ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第716話 ニュータイプ

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 少し急ぎ足だったが、ダメージフロアの130階を抜ける事が出来た。

「王国にあった神のダンジョンと同じなら、後20階でこのダンジョンも終わりかな?」

 現在、131階に入り、階段の設置されている広めの部屋で休憩をとっている。このダンジョンに入ってもう1ヶ月以上が経過している。俺たちにしては長い滞在期間となっていた。

 高レベルの冒険者でお金を稼いでいる者であれば、1ヶ月や2ヶ月は当たり前に潜っているのだが、このパーティーには現在、常識人はいないので指摘できる人物はいない。

 ちなみにミリーは、冒険者ギルドで受付をしていたので、長期間ダンジョンに潜る人たちがいる事は聞いていたが、どの位の期間潜っているのかは聞いた事が無かった事に加えて、非常識なパーティーに入ってしまったため少しずつ感覚がずれてきている。

 確かちょっと前まで1ヶ月とか潜るのは普通とか言っていたのに、驚くべき速度で浸食されているようだ。

 リンドに関しては、長期間潜っているパーティーがヴローツマインにいる事は知っていたが、あのダンジョンで長期間潜っている奴らは、ダンジョンの中で宴会をしているので、ノーカンだと思っている。

 あの街はドワーフの街と言っても過言じゃないからな。鉱石ダンジョンに潜っている人間たちへのサポートが半端ないんだよな。

 それはさておき、

「変化があるなら、この階からか135階って所だと思うけど、どうなんだろうか? 進んでみればわかるか。休憩はここまでにして、今日中に132階への階段まではたどり着こうか」

 ちょっとした軽食をとって、休憩していたメンバーに声をかけて出発する。

 通路を進んでいくと敵の反応が、索敵範囲の中に入ってきた。ここでちょっと驚いたが、事前に決めていたので指示に遅滞はなかった。スケルトン10匹と人造ゴーレム10体に指示を出して先行させる。俺たちも警戒をしながら、先行した10匹と10体を追いかけていく。

 4チーム出したことからわかるように、4匹の魔物がいるようだ。大体同じ大きさなので、バフォメット・アークデーモン・ハイデビルのどれかが増えたのだろう……と思っていた瞬間が俺にもありました。戦闘が開始されている部屋に入ってびっくり、

「ん~あの魔物って、ベヒモスって言わせたいのかな? 見た目がまんまファイナ〇ファン〇ジーに出てくる奴にそっくりなんだが……ここまで似ていると、ミスリードさせられている気がするんだが」

 部屋に入ると見た目が、ファイナ〇ファン〇ジーのベヒモスに似た魔物が、人造ゴーレムと戦っていたのだ。それに加えていつものメンバーと言っていいのだろうか、バフォメット・アークデーモン・ハイデビル3匹がいて、合わせて4匹が部屋にいたようだ。

 変な所でゲームっぽいのは相変わらずだな。

 気を取り直して、改めてベヒモスっぽい魔物を見ると違和感が半端ない。頭から尻尾の先までで3メートルくらいしかないのだ。

 俺の知っている14作品目のオンラインゲームでは、キャラクターの何十倍もでかかった気がしたと思うのだが、ここにいるベヒモスっぽい魔物はよく言っても10倍は大きくないだろう。ただ、四足歩行で頭についている前に突き出た2本の角からは、不吉な気配しか感じられない。

「とりあえず呼称は、ベヒモスでいっか……みんなに聞きたいけど、あの角どう思う?」

 ざっくりとした質問をみんなに投げかけてみる。そうすると、年少組は危ない気はするけどそれ以上にかっこいい! みたいなことを言っていたため、頭が痛くないのにこめかみをついつい押さえてしまった。

 年中・年長組は、魔法か何かを放ちそうな気がするという意見が多かった。姉御組は……というか、カエデとリンドは、あの角は短剣や槍のいい素材になりそうだと言っており、ミリーが苦笑していた。

「ベヒモスの正面には立たないようにしたいな。何か流れ弾をもらいそうな気配がして、しょうがないんだよな。とりあえず、ベヒモス以外の3体を早急に倒そうか。今回魔法組は何があるか分からないから、ベヒモスを囲むように結界を張ってくれ」

 どうにも、ベヒモスの角が気になって魔法組に結界を張ってもらい、半ば隔離した状態で先に他の3体を倒すことにした。1体ずつ確実に処理されていく。やはり130階の奴らよりかなり硬く感じるが、そこは数の暴力で処理している。

「結界を解いていいぞ。人造ゴーレム、部屋の中央に移動してくれ。俺たちは、側面か後ろに陣取るぞ。魔法組は一応結界の準備だけしておいてくれ。後はタンク組もフォートレスをいつでも使えるようにな。まずは、あいつの皮膚がどの位硬いか試しますか」

 俺は判断しやすいように刀で攻撃を仕掛ける予定だ。後は、アリスもスキルを使って判断する様だ。他にも貫通属性の高い弓による攻撃の見極めもしたいとの事で、メアリーとマリアが俺たちの後に攻撃する様だ。

 右側面からアリスが飛び出して、【メテオスマッシュ】を使って攻撃を仕掛けた。普通の魔物ならこれで死ぬのだが、腐ってもSランクに近い魔物だ。問題なく耐えきったが、さすがにノーダメージではなかった。

 アリスの剣が刀身を隠すくらいは食い込んでいた。アリスが飛びのくと同時にベヒモスが身をひるがえして、アリスの方を向こうとしている。

 俺は気が散っているベヒモスの左側面から、神歩からの抜刀術を使って切り付ける。アリスの攻撃で切り裂けたのが10cm位に対して、俺の抜刀術では深さ15cm以上は切り裂いていた。

 おかしいな、ダメージ量で言えば圧倒的に、スキルを使ったアリスの攻撃の方が強いはずなのに。そんな事を考えていると、ベヒモスは今度俺の方を振り向こうとし始めた。

 そんな隙をついて、メアリーとマリアの2人が【スピアショット】のスキルを使っていた。貫通力の高いスキルを放ちベヒモスを攻撃するが、矢では軽いのか10cm程食い込んで止まってしまった。

「スケルトン、人造ゴーレムに変わってタゲをとってくれ」

 人造ゴーレムでは、ターゲットを固定できないため、スケルトンに交換するように指示を出す。その後も色々攻撃を試してみてこう判断した。

「総合的に見て、バフォメットより柔らかいけどハイデビルより硬いって感じかな? バフォメットは純粋な物理系、ハイデビルは魔拳や魔法が使える中衛の万能型? みたいな感じか、その間ってどんなだよ」

 アークデーモンが純粋な魔法系だったため、バランスのいいチームだと思っていた所に変なのが入ってきて、考えが若干混乱している。倒すことに専念していると、ベヒモスの角が発光してバチバチ音を鳴らしていた。

「全力防御!」

 タンク陣が【フォートレス】を、魔法組が結界で防御態勢をとった瞬間、眩しい光が俺達の目を焼いた。
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