ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第704話 その瞬間は突然に!

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 攻めあぐねていたメデューサの包囲網に加わった俺は、武器を持ち換えている。よくわからないが、この世界の蛇には打撃がききにくいようなので、大薙刀に持ち換えている。

「シュリ、ピーチ待たせた。まずはこいつをさっさと排除しようか。タゲを持っているのは問題ないか?」

「この程度なら大丈夫ですね。武器を持っているわけでもないですし、武器と思われる石化も毒蛇の髪も効果が無いですから、直接殴るか蛇の体を使って締め上げるしかないですから、今の所は何の問題もないですね。動きが早いので1人だと、カウンターでしかダメージが与えにくいってところですね」

「了解。じゃぁタンクに全力を注いでくれ。攻撃はこっちでやるから頼む。みんなも聞いたとおりに攻撃を仕掛けてくよ」

 正直10メートルもある体が無ければ、俺たち全員で攻撃を仕掛ける事は出来なかったが、メデューサの体がでかかったため、攻撃を仕掛けるのは楽だった。

 やはりSランクというだけあって、タフネスが異様に高かった。攻撃力や魔法等の面は全く強くないのだが、特殊能力をタフネスで敵を倒していくタイプなんだろうと感じていた。

「もう一時間近く攻撃してるけど、弱った感じがしないけどみんなどう思う?」

 攻撃の合間にみんなに聞いてみるが、みんな同じだと感じており肯定の返事が多数かえってきた。

「やっぱりそうだよな。スキルリンクでダメージを与えてるはずなのに、上回る勢いで回復してるみたいだなよな。やり方を変えないといけないかもな。尻尾から輪切りにしてみるか。尻尾が生えてこなかったら、体を削いでいけばいずれ倒せると思う。もし違ったらまた考えよう」

 俺はそういって、メデューサの尻尾側に回り、くっつけても再生できないくらいに切り刻んだ。

【百花繚乱】

 スキルの中で初級・中級・上級と俺が割り振った以外にも、いくつかの例外があって、どんな方法をしてもスキルを繋げられない、特級と呼んでいるスキルがあって、ダメージはかなり大きいが色々と隙の大きいスキルなのだ。

 その1つが今使った【百花繚乱】だ。大薙刀、槍、大剣、斧槍等のある程度の武器が長く、斬撃属性のある武器で使用できる特級スキルだ。

 千切れたメデューサの尻尾を念のため、火魔法で焼き払う。しばらく様子を見てみたが、目に見えるように尻尾が生えてくるような変化は見られなかった。見られた変化は、血が出ていた切り口から血が出なくなり、薄い膜がはったような感じになっていた。

「目に見えて再生する事はなさそうだから、末端から削っていこう。その内動きが遅くなるだろ。ただ、普通の切り傷じゃなくて、えぐったり切り落としたりするように、余裕があったら焼くなりして処理してくれ。処理は念のためだから無理にはしなくていいよ」

 俺がこんな風に指示を出している間にも、メデューサは体を削られ続けている。敵には容赦がないな。

 俺も攻撃に参加して体を削っていくが、尻尾から胴体に向かって行くと太くなるため一太刀で切り飛ばすことができなくなり、えぐるような攻撃やV字のように切れ目を入れて、肉を切り取るような攻撃を入れている。

 30分程攻撃を続けていると半分くらいまで処理する事が出来た。

「やっと半分か……初めの一時間を無駄にしたのは痛かったな。そろそろ万能薬飲んでから2時間30分くらい経つんじゃないかな? 入口の目覚ましが鳴ったら順番に、薬飲むんだぞ。それまでは攻撃を続けよう」

 攻撃しているとメデューサの動きが変わった。痙攣して少し体がでかくなった。少しというと語弊があるな。サイズにすると5割増し程にデカくなっていると思う。そしてもっと変化が見られたのが、頭についていた毒蛇も一緒に大きくなって、髪の毛だった毒蛇が頭から離れて、自立行動を開始した。

「うげぇ、蛇がうじゃうじゃだよ。シュリはそのままメデューサのたげをお願い。他のメンバーは手分けして蛇の処理をするよ。毒蛇だから注意するように……っね!」

 最後の言葉を言うと同時に、範囲スキルの【薙ぎ払い】を使用する。大薙刀をかまえて薙ぎ払うようにして足元にいる毒蛇を吹き飛ばす。そのまま【挑発】を使って敵を毒蛇たちのヘイトを稼ぎタゲをとる。そのまま少し後ろに引いて視界内に収める。

「みんな、数が多いから魔法で焼き払おう。火魔法だと自分たちにも影響があるから、風魔法で切り裂くか土魔法で押しつぶすか礫で撃ち抜くか?」

 俺がそういうと、毒蛇を的にして、あまり得意ではない魔法を撃ち込み始めた。風魔法の【ウィンドブレード】や土魔法の【プチメテオ】と名付けた、巨岩を頭上から落とす魔法を使っている。少し上がった土煙の間から、禍々しい色の霧が出てきた。

「みんな退避! 毒だみんな退け! 【フォグ】【レイン】」

 俺はみんなが退く前に、水霧を出して禍々しい色の霧を押さえ込み、集中豪雨のような雨を降らせて毒だと思られる霧を、全部地面にたたき落した。

 それ以上の発生がないかを見守るが、突然

 ジリリリリリリリ!!

 目覚まし時計の音が鳴り響いた。しばらくその音が空間に響き渡るが誰も動かない。禍々しい色の霧はそれ以上発生しなかった。

「みんな、順次万能薬を服用してくれ」

 みんなが服用するのを見守りながら、空飛ぶ蛇の方をみる。あっちは順調に時間を稼いでいてくれるようだ。ただ追加で体からアンカーが半分ほど抜けているのが分かった。メデューサにあまり時間をかけていられなくなった。俺も万能薬を服用して、シュリの前に出る。

「シュリ、いったん俺が引き受けるから万能薬を飲め」

 ヘイトを稼がずにシュリとの間に強引に割り込み、時間を稼ぐようにスキルを使用する。

【月下美人】

 上下左右からの4連撃をたたき込み、少し後ろに押しやり距離をとり再度突貫する。全体重を乗せるようにして神歩を使い、そのまま【椿】を使用する。高速で大薙刀を突き刺し、さらにシュリから距離を離す。この間にシュリは万能薬を飲み終わっていたので、俺の前に出てきた。

「シュリ、もうちょっと任せたよ」

 無言で頷きメデューサに接近し、俺達が攻撃をしやすい位置に誘導してくれた。

「体がでかくなってるけど、向こうの蛇の事を考えると時間があまりないから少しペースを上げて削ろう」

 体に無理が無い程度に強めのスキルやスキルリンクで、メデューサの体を削っていく。再度攻撃を始めてから、20分ほどするとその瞬間が唐突に訪れた。

 メデューサがドロップ品に変わったのだ。そしてみんなの声が揃った。

「「「「「えっ!?」」」」」
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