ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
863 / 2,518

第863話 イベント3日目後半戦!

しおりを挟む
「皆様、ゴーストタウンコロシアム完成イベントの3日目も、午後に突入しました! これから行われるのは、武闘大会の3回戦目になります! 1日目は、1回戦分だけでしたが、今日は2回戦分の戦闘をしていただきます!

 256人いた参加選手は、64人になりました! 誰が勝ってもおかしくない試合も、圧倒的な試合も色々ありました。この3回戦からは、1つのリングで1試合ずつ行っていきます! 各選手の技術をじっくり見てください! それでは、第3回戦開始だ!!!」

 第3回戦の32試合は、1試合毎行ってくんだな。確かに、このまま2つのリングを使っていたら、かなり早い時間に終わる可能性があるもんな。ゴーストタウンなら多少遅くなっても治安的には問題ないし、そういう事かな?

 3回戦1試合目は、もちろんメルフィの試合だ。連戦という程連戦ではないが、2回戦の疲れが残っている人たちもいるだろうから、実力差だけで決着がつかない試合もあるんだろうな。

 メルフィの対戦相手は、槍使いの選手のようだ。防具は軽装、動きやすさを重視した槍使いかな? レベルは123、冒険者のようだが、ランクはBと言った所だろうか? 正直俺から見ると強さの基準にならないから、あてにはできないな。

 戦闘が始まり、メルフィはタンクらしく待ちの構えだ。それに対し槍使いは、自分の距離をキープしたいだろうから、ある程度近付き槍の間合いになると攻撃を開始する。

 お~、容赦のない突きだな。お手本のような流れる突きだ。さすが3回戦まで進む選手だな。

 メルフィは、盾の表面の凹凸おうとつを使って、突きの衝撃を腕に残さないように受け流している。盾が間に合わない時は、剣ではじいたりもしている。

 そうするつもりだろうか? 俺たちの中に純粋な槍使いはいないから、あまり慣れていないタイプだと思うんだよな。俺の薙刀、クシュリナやエレノアの斧槍、ミリーの棒術と多少似ている所はあるが、使い方の違う武器だしな。あえて言うなら、ミリーの棒術が一番近いだろうか?

 地球では技術が拮抗しているなら、長物である槍の方が有利という見方が多い事を考えると、メルフィは不利になるが、ステータスでどれだけカバーできるかだな。対戦相手は、どう見ても鍛え上げられた40代のベテランだ。

 槍が手を軸にして右回転や左回転して、左右から襲ってくるスピードは、突きの非じゃないほど早い。突きは、腕の押し出すスピードで決まるが、回転させたり払ったりするのは、腕の使い方だからスピードが速くなるのは必然か・・・

 メルフィが体勢を立て直すために距離をとれば、距離をとった分だけ距離を詰める。いくらステータスに差があるとはいっても、身体構造上バックステップが前進の踏み込みに勝てるわけでは無い。リングの上の試合というスタイルではなく、平地であれば違っただろうが……

「不利だな」

 そうつぶやいてしまった。

「ご主人様、大丈夫ですよ。メルフィちゃんは、あの試合を楽しんでいます。あのくらいの動きでしたら、ミリーさんとの試合より遅いですからね」

 俺は、妻たちの模擬試合をあまり見た事がないから分からなかったが、今のメルフィは楽しんでいるらしい。そして、映像をよく見ると、少し笑っている印象だ。

 改めてみると、色々試しているような気がしなくもない。

 あ! 突きに合わせて前に出た! 距離を詰めるのかと思ったら、盾で受け止めていた。体重と勢いを乗せて受けていた。対戦相手の軸手は勢いにまけはじかれる。メルフィは、距離をつめる。

 槍使いは、距離を取りながら槍を構えなおし薙ぎ払う。メルフィは、それを受け流し更に距離を詰める。

 槍使いの間合いから、メルフィの間合いに入った。

 メルフィの斬撃は、間一髪防ぐ事に成功した槍使いだが、体勢が悪く攻撃を防げただけでそのまま転倒してしまう。そして近付いたメルフィに剣を突き立てられ、試合終了。

 予想より簡単に勝ってしまったな。それにしても、シングルの冒険者じゃなくても強い選手はいるんだな。これが試合だからか、これが戦場なら戦い方が変わってくるもんな。これはこれで面白い!

 試合が進み、サーシャの出番がやってきた。1回戦2回戦と、そこそこ強敵と当たり撃破してきたサーシャの3回戦は、あっけなく終わった。

 対戦相手が2回戦で負傷しており、サーシャの相手を出来る状態ではなく、試合が始まったと同時に後ろをとられ敗北。サーシャは不満っぽかったが、連戦しなきゃいけない武闘大会のルール上それは仕方がない事だ。

 シュリは相変わらず、危なげなく勝利をおさめていた。

 レイリーと同じブロックのシングル冒険者は疲弊はしていたが、さすがシングルというべきか、勝利をしっかりとつかみとっていた。

 3回戦最終試合のレイリーは、対戦相手が勝てないと言って不戦敗、え? 勝てなくても強者と戦う事は、良い事じゃないのか? 色々得られるものがあると思うぞ! 特にレイリーは、指導みたいな事をしてくれるしな。

「え~、ゴーストタウンコロシアム完成イベント3日目、武闘大会2日目の全試合が終了しました。武闘大会3日目は、3日後に開催されます。今日より熱い試合が見られますので、是非ご覧ください! 明日は、武闘大会に参加できない、魔法使いによる魔法のデモンストレーションがあります。

 そこにもディストピアからの参加がありますので、興味のある方は是非! では、気を付けて宿へお帰りください! あっ! 賭けの払い戻しは、忘れずに行ってくださいね!」

 この大会初の不戦勝で試合が終わってしまった。これは酷いな。サーシャの対戦相手は、ほとんど戦える状況では無かったのに、リングに上がって負けたのにレイリーの対戦相手は、しばらくの間ゴーストタウンには出入り禁止だな! 最終試合でしらけさせるとかダメだろ!

 それにしてもみんなよくやった! 武闘大会3日目も楽しみにしてるぞ!

 それに明日は、俺の出番だ! ただ派手な事をしても面白くないから、ビックリするような仕掛けを楽しんでもらおう。俺らが本気出したら、会場の半数以上が確実に死んでしまうからしょうがないよな。威力じゃなくテクニックを見てもらおう。

 でもさ、俺の順番が最後って言うのはどうなんだろうな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...