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第783話 ロマン武器
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一昨日、萎える惨状を見た俺は、次の日にグリエルの元を再度訪れて思ったことをそのまま伝え、特殊雇用としての冒険者枠を作る事になった。グリエルがゴーストタウンの領主をやっている老ドワーフとギルドマスターに話を通した。
その時、ディストピア以外では、女性冒険者は男性冒険者に比べて、稼ぎが低いので、冒険者ギルドとしては稼ぎが少ない新人の女性冒険者が、質の悪いパーティーに捕まらないでも大丈夫になる事はありがたいと、ゴーストタウンからと冒険者ギルドの両方の出資となった。
俺はその報告を受けて、悪い奴らに捕まる女性冒険者が減るのは良い事だよな。基本自己責任の冒険者活動でも、騙されてとか色々問題はあるけど、そういう人が減るのは良い事だろう。
特に女性冒険者は横のつながりが強いので、助け合う事も多く分母が多くなれば、それだけ安全が確保できるからな、ギルドとしても嬉しい仕事だろう。
正規の牢番1人と女性冒険者2名で夜勤をやる事になったので、毎日2人の雇用が生まれた。このクエストに関しては、連続受注ができないようになっており、最低1週間はあけないと受けられない事になっている。その分、報酬も高くなっているから、本当に困っている女性冒険者に受けてもらいたいものだ。
昨日一日は、萎えた気持ちを持ち直すことはできずに、グリエルとガリア、ゼニスから確認してもらいたいと言われた内容の書類を処理して家に帰ったっけな? 最後の方は、魂が抜けて仕事してた気がする。あの3人が確認した書類だから、不備がほとんどなくサインをする機械になってたな。
と言うか、意図的に不備のある書類を混ぜるのはやめてほしい! 前に確認せずにサインして怒られたもんな。実質名前だけの領主だから、俺に確認しなくてもいいって言ってるのにな。未だに俺が最終確認しなきゃいけないと言って、重要書類を回してくるんだから、いやんなっちゃう!
何とか立ち直れた今日は、久々に訓練をする事にした。綾乃が新型とは違うな、改良型の人造ゴーレムを作ってみたから、性能評価してほしいと言われたので訓練場に来ている。
「あ~シュウ、やっと来てくれた。助かったよ。私、戦闘はまるでダメじゃん? だから性能評価ができないんだよ。そしてこれが、私の仕上げた最新作! 改良型人造ゴーレム君7号だよ!」
綾乃はそう言って、布をはぎ取る。そこには俺も一度は構想したことのあるタイプの、人造ゴーレムがそこには立っていた。
「綾乃、さすがにそれの性能評価は無理だ。危険とかいうレベルじゃない。そんなのと訓練したら怪我じゃすまないだろ!」
俺は綾乃が作った改良型人造ゴーレムを見てすぐに理解した。Sランクの魔石を使った魔核によって出力が桁違いに上がっており、手足が刃物状になっていて、その部分はアダマンタイト製の人造ゴーレムだ。
どう考えても避け損ねたら、手足の1本や2本は軽く切り落とされてしまう。そして構想したのに作っていないのは、この人造ゴーレムには欠点があるからだ。
「それに綾乃、こいつの欠点に気が付いてるか?」
「え? 欠点?」
「あーやっぱり気付いてないよな。ダンジョンの床が外の地面に比べて、圧倒的に強度が高いのは知ってるよな? 人造ゴーレムの装甲にアダマンタイト増やしてるだろ?
Sランクの魔石で魔核が作れるようになったから、出力の面では問題ないけど、重くなってるだろ? ダンジョンでは立っていられても、外に出たら動けなくなるぞ。ダンジョンならスパイクみたいに、軽く刺さるだけだと思うけど、外だとな……」
アダマンタイトは重いのだ。重量のある刃物が地面に……
「あっ! 足が地面に埋まっちゃう?」
「ダンジョンでも高速戦闘したら、多分抜くのが大変なレベルで刺さると思う」
「……」
無言になった綾乃を見て、返答を待っていると、
「シュウ、よく来てくれたね! 助かったよ。私、戦闘はまるでダメじゃん? だから性能評価ができないんだよ。そしてこれが、私の仕上げた最新作! 改良型人造ゴーレム君8号だよ!」
もう1個準備していた改良型人造ゴーレムの布をめくって、初めの人造ゴーレムをなかったことにしたようだ。
次に出てきたのは、ちょっと重装甲に見えるタイプの人造ゴーレムだ。俺の初めて作った人造ゴーレムのコンセプトは、人型……いわゆる万能型、武器を持たせて戦うタイプの物を作っている。
それに対して、綾乃が作ったのは装備一体型とでもいえばいいだろう。そして装備しているのは、両手に盾のような物、あれはおそらくロマン武器だと思う。
「両手に持った盾は、もちろん盾の役目を果たしますが、拳側のこの部分を攻撃対象にあててトリガーを握ると、なんと! 杭が出ます! ロボットゲームにある、ロマン武器のパイルバンカーです!」
やっぱりパイルバンカーだったか。あれは、火薬などで杭を打ち出すだけで、銃判定ではないから使えるんだろうけど、人間だと反動に耐えられないから実用的な武器ではないが、重量のある人造ゴーレムなら使えるってことか?
「火薬方式は重量が増えるし、リロードしないといけないので、今回はマッスルメタルを使って、結構な威力を実現したのよ!」
「試射はしたのか?」
「まだよ?」
「バカ! まずは試射しろ! 何もなしに性能試験とかするな!」
「え~、だってめんどいじゃん? 私作るのが好きなんだもん!」
「もんって、可愛くないわ! しょうがない、戦闘訓練のつもりだったけど、性能実験か」
ただ、今回の性能実験で分かった事は、パイルバンカーは本当の意味でロマン武器だった。人造ゴーレムの重さでも、ひっくり返ってしまった。
姿勢が悪いと倒れてしまうようだ。質量体を打ち出すまでは良いが、杭が刺さった際の反動をうち消せないので、その部分を解決できないと武器として利用する事ができない、と結論に達した。
その時、ディストピア以外では、女性冒険者は男性冒険者に比べて、稼ぎが低いので、冒険者ギルドとしては稼ぎが少ない新人の女性冒険者が、質の悪いパーティーに捕まらないでも大丈夫になる事はありがたいと、ゴーストタウンからと冒険者ギルドの両方の出資となった。
俺はその報告を受けて、悪い奴らに捕まる女性冒険者が減るのは良い事だよな。基本自己責任の冒険者活動でも、騙されてとか色々問題はあるけど、そういう人が減るのは良い事だろう。
特に女性冒険者は横のつながりが強いので、助け合う事も多く分母が多くなれば、それだけ安全が確保できるからな、ギルドとしても嬉しい仕事だろう。
正規の牢番1人と女性冒険者2名で夜勤をやる事になったので、毎日2人の雇用が生まれた。このクエストに関しては、連続受注ができないようになっており、最低1週間はあけないと受けられない事になっている。その分、報酬も高くなっているから、本当に困っている女性冒険者に受けてもらいたいものだ。
昨日一日は、萎えた気持ちを持ち直すことはできずに、グリエルとガリア、ゼニスから確認してもらいたいと言われた内容の書類を処理して家に帰ったっけな? 最後の方は、魂が抜けて仕事してた気がする。あの3人が確認した書類だから、不備がほとんどなくサインをする機械になってたな。
と言うか、意図的に不備のある書類を混ぜるのはやめてほしい! 前に確認せずにサインして怒られたもんな。実質名前だけの領主だから、俺に確認しなくてもいいって言ってるのにな。未だに俺が最終確認しなきゃいけないと言って、重要書類を回してくるんだから、いやんなっちゃう!
何とか立ち直れた今日は、久々に訓練をする事にした。綾乃が新型とは違うな、改良型の人造ゴーレムを作ってみたから、性能評価してほしいと言われたので訓練場に来ている。
「あ~シュウ、やっと来てくれた。助かったよ。私、戦闘はまるでダメじゃん? だから性能評価ができないんだよ。そしてこれが、私の仕上げた最新作! 改良型人造ゴーレム君7号だよ!」
綾乃はそう言って、布をはぎ取る。そこには俺も一度は構想したことのあるタイプの、人造ゴーレムがそこには立っていた。
「綾乃、さすがにそれの性能評価は無理だ。危険とかいうレベルじゃない。そんなのと訓練したら怪我じゃすまないだろ!」
俺は綾乃が作った改良型人造ゴーレムを見てすぐに理解した。Sランクの魔石を使った魔核によって出力が桁違いに上がっており、手足が刃物状になっていて、その部分はアダマンタイト製の人造ゴーレムだ。
どう考えても避け損ねたら、手足の1本や2本は軽く切り落とされてしまう。そして構想したのに作っていないのは、この人造ゴーレムには欠点があるからだ。
「それに綾乃、こいつの欠点に気が付いてるか?」
「え? 欠点?」
「あーやっぱり気付いてないよな。ダンジョンの床が外の地面に比べて、圧倒的に強度が高いのは知ってるよな? 人造ゴーレムの装甲にアダマンタイト増やしてるだろ?
Sランクの魔石で魔核が作れるようになったから、出力の面では問題ないけど、重くなってるだろ? ダンジョンでは立っていられても、外に出たら動けなくなるぞ。ダンジョンならスパイクみたいに、軽く刺さるだけだと思うけど、外だとな……」
アダマンタイトは重いのだ。重量のある刃物が地面に……
「あっ! 足が地面に埋まっちゃう?」
「ダンジョンでも高速戦闘したら、多分抜くのが大変なレベルで刺さると思う」
「……」
無言になった綾乃を見て、返答を待っていると、
「シュウ、よく来てくれたね! 助かったよ。私、戦闘はまるでダメじゃん? だから性能評価ができないんだよ。そしてこれが、私の仕上げた最新作! 改良型人造ゴーレム君8号だよ!」
もう1個準備していた改良型人造ゴーレムの布をめくって、初めの人造ゴーレムをなかったことにしたようだ。
次に出てきたのは、ちょっと重装甲に見えるタイプの人造ゴーレムだ。俺の初めて作った人造ゴーレムのコンセプトは、人型……いわゆる万能型、武器を持たせて戦うタイプの物を作っている。
それに対して、綾乃が作ったのは装備一体型とでもいえばいいだろう。そして装備しているのは、両手に盾のような物、あれはおそらくロマン武器だと思う。
「両手に持った盾は、もちろん盾の役目を果たしますが、拳側のこの部分を攻撃対象にあててトリガーを握ると、なんと! 杭が出ます! ロボットゲームにある、ロマン武器のパイルバンカーです!」
やっぱりパイルバンカーだったか。あれは、火薬などで杭を打ち出すだけで、銃判定ではないから使えるんだろうけど、人間だと反動に耐えられないから実用的な武器ではないが、重量のある人造ゴーレムなら使えるってことか?
「火薬方式は重量が増えるし、リロードしないといけないので、今回はマッスルメタルを使って、結構な威力を実現したのよ!」
「試射はしたのか?」
「まだよ?」
「バカ! まずは試射しろ! 何もなしに性能試験とかするな!」
「え~、だってめんどいじゃん? 私作るのが好きなんだもん!」
「もんって、可愛くないわ! しょうがない、戦闘訓練のつもりだったけど、性能実験か」
ただ、今回の性能実験で分かった事は、パイルバンカーは本当の意味でロマン武器だった。人造ゴーレムの重さでも、ひっくり返ってしまった。
姿勢が悪いと倒れてしまうようだ。質量体を打ち出すまでは良いが、杭が刺さった際の反動をうち消せないので、その部分を解決できないと武器として利用する事ができない、と結論に達した。
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