開放するのでそこで見るように! との事だった。

 そうして、イベント6日目が終わった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗
ファンタジー
 異世界で暮らすただの商人・カイトは『レベル売買』という通常では絶対にありえない、世界で唯一のスキルを所持していた事に気付く。ゆえに最強ギルドに目をつけられ、直ぐにスカウトされ所属していた。  その万能スキルを使いギルドメンバーのレベルを底上げしていき、やがてギルドは世界最強に。しかし、そうなる一方でレベルの十分に上がったメンバーはカイトを必要としなくなった。もともと、カイトは戦闘には不向きなタイプ。やがてギルドマスターから『追放』を言い渡された。  途方に暮れたカイトは彷徨った。  そんな絶望的で理不尽な状況ではあったが、月光のように美しいメイド『ルナ』が救ってくれた。それから程なくし、共に世界で唯一の『レベル売買』店を展開。更に帝国の女騎士と魔法使いのエルフを迎える。  元から商売センスのあったカイトはその才能を遺憾なく発揮していく。すると驚くほど経営が上手くいき、一躍有名人となる。その風の噂を聞いた最強ギルドも「戻ってこい」と必死になるが、もう遅い。  見返すと心に決めたカイトは最強ギルドへの逆襲を開始する――。 【登場人物】(メインキャラ) 主人公 :カイト   / 男 / 商人 ヒロイン:ルナ    / 女 / メイド ヒロイン:ソレイユ  / 女 / 聖騎士 ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ ***忙しい人向けの簡単な流れ*** ◇ギルドを追放されますが、実は最強のスキル持ち ◇メイドと出会い、新しい仲間も増えます ◇自分たちだけのお店を開きます ◇みんな優しいです ◇大儲けしていきます ◇元ギルドへの反撃もしていきます ◇世界一の帝国へ移住します ◇もっと稼ぎまくります

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ とある大陸にあるローレスト王国 剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。 だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。 そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。 「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」 タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。 異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが...... ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。

バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!? 主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。 転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く… ※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。 ※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。

処理中です...