ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第717話 不測の事態

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 目を焼く眩しい光がおさまったようだが、目がチカチカしており回復までにはまだ時間がかかる。ベヒモスが【フォートレス】か結界を叩いている音が聞こえる。

 さすがに突破されることはないだろうが、俺は結界を重ねがけする。音の感じから俺の方向が狙われているのが分かったので、念のためだ。この結界も無駄に終わった。俺たちが目を焼かれていて不利だと察した瞬間に、入口で控えていたスライムがベヒモスに奇襲をかけていたのだ。

 スライムは声を出せないのでどんな状況か分からないが、ベヒモスが悲鳴のようなものを上げていることから優勢だと思われる。時間にして3分ほど経過すると、やっと視界が回復してきた。

 視力が回復して何とも言い難い光景をめにする……

「途中から悲鳴みたいなのがあまり聞こえなくなったと思ったら、これが原因か。それにしてもピクピクしてるって事は、気絶でもしてるのかな?」

 目の前には、口にスライムが詰まっているベヒモスがそこにいたのだ。しかも白目をむいて倒れているため、どうしようかという空気になっている……

「止めを刺すか。って、死んだみたいだな」

 初遭遇したベヒモスの死因は、窒息死だったようだ。ゲーム的に言えば、窒息による継続ダメージによる死亡だろう。人間の体力では窒息=即死級のダメージで窒息死のように見えるが、ゲームっぽいこの世界では、体力の多い魔物だと窒息してから、しばらくして死ぬことが分かっている。

 わかったのは、ダゴンが出てきたダンジョンバトルの際に、色々試していて分かったのだ。適当に強い魔物を召喚して水の中に突っ込んで、苦しんでいる時に【鑑定】を使って、状態に窒息という文字が出て発覚した事実だ。

 これにはいろんな条件と言うか、窒息状態になる魔物とならない魔物がいたのだ。もちろん水棲の魔物には窒息という文字は出なかった。その代わりに水棲の魔物は水の外に出ると、衰弱状態になってそのまま放っておくと死んでしまう。

 そういう意味では、魚人って予想以上に優秀なんだと思ってしまった。陸上では少し弱体化してしまうが、水中にも陸上にも適用できる数少ない種族だとその時に再認識した。

「さて、しまらない終わり方をしたけど、ベヒモスと呼称したあの魔物はどうだった?」

 バフォメットよりは硬くなくダメージが通りやすかったが、四足獣だったためかかなり素早かったようだ。後は人型じゃない魔物だったため、戦闘の癖が対応しきれておらず、慣れるのに時間がかかってしまっていたようだ。

 このダンジョンは、全体的に人型が多かったし、特に強敵になった125階から戦闘の密度も高く、切り替えがうまくできなかったのかもしれないな。

 筋骨隆々といえばいいのか、ムッキムキの四足獣は迫力があったな。フェンリルはすらっと大きいと言えばいいのか、印象が全く違うんだよな。フェンリルの方が大きかったのに、ベヒモスの方が迫力があるんだから、見た目って大事だな。

 もうちょっと頑張ればフェンリルが手に入るんだっけ? 出来れば、あの大きいサイズじゃなくて、子供の小さいタイプのフェンリルがほしいところだけど、何か方法があるかな? ベヒモスもデフォルメしてちっちゃくすれば、可愛いんじゃないか?

 っとそんな事を考えている場合じゃなかったな。

「ベヒモスの強さはわかったけど、どう対応するのがベターかな? 特に誰がくらったわけでもないけど、終盤のあの光ったあれはかなりヤバいと思うけど、毎回あれをされるのは正直面倒だよな」

 全周囲範囲攻撃の電撃系の攻撃で、レミーの張った結界が破られており、受け持っていたメルフィがつかった【フォートレス】で事なきを得ていたとの事だ。

 今さっきは気付かなかったが、レミーがちょっと落ち込んでいた。自分の力が足りずに仲間を危険にさらしたかもしれない、という思いからか泣くのをこらえてプルプルしていた。俺はなんでこんなことに気付かなかったんだよ……

「レミー、こっちおいで」

 レミーを近くに呼んで話をした。初めに、気付いてあげられないでごめんね、と謝った後で話を始める。

「レミー。みんなをみればわかると思うけど、今回の事は気にしてないよ。でも、自分の事が許せないんだよね」

 レミーに限らず、みんな責任感が強い。でもレミーはまだ、この世界で考えても成人になっていないのだ。もう少しで成人になるけどな……今はそんな事を話している場合じゃなかった。

 次に話したのは、自分が許せないのはわかった。これから先もっと強くなればいいさ、と頭をなでながら思っていることを伝えた。

 最後に、俺たちはパーティーで動いているから、自分の出来る事を増やして、みんなで一緒に成長していこうと伝えた。

 そうすると、泣きじゃくってしまいこれ以上の行動はできないと判断して、野営を設置し始めていた。俺が指示出す前に、姉御組が仕切っていた。

 このダンジョンの特徴として、どれだけ同じ部屋に滞在しても再度魔物がわく事はなかった。その代わり移動したエリアには再配置されるようだったので、今日はそのままここで休む事になった。

 レミーは泣き疲れてしまったようで、寝てしまった。そのままにしておくのも可哀そうだったので、抱っこをして寝る場所へ運んだ。ベッドに横にならせると、心配したこれまで活躍していなかった、コウとソウの狐コンビがレミーの近くに来て丸くなって添い寝を始めた。

 残りのメンバーは夕食の前に作戦会議を始める。
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