ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第721話 まさかの事態!

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 目が! 目が! と言ってそうな仕草をしている従魔たちの頭を叩いて、しっかりと起き上がらせる。こいつらどうでもいい時に、一致団結して俺を困らせるから、本当に迷惑だ……まったく誰に似たんだか?

「レミー! よくやった。落ち着けばできるから、今の感覚を忘れないようにね。今回分かったことは、ベヒモスのあの電撃のまぶしい攻撃は最後に倒せば、一撃で済みそうだってことだな。

 時間で放つタイプだったら、最初に倒したいところだけど、もし体力の割合で放つタイプなら他の魔物を倒してる時に、後ろから撃たれるチームがいるから危険だな。他に何か気付いたことはあるかな?」

「はい。今回と言いますか、前回と今回で何となく感じた事ですが、魔物同士が何か連携を取ろうとしている様子が、見られた気がします。分断されてから、アークデーモンが目の前のタンクではなくて、他のパーティーに魔法を何度か使う姿も見られていました」

 ピーチがそんなことを言いだした。俺はハイデビルを相手にしてて気付かなかったけど、アークデーモンがバフォメットを攻撃しているメンバーに攻撃をしていたそうだ。何となく連携を取ってる感じがしなくもないな。

「はいは~い。やっぱり下に行くにつれて硬くなっていると思うの。殴ったり蹴ったりすると抵抗が強くなっている気がするの! でも、【浸透頸】は変わらずダメージを与えられているから、相手の防御力に影響なく、ダメージが与えられる攻撃かもしれないの!」

 シェリルが感じた事をそのまま発言した。殴って戦うせいか相手の防御力がダイレクトに伝わるのかな? それにしても浸透頸って防御無視攻撃って事か? 今までにもそんな感じがする事があったけど、正直オーバーキル過ぎて調べられなかったからしょうがないか。

 後は、敵が大きすぎるとダメージが拡散してしまうっぽかったから、局部的な破壊に留まってたんだよな。

「武器による攻撃に比べてダメージがどうしても稼ぎにくいし、超近距離攻撃をしなきゃいけないから使う時は、きちんと気を付けるんだよ!」

「は~い」

 素直に返事を返してくれたので、頭を撫でておく。くすぐったそうにするが嫌がってないから、ちょっと安心した。たまに頭撫でるのを拒否する時があるんだよな。その時の気持ちと言ったら……イカン想像しただけで涙が出てきてしまった! こんなことは忘れなければならん!

 他にもいくつか意見は出てきたが、今までの延長上の内容だったので再確認という形で終了した。

「で、今一つ思いついたことがあるんだけどいいかな? 今さっきの戦闘で、通路にいたダマたちをみて思いついたんだけど、ベヒモスだけを通路に誘導すれば、あのまぶしい攻撃の発動条件が絞れるんじゃないかと思うんだ。

 他の3匹はスケルトンや人造ゴーレムに任せて、俺たちだけで集中攻撃すれば、少なくとも時間で発動か、ダメージで発動かは見極められると思う。どうかな?」

 シュリとピーチ、アリス、ライムが真剣な様子で話し合い始めた。姉御組も俺の言ったことを検討しているようだ。年中組も残りの年長組と話し合っている。年少組は、大きくなっているダマの事をモフモフして遊んでいた。

 それ楽しそうだな。馬車の方を見ると、クロとギンは丸くなって寝ており、その上にブラウニーたちが団子になってまとわりついていた。どうしてそういう状況になったんだろうか? 本当に自由な奴らだ。

 話し合いが終わったようで、ピーチが俺に声をかけてきた。

「ご主人様。いまさっきの作戦を1度試してみようと思います。配置は、一旦馬車も部屋の中に入れて、従魔たちと、カエデさん、ミリーさん、リンドさんに守ってもらおうと思います。全員入った後に、シュリが通路へ引き込んで戦おうと思いますが、どうでしょうか?」

「通路にはシュリだけ?」

「いえ、私、アリス、ライムは通路に残って、シュリが来たら援護します」

 ふむふむ、その4人がベヒモスの正面を取るって事か? 多すぎても攻撃に参加できないし悪くないかな。シュリが強引にタゲを取っていてくれるなら問題ないだろう。

「シュリがタンクなら問題ないだろう。通路にはあまり入らなくていいから。お尻がちょっと部屋にはみ出している方が攻撃しやすいからね。難しそうだったら気にしなくていいけどね」

 作戦が決まったので次の部屋へ進軍を開始する。程なくして索敵に魔物の気配を察知する。手筈通りみんなが移動を開始する。今回は馬車も一緒に走っており、中でブラウニーたちが何やら騒いでいる。お前ら落ち着け! そして静かにしろ!

 部屋に飛び込むと、部屋の中では馬車が入りやすいように、導線が確保されていた。今回の部屋は少し丸い感じなので、馬車を守るためには向いていないけど、まぁ問題ないだろう。馬車が入るとシュリが……

「おぉ、すげえな。ベヒモスと綱引きして、強引に通路に誘導してるよ」

 筋肉ダルマに見えるベヒモスに【チェイン】を使って、強引に通路に引き込んでいるのだ。ベヒモスの方が体重的に圧倒的に有利で力もそれなりにあるはずなのに、この世界はステータスというものがあり、物理法則を無視する事ができるためこんな非常識が起きているのだ。

 地球で言えば、ゾウと綱引きをして引きずっているような、非常識な光景なのだ。

 通路に頭だけ突っ込んだ状態で、固定されてしまっている。

「よし、みんな総攻撃だ! シュリ、角が光ったら教えてくれ! 俺は【アースウォール】」

 俺は入口からベヒモスの光が漏れた時のために、光除けとして土の壁を作った。みんなでベヒモスのみんなで可愛くないお尻を全力で攻撃を始める。

「お尻とか足って思ったより頑丈だな……それにしても、シュリはすごいな。何度もこっちを振り向こうとしてるのに、力で強引に引き付けてるみたいだし、途中からベヒモスも諦めて、目の前のシュリを排除しようとしている感じがするし……」

 しばらく汚いお尻に攻撃を加えていると、シュリから角が光ったと声が聞こえてきた。そうすると今まで汚いお尻を出していたベヒモスが、ドンドン通路に引き込まれていき通路に入って行った……

「惚けてる場合じゃない!【フォートレス】誰か結界!」

 再度、非常識な光景に惚けていたみんなに声をかけて、結界を張るように促す。一番初めに反応したのは、レミーだった。まさか一番初めに立ち直るのが、レミーだと思わなかった。問題ない力で結界を張っていた。俺も【フォートレス】を全力で張っているので問題ないだろう。

 あれ? 全方位を攻撃する奴だったよな?

「シュリ、ありったけの力で【フォートレス】を張れ! レミー、今回は結界が壊れる可能性が高い! 壊れても気にするな。リリー! 俺の内側に上にはじくように斜めに【フォートレス】を張れ!」

 俺は指示を出して、次に来る攻撃に備えた。
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