ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
762 / 2,518

第762話 濃い1週間

しおりを挟む
 2個目の神のダンジョンを攻略してから、1週間が過ぎた。日常を送っていたはずなのに、何故か濃い1週間だった思ってしまう。

 帰ってきたその日は特になかったのだが、神や眠りについた後に問題があったと言っていいと思う。爺神様が宣言通り現れたのだ。また会おうとか言ってた気がするが、早すぎんだろ! その時のやり取りはこんな感じだ。

『ほっほっほ、本当に攻略しおったな。ベルゼブブの人間形態にしてから、攻略されるとは思わなかったぞい。あの状態は、倒すのが困難と思われる設定にしておいたのにのぅ。さて、約束しておった褒美をとらせようと思うが、なににするかの?』

 やっぱりあの発言は、あの形態のベルゼブブと戦わせるためにミスリードしやがったのか。てっきりヒントっていうから、倒しやすくするための方法だと思ってたのに、まんまと騙されたぜ。

 まぁいい、褒美ってのはどの位のものを要求していいんだ? 可能な範囲が分からんと、答えようがないぞ。それとも爺神本人が決めてくれるのか?

『ワシが決めてもいいが、それだといらない物を押し付ける事になるかもしれんからのぅ。やっぱり決めてもらいたいところだのぅ。可能な範囲とすれば、実現できないモノでなければ、ほぼ無制限だと思ってくれていいと思うぞい。100パーセントとは言えないが、一応聞くだけ聞いてみるのはどうじゃ?』

 なるほど、聞くのはただってことだな? 例えば1粒飲めば1年は歳をとらないみたいな薬や、飲めば時間限定で魔法が使い放題になる薬とかはできるのか?

『ふ~む、1年位は老化しなくなる薬は可能だが、不老になったお前さんに必要なのか? 魔法が使い放題になる薬は無理じゃな。

 老化しない方は、システムに組み込まれているから作るのはたやすいが、魔力が無限大に関してはシステムに無いから不可能じゃ。ダンジョン限定で、DPを魔力に変換して使えるようにする事は、今のお前さんでも可能じゃぞ』

 サラっととんでもない事を言いやがる爺だな。ダンジョン限定っていうのは、俺が支配しているエリア限定って考えていいのか?

『ちっ! 勘違いせんかったか。堕天使を見てたから、穴倉の方のダンジョンをイメージしてくれないかと、微レ存の可能性にかけてみたのじゃがダメじゃったのぅ』

 微レ存っていつの時代の言葉だよ! っと爺神のペースに飲まれるとこだった。

『なんと、今は使われていない言葉だったか。ついこないだ使ってるのを見た気がするのだがな……』

 神様の時間感覚ってあなどれねえな。それと、老化しない薬ってのは、死ぬまでの時間が延びるだけか?

『ん? どういう事か分からんのじゃが、イメージをするなら肉体の時間を止めて、老化を防止する感じかのう? ちなみに、細胞分裂の上限回数とかを気にしているのであれば、気にしなくても平気じゃぞ。知識や経験だけが、増えていく感じだと思えばいいのじゃ』

 思ってた以上に有用そうな薬だな。プラスになるものは阻害せずに、マイナスになるものだけ無視できるってことか。他にっていっても、今は思いつかんな。その老化しない薬ってのは、DPはどれくらいで召喚できるんだ?

『そうじゃな、10万程あれば召喚できるようにできるじゃろうな』

 簡単に全員分の薬を準備できるわけか。そう考えると大分安く感じるな。本来だったらもらえない物が、運よくもらえるようになったからこの辺で手をうつか。

『おかしなことを言う奴じゃな。本来なら1日でためられるDPが1万も行かないというのに、常識はずれじゃな。本来なら1個だけだして、ダンジョンに入る人間を増やすためのアイテムなんじゃがな。DPと相談しながら召喚していくアイテムじゃぞ。

 どの世界でも不老は権力者の夢じゃからな。冒険者は命を懸けてその薬を求めて金にする。権力者は金を払って薬を手に入れる。そういう連鎖でダンジョンに人を呼ぶという事もあるのじゃよ』

 世知辛い世の中だな。まぁその薬を召喚できるようにしてくれ。

『それだけでいいのかのぅ?』

 今は思いつかんから、それでいい。

「これだけじゃ楽しませてもらった対価にならじゃろうから、何か思いついたらわしを呼んでみろ。タイミングが合えば話せるじゃろうからな。不老薬を召喚できるようにしておこう』

 サンキュー。何か思いついたら連絡してみるわ。

 と、こんな感じだった。

 2日目と3日目は、年少組や土木組に連れられて、孤児の子たちとディストピアのいろんな所で、朝から晩まで走り回って疲れた。子供たちの体力を舐めてたわ。レベルが上がってても関係ないんだな。

 4日目は庭で休んで本を読んでいたら、上からダマが降ってきて何事かと思えば、ハクのお気に入りの寝床で寝ていたみたいで、鷲掴みにされて俺の近くまで運ばれて落とされたらしい。ダマを慰めるためになでていたら、ニコがその場所を奪って、俺になでろって圧力をかけてきたしな。

 極めつけは、おやつの時に、みんなの好物のお菓子が出たようで、先輩権力を使っておやつを取り上げられた時に、我慢の限界を超えたようで、仁義なき戦いが始まって、綺麗に手入れされた庭が……半壊した所で、スカーレットが庭に現れて自体が収拾した。

 戦いに参加した、ニコ、ハク、コウ、ソウ、ダマの5匹は、暫くの間、食事がペットフードになって泣き付かれたが、シルキーたちには逆らえないので頑張れ! 一言応援をした。

 5日目は、本当に何もなく平和に過ごせた。

 6日目は、魔物の出産があって夜に急に呼び出された。その時思ったのは、魔物って出産するんだなって感じだったな。誰が産むのかと思ったら俺の移動をささえてくれた、ウォーホースだった。

 馬の出産と同じ感じだったようで、ディストピアの獣医が問題なく取り上げてくれた。俺必要なくね? とか思っていたのは内緒だ。

 そして今日、7日目だ。この1週間は、常に誰かが近くにいて、介助をしてくれていた。食事を食べる際にも全部介助されて、自分のペースで食べれなかったから、結構ストレスが溜まってね。妻たちの気持ちは嬉しいんだけどね……

 栄養的には問題ないとシルキーたちが判断したので、最後に栄養剤を飲んでからエリクサーを飲み込んだ。

 しばらくすると、無くなった腕の先の部分がむずがゆくなってきた。次の瞬間、痛みが体を襲って意識のブレーカがおちたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

処理中です...