ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第724話 苦戦中

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 今目の前にいる悪魔系の魔物4匹は、全部が全部Sランク相当の魔物だと思われる。前衛の小さい方の堕天使3匹は、盾と剣を主装備に、背中に弓と矢、腰に杖を下げている。何だろうな、マルチプレイヤー的な装備は……

 後ろにいる大きな堕天使は、杖と盾を持っており、腰にメイスを下げている。こいつは基本的に距離をとって戦うタイプだと思うが、接近されたからといって攻撃手段がないわけじゃなさそうだ。

 さて、どうやって攻略をするべきかな? 攻防を続けてみたが連携の隙も無く、お互いがお互いをしっかりとフォローしている。お手本のような連携だけど、実際やられる側になると忌々しい……

「これは剣じゃどうにもできなさそうだな……鈍器でも使うか? 色々試してみるしかないよな。みんな、俺がちょっと鈍器試してみる。リンドも効果を確認しながらやってくれ」

 自分たちに出来る事を、検証していく作業をしている。前衛の堕天使に攻撃を仕掛けようとすると、大きい堕天使が魔法による弾幕を張ったり、他の堕天使と立ち位置を交換して、有利な位置から攻撃されてしまう。

 間をおいて戦おうとすれば、合体魔法……ユニゾンマジックとでもいえばいいのだろうか、俺たちがよくやっている火と風をあわせて火力をあげたり、風と土魔法で砂利サイズの礫を嵐で高速でぶつけたりと、手を変え品を変え攻撃してくる。

 見本になるんだけど、本当にやりにくい。

 それに、盾の使い方が上手いのがまた腹が立つ。斬撃にしても殴打にしても、きれいに受け流してしまうのだ。それでいて、受け流されることを狙ってした攻撃は、きっちりと受け止めたりかわしたりされるのだから、たまったもんじゃない。

「……ゅ人様! ご主人様!」

 ん? シェリルの声か?

「上手くいかないからって、自分を乱しちゃいけないの! 私たちによく言ってる事でしょ! 今のご主人様は、自分の事が見えていないように見えるの! だから落ち着いて!」

「そうだな、ここまで攻められなかったのが久しぶりで、取り乱してたな。ちょっと落ち着くから誰か前にお願い」

 ミリーは回復役としてこのチームに入っているので、受け流しの上手い斥候の二刀流のソフィーが前に出てきて、俺の代わりをしてくれている。二刀流で綺麗に受け流しながら反撃をしているが、攻撃が届いていない……とにかく防御が硬すぎるんだよな。

 盾の使い方も上手いし、連携も上手い。とにかく防御を抜ける攻撃か、あの盾をかわして体に直接ダメージを与えるか……

「せっかく後ろにいるんだから、俺も魔法を試してみるか」

 盾と鈍器を収納の腕輪に入れて、両手で持つサイズの杖を取り出す。一通り他のメンバーが魔法を使って効果を試していたが、どれも不発になっているので、俺は魔法の使い方を変えて攻撃をしてみる事にした。

 イメージするのは……高電圧をかけて雷を発生させる機械。雷属性に変換した魔法を、力の限り圧縮していく。杖から一番近くにいる堕天使に向かって、導線をイメージする。圧縮した雷属性の魔力を解放する。

 魔法の兆候を感じ取っていた堕天使は、魔法が発動されてからは防御が間に合わない、雷魔法を盾ではじきやがった……感知能力も高いとかインチキにも程がある。

 いけないな……ふ~、落ち着け。さっき注意されたばかりだろ? 落ち着け!

 次にイメージしたのは、圧縮された岩石。形は戦車につかわれる弾のような形状……ライフリングで刻まれる回転もイメージして、高速で打ち出す【岩砲】と名付けた。

 この魔法は、銃や大砲を魔力で全部再現したもので、この世界の特殊なフィルターでダメージが減算される銃器とは、違いフルにダメージを与えてくれる。だけど、1発撃つのにも時間がかかり、魔力をごっそり使うのであまり使う事のない魔法だ。

 この魔法も直線的で、堕天使にはじかれてしまった。多少ダメージは与えられているような感じがするが、消費した魔力を考えると割に合わない。

「直線的な魔法は、発動兆候で防がれちゃうね。弓の曲射はスピードが足りないし遠距離はきついか? レミー、合わせてくれ! 俺が火、レミーがブーストの風。行くよ! 3・2・1・ゴー!」

 風魔法でブーストされた俺の火魔法が、堕天使4匹を蹂躙する。魔法効果が切れると、大きい堕天使が魔力障壁を張っていた。

 結界と魔力障壁の違いは、結界は魔法によってさまざまな特性を防御するようにできる。ただ、多くても1つの結界で2つの特性を有する事しかできない。

 魔力障壁はスキルや魔法やスキルではなく、魔力を体外に放出して一定以上の濃度で圧縮し留める事によって、攻撃を防ぐ技術といえばいいだろう。アークデーモンが使っているのを見て初めて、認識できた技術だけどな。

「やっぱり効かねえな。それにしてもあのでかいの、魔力の総量多すぎじゃねえか? 俺たちの攻撃をさばく時にあれだけ魔力を使ってるのに、切れる気配がないぞ。理由は分からないけど、限りなく無限に近いと思って、対処するしかなさそうだな……」

 何が有効打になるかを1つ1つ確認しているが、効果があるものの割に合わないものだった・・・こうやって色々考えている時にも、みんなが攻撃をして有効打になる攻撃を探している状況だ。

 現状一番有効的なのは、シュリの鈍器による攻撃だろう。やはりステータスに裏付けされた破壊力はそれだけで強い。次点で、リンドの両手持ちの鈍器による攻撃だろう。

 純粋な破壊力による攻撃が一番効いている事を考えると、スキルを使いたいところだが今使ってしまうと、隙を見せて手痛い反撃を受けてしまう可能性が高いので控えている。

「どうするか? 鈍器を使って付与でぶったたいてみるか? スキルと違って、魔力を使い通常攻撃のダメージを増やすだけだからな。衝撃を強くするのは……土付与だったな。ちょっと前に出るか。ソフィー! ちょっと前に出るぞ!」

 ソフィーに声をかけてから、交換するような形で堕天使に突っ込んでいく。肉体活性に魔力を注ぎながら土付与をして、力の限り堕天使の盾をぶったたいた。

「やっぱり硬いな。それにあの盾、何かをエンチャントしてる可能性が高いな。一撃にかけるのはよくなさそうだ。2~3人で飽和攻撃でダメージを与えてみるか?」

 俺達は、連携強化のため色々試行錯誤しているが、個人個人の攻撃力が高いため、同時攻撃をあまり行っていないのだ。基本的に攻撃する人間は、スイッチして攻撃する人間を入れ替えて攻撃しているのだ。

 同時攻撃をすると、フレンドリーファイアが一番怖いのだ。100パーセント完璧な連携なんてとれないからな。

「ちょっと危険かもしれないけど、サイドからとか同時に攻撃を仕掛けよう。相手に暇を与えるな!」
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