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第810話 研究実験をすると……
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レッドドラゴンの鱗を加工し始めて、2時間ほどが経過した。ダマは暇になったのか猫みたいに丸まって寝たり、あごの下が痒いのか猫みたいに後ろ足を器用に使ってかいていた。
一応、虎だからネコ科の動物か? でも見た目がちっちゃくなっていて、猫と言うより子パンダを更に小さくしたような姿なので、ただの四足歩行のモフモフにしか見えない。
「ふ~、分かったのは、どれだけ穴をあけても体積が変わっても、鱗自体の火耐性の能力は変わらないんだな。鱗の持つ力だから当たり前なんだけど、カットした後でも見た目の体積の7割以上残っていれば、穴の開いている部分にも火耐性の効果があるのか、相変わらずこの世界は意味不明だな」
『ふぁ~~っ。主殿終わったんですかにゃ?』
「一応、体積や加工の仕方で変化があるかは、ある程度調べられたぞ。元の大きさでもカットした後でも、見た目の体積の7割以上が残ってれば、穴の開いた部分にも効果があるみたいだ。
で、ビックリしたのが、レッドドラゴンとミスリル合金の重さがほぼ一対一になると、ミスリル合金の部分にもレッドドラゴンの鱗の火耐性が乗る事が分かった」
『んにゃ? それならレッドドラゴンの鱗だけで、いいんじゃないですかにゃ?』
「レッドドラゴンの鱗の火耐性だけが乗るだけで、ミスリル合金の魔力の伝導率がおちるわけじゃ無いんだよ。これなら十分に、手足や頭の装備にも使えるって事だ。それ以上に武器に転用した際には有用になるかもしれないね。
ミスリル合金自体も、そこそこ熱や炎に強いけど、アリスが使う魔法剣のうち火属性の魔法剣だけは、高出力で使用できないからね。魔法剣自体の熱エネルギーにミスリル合金が耐えられないし、何より放射熱にアリスが耐えられなくなるからな」
『なるほどにゃ。アリスの姉さんは、あまり火属性の魔法剣使ってないですにゃ。あれ? それなら魔力撃の方はどうなんですかにゃ? 火属性に強い籠手なら問題なく放てるのではないですかにゃ?』
「魔力撃に関しては、属性以前の問題で、魔力の伝導率が高い素材だと、どうしても威力に耐えられずに劣化崩壊しちゃうんだよ。だから初めはよくても、そのうち壊れちゃうからどうにもならないんだ」
『素材の強度の所為なんですにゃ……で、今は何をされてるのにゃ? 何やらミスリル銀っぽい物を、粘土のようにこねているみたいですがにゃ』
「魔物由来のドロップアイテムは、金属以外クリエイトゴーレムが上手く効果を示してくれないんだよね。特に魔物としてのランクが高くなると、それに比例して魔法での加工が困難なんだよ。
金属以外のドロップ品には、クリエイトゴーレムなんてしてなかったから、気付かなかったんだよ。木とかは簡単に加工できてたから、気にならなかったんだけどね。今更になって落とし穴を発見した感じだね」
『で、それがミスリル銀を粘土みたいに、こねる理由になるんですかにゃ?』
「鱗を加工した時に出た鱗粉? って言えばいいのか、それをミスリル合金に混ぜて、均一になるようにしてるんだよ。鱗の原型が残っている時は、一対一の比率で鱗の効果がミスリル合金にも反映されたけど、鱗粉の場合はどうなんだろうかってね。
今の所1パーセントずつ増やしていってるけど、20パーセントでもまだ、ミスリル合金には効果が乗ってないね。鱗粉じゃ効果が出ないのかもしれないけど、実験だからな! 70パーセントを超えてもダメだったら、1パーミル毎に試して、それでもだめなら1パーミリアド毎に試してみる予定だ」
『ぱーみる? ぱーみりあど? どこの言葉ですかにゃ?』
「あ~千分率、万分率って言っても分からんか? 1パーセントの10分の1が1パーミルで、その更に10分の1が1パーミリアドっていうんだよ。元の世界でもあまり使う言葉じゃないからな。
パーミルは、勾配……坂道の角度を表す時に使う事があるから、言葉自体は知ってるけど、実際意味を知らないって人もいるだろうな。パーミリアドに関しては、言葉自体知らない人の方が圧倒的に多いはずだ」
『難しいですね。でも、そこまで単位を作る必要があるんですか?』
「あるから昔の人が作ったんだろうな。パーミルなんて使わなくても、パーセントに小数点を着けて使えばいいと俺は思うけどな。試行錯誤してるわけだよ。武器に転用するにも穴をあけてコーティングするよりも、添加の方がいいかもしれないし、強度がどうなるか気になるか。実験は大切なのだよ、うりうり」
ダマが膝の上に飛び乗ってきたので、耳の付け根や尻尾の付け根をコリコリすると、
『はぅ……気持ちい……もうちょっと内側をにゃ……』
俺の撫でテクニックにやられていた。根を詰めて頑張っていたみたいなので、息抜きに耳の付け根や頭、あごの下をコリコリしながらブラッシングを始めた。
最初は気付かなかったけど、家の猫たちも、モフモフの従魔たちもブラッシングをしないと、毛の艶がなくなるんだよな。あれって何なんだろな? 人間の髪の毛でも、そうだったりするんだろうか? そんな事を考えながらブラッシングしてると、コンコンとドアを叩く音が……
「ご主人様、昼食の準備ができました。食堂の方へお願いいたします」
ブラウニーの1人が呼びに来た。食堂に行くと、妻たちの半分くらいがいなかった。来なかったみんなは、職場の人間と一緒に食事をするらしい。1人で食べる事は基本ないけど、ディストピアにいる時のお昼は、人数が少なくなる事が結構ある。
カエデとリンドは昼食に来ていたので、昼までに分かった情報を伝えると、気になると言って午後からは一緒に実験する事になった。
魔物由来のドロップ品を加工する事によって、ミスリル合金の部分にも特性が乗るという事に特に驚いており、他の素材でも色々試すことになった。
素材によっては属性の威力が上がるかもしれない! と言って思いつくままに実験をした。時間を忘れて、そう時間を忘れて実験してしまったことにより、スカーレットにまた雷を落とされてしまった。
一応、虎だからネコ科の動物か? でも見た目がちっちゃくなっていて、猫と言うより子パンダを更に小さくしたような姿なので、ただの四足歩行のモフモフにしか見えない。
「ふ~、分かったのは、どれだけ穴をあけても体積が変わっても、鱗自体の火耐性の能力は変わらないんだな。鱗の持つ力だから当たり前なんだけど、カットした後でも見た目の体積の7割以上残っていれば、穴の開いている部分にも火耐性の効果があるのか、相変わらずこの世界は意味不明だな」
『ふぁ~~っ。主殿終わったんですかにゃ?』
「一応、体積や加工の仕方で変化があるかは、ある程度調べられたぞ。元の大きさでもカットした後でも、見た目の体積の7割以上が残ってれば、穴の開いた部分にも効果があるみたいだ。
で、ビックリしたのが、レッドドラゴンとミスリル合金の重さがほぼ一対一になると、ミスリル合金の部分にもレッドドラゴンの鱗の火耐性が乗る事が分かった」
『んにゃ? それならレッドドラゴンの鱗だけで、いいんじゃないですかにゃ?』
「レッドドラゴンの鱗の火耐性だけが乗るだけで、ミスリル合金の魔力の伝導率がおちるわけじゃ無いんだよ。これなら十分に、手足や頭の装備にも使えるって事だ。それ以上に武器に転用した際には有用になるかもしれないね。
ミスリル合金自体も、そこそこ熱や炎に強いけど、アリスが使う魔法剣のうち火属性の魔法剣だけは、高出力で使用できないからね。魔法剣自体の熱エネルギーにミスリル合金が耐えられないし、何より放射熱にアリスが耐えられなくなるからな」
『なるほどにゃ。アリスの姉さんは、あまり火属性の魔法剣使ってないですにゃ。あれ? それなら魔力撃の方はどうなんですかにゃ? 火属性に強い籠手なら問題なく放てるのではないですかにゃ?』
「魔力撃に関しては、属性以前の問題で、魔力の伝導率が高い素材だと、どうしても威力に耐えられずに劣化崩壊しちゃうんだよ。だから初めはよくても、そのうち壊れちゃうからどうにもならないんだ」
『素材の強度の所為なんですにゃ……で、今は何をされてるのにゃ? 何やらミスリル銀っぽい物を、粘土のようにこねているみたいですがにゃ』
「魔物由来のドロップアイテムは、金属以外クリエイトゴーレムが上手く効果を示してくれないんだよね。特に魔物としてのランクが高くなると、それに比例して魔法での加工が困難なんだよ。
金属以外のドロップ品には、クリエイトゴーレムなんてしてなかったから、気付かなかったんだよ。木とかは簡単に加工できてたから、気にならなかったんだけどね。今更になって落とし穴を発見した感じだね」
『で、それがミスリル銀を粘土みたいに、こねる理由になるんですかにゃ?』
「鱗を加工した時に出た鱗粉? って言えばいいのか、それをミスリル合金に混ぜて、均一になるようにしてるんだよ。鱗の原型が残っている時は、一対一の比率で鱗の効果がミスリル合金にも反映されたけど、鱗粉の場合はどうなんだろうかってね。
今の所1パーセントずつ増やしていってるけど、20パーセントでもまだ、ミスリル合金には効果が乗ってないね。鱗粉じゃ効果が出ないのかもしれないけど、実験だからな! 70パーセントを超えてもダメだったら、1パーミル毎に試して、それでもだめなら1パーミリアド毎に試してみる予定だ」
『ぱーみる? ぱーみりあど? どこの言葉ですかにゃ?』
「あ~千分率、万分率って言っても分からんか? 1パーセントの10分の1が1パーミルで、その更に10分の1が1パーミリアドっていうんだよ。元の世界でもあまり使う言葉じゃないからな。
パーミルは、勾配……坂道の角度を表す時に使う事があるから、言葉自体は知ってるけど、実際意味を知らないって人もいるだろうな。パーミリアドに関しては、言葉自体知らない人の方が圧倒的に多いはずだ」
『難しいですね。でも、そこまで単位を作る必要があるんですか?』
「あるから昔の人が作ったんだろうな。パーミルなんて使わなくても、パーセントに小数点を着けて使えばいいと俺は思うけどな。試行錯誤してるわけだよ。武器に転用するにも穴をあけてコーティングするよりも、添加の方がいいかもしれないし、強度がどうなるか気になるか。実験は大切なのだよ、うりうり」
ダマが膝の上に飛び乗ってきたので、耳の付け根や尻尾の付け根をコリコリすると、
『はぅ……気持ちい……もうちょっと内側をにゃ……』
俺の撫でテクニックにやられていた。根を詰めて頑張っていたみたいなので、息抜きに耳の付け根や頭、あごの下をコリコリしながらブラッシングを始めた。
最初は気付かなかったけど、家の猫たちも、モフモフの従魔たちもブラッシングをしないと、毛の艶がなくなるんだよな。あれって何なんだろな? 人間の髪の毛でも、そうだったりするんだろうか? そんな事を考えながらブラッシングしてると、コンコンとドアを叩く音が……
「ご主人様、昼食の準備ができました。食堂の方へお願いいたします」
ブラウニーの1人が呼びに来た。食堂に行くと、妻たちの半分くらいがいなかった。来なかったみんなは、職場の人間と一緒に食事をするらしい。1人で食べる事は基本ないけど、ディストピアにいる時のお昼は、人数が少なくなる事が結構ある。
カエデとリンドは昼食に来ていたので、昼までに分かった情報を伝えると、気になると言って午後からは一緒に実験する事になった。
魔物由来のドロップ品を加工する事によって、ミスリル合金の部分にも特性が乗るという事に特に驚いており、他の素材でも色々試すことになった。
素材によっては属性の威力が上がるかもしれない! と言って思いつくままに実験をした。時間を忘れて、そう時間を忘れて実験してしまったことにより、スカーレットにまた雷を落とされてしまった。
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