ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
838 / 2,518

第838話 戦争準備

しおりを挟む
 次の日には、ゼニスから白金貨1万枚が届いた。10倍に増えてる~! ってインフレすぎねえか? む? お金の価値は変わってないから、インフレとは言わないか?

 って、んな事はどうでもいい! 何でこんなに金があるんだ? さすがにこれはおかしくないか? さっそくゼニスに連絡をすると「何言ってるんですか? それでもまだ預けられている2割くらいですよ?」と言われて、たっぷり1分絶句した。

 後で知ったが、俺たちが気がねなしに使っている老ドワーフの防具に関して言うと、白金貨100枚は軽く超えるそうだ。それに、俺が初めて作った総アダマンタイト製の武器は、白金貨500枚以上の価値があるらしい。

 他にも、DPで召喚したドラゴンキラーが付与されている武器は、ダンジョンから産出される。モノによっては白金貨1000枚はくだらないと言われている。レッドドラゴン狩りが出来るようになれば、この程度はすぐに稼げるようになるらしい、お金ってある所にはあるんだな。

 その時に、スカルズって俺より金持ちなんじゃね? って思ったが、スカルズに関しては装備や専属ブラウニーの貸し出し費用という名目で、報酬の9割を支払っているそうだ。

 しかも、こちらが支払うように言ったお金ではなく、スカルズから自主的に払われている物らしい。ちなみに支払いと言っているが、ディストピア住民と同じく、寄付という形で押し付けているようなものだった。

 みんな、もう少し強欲になったほうがいいと思うぞ。お金は大切なんだからな!

 俺が規格外の金持ちだという事は分かったが、こんなに金をため込んでもいい事はないよな。どうにかして消費していかないと! とりあえず、宣戦布告するために冒険者ギルドにでも行くか。スカルズのケモミミ3人娘を連れて、冒険者ギルドに行く事にした。

「まぁ、3人は何で一緒に連れて来られたかは、理解してるよね?」

「そうですね。私たちが王国でどう思われていたかは別として、冒険者ギルドでシングルまで上り詰めた、実力者だと自負しています。その冒険者が、卑劣な罠にハメられて奴隷にされていたという事実の元に、戦争をという大義名分という所でしょうか?」

「そうだね。正直思い出したくない過去だと思うが、我慢してほしい。そして、こんな事をされるのを許してくれ」

「そんな事は気にしなくていいですよ。シュウ様には言ってませんでしたが、この記憶が辛くなる事があって、シュウ様の奥様方に相談した時に、シルク様とツィード様を紹介してもらい、記憶の封印や忘却は負担がかかるから、記憶ではなく記録という形に変換して、負担を軽減してくださいました。

 なので、今はそういう事があったという事実は認識していますが、それが負担に感じる事はほとんどありません」

「あの2人そんな事もしていたのか……今度、お礼を言っておこうかな? それにしても、記憶の封印や忘却が出来る事は知ってたけど、あれって負担が大きいんだ。敵に普通に使ってたから気にしてなかったけど……でも、負担は感じるんだろ? ごめんな」

「正直な所、記憶から記録となって、スカルズに話した時には、みなさんの方が怒ってくれましたからね。いい仲間ができて私たちは嬉しいです」

 そんな事を話していると冒険者ギルドについた。

「すいません。条件付きの戦争をゼクセンに仕掛けたいのですが、いくらが妥当か算出してもらえませんか?」

 カレリアの冒険者ギルドの受付でそういうと、喧噪としていた室内から音が消えた。しばらくしても受付から返事が無かったので、

「すいません。算定してもらえますか?」

「はっ! すいません。突然の事でしたので、びっくりしてしまいました。えっと、ゼクセンの街へ条件付きの戦争を仕掛けるための金額を、算出してほしいという事でよろしいですか?」

「可能ですか?」

「もちろん可能ですが、算出をすること自体不敬である事は、承知でしょうか?」

「不敬かどうかなんてどうでもいいよ。俺は、相手が貴族だからとか王族だからと言って、遠慮する事はない。もし、不敬罪とでも言って俺らをどうにかしようとするなら、すべてを薙ぎ払うさ。冒険者ギルドの受付をしてるなら、フレデリク・リーファス・ケープマインって聞けばわかるかな?」

 俺が話していると、貴族相手によくやるな……という声がいくつも聞こえてきた。そして、話し終わった後の受付の人は、顔を青くして近くにいた職員に何か伝言をしている。

「おそらくですが、あなたの事が誰なのか理解しました。そして、後ろにいる御三方は、そういう事ですよね? 伯爵様の強制依頼を受けて、それにゼクセンも関わってたという事でしょうか?」

「あれ? もしかして、ただの受付の人じゃない? 伯爵とその依頼を出したギルドマスターの事はどうなったか知ってるけど、まだこっちの3人に関わった奴が、ゼクセンにいるって事でね。用事があってここに来て、ついでに知った事実だったんだよ」

 普通の受付かと思ってた人が、ただの受付ではなさそうだ。そうすると伝言を頼んでいた職員が戻ってきて、受付の人がそのまま2階へ誘導するのでついていった。部屋に入ると、元冒険者のようなガタイのいい女性が座って待っていた。

「ギルドマスター、お連れしました」

「ありがと。こっちに座ってくれ。オーズ、飲み物を準備してくれ」

 オーズと呼ばれた受付で話していた男性は、部屋を出て飲み物でも取りに行ったのだろう。

「すまないね。簡単な話しか聞いていないが、あんたがシュウでそちらの3人がシングル冒険者って事かな? オーズ……副ギルドマスターが戻ってきたら、詳しく話してもらっていいかな?」

 受付にいたオーズという人は、副ギルドマスターだったらしい。偉い人がなんで? と思わなくもないが、飲み物を持って戻ってきたので、3人に関わる事を説明し戦争をするために、金額を算出してもらうために来たという事を理解してもらう。

「確かに戦争するには十分過ぎる理由だね。私もあんたらの話を聞いた時は、私がそこのギルドマスターを殺してやりたいと思ったくらいだからな。ただ、その条件……一族や関係者を全員奴隷となると、かなりの額が必要になるが大丈夫なのか?」

 俺はそう言われたので、ゼニスから送られてきた白金貨100枚が入っている革袋を、ギルドマスターの前に置く。

「100枚ずつ入ってる」

「1000枚か……それじゃ普通の戦争を起こす分にしかならないぞ?」

「よく中身を見てくれ」

「なっ! ギルドマスター! この袋の中身、全部白金貨です! それが10袋、金貨にして10万枚」

「金ならあるから、算出してもらえないか?」

「これだけあれば、お金の問題は大丈夫だな。オーズ、さっそく算出するんだ!」

 算出し始めて1時間程で結果が出た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...