ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第699話 10階の謎

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「今日は、良く分からない現象で、ウィスプが長時間滞在できない10階に突入する。様子見をしなきゃいけないので、昨日の夜、急遽整備しなおした人造ゴーレムたちに、カメラをつけて送り出すことにした。

 魔核はコピーするために、持ってきていたからつけるだけでよかったけどね。という事で、5体程送り出すよ。それとニコとダマ、一緒に階段付近まで来てくれそこでも様子を見ようと思う」

 俺がそういうとシュリとピーチも、一緒に行くと言いついてくることになった。残りのメンバーはみんなで、人造ゴーレムから送られてくる映像の解析をしてもらう予定だ。

「ちょっと行ってくるから、何かあったら呼んでくれ」

 3人と2匹と5体で下に進んでいく。人造ゴーレムたち階段の先へ進んでいく。一応ここでも映像を受信できるようにしているが、特に気になる所はない。

「さてどうしたもんかな?」

『主殿、ウィスプとやらを召喚して、この先に送り込んでみてはどうですか?』

「なるほど! 人造ゴーレムと同じ5体位送り込んでみるか」

 ダマの助言をもらって、ウィスプを5体召喚し10階に送り込む……昨日と同じで一定時間、約3分を過ぎると消えてしまった。

「ウィスプが消えるのは大体3分で、消えるタイミングは2秒のズレもない感じかな?」

「同じタイミングで、死んでしまうんですね。次はもう少し数を増やして、送り出してみませんか?」

 ピーチに言われて10体のウィスプを送り出すが、結果は変わらず、3分位経つとウィスプが消えてしまう。消えてしまうタイミングも、2秒と変わらなかった。

「ウィスプ以外にも、送り出してみるか。死んでも心の痛まないゴブリン・オーク・コボルトと、その強化種を2体ずつ位送り出すか」

 普通種と各強化種、ソードマン、マジシャン、シーフ、アーチャーを2体ずつ呼びだして、10階へ送り出す。俺がオーク、ピーチがコボルト、シュリがゴブリンを見る役目についた。

「何ていえばいいのかな。死ぬ順番が、種族に関係なくマジシャン、普通種、アーチャー、シーフ、ソードマンの順番だったな。でも、種族で死ぬタイミングが全然違ったけどな。

 ゴブリン、コボルト、オークの順番か。ゴブリンとコボルトは、大きく変わらなかったけど、オークは死ぬまでに結構時間がかかったな」

 しばらく考えているとダマが、

「主殿、これってHPの高さに比例して、死ぬ時間が長くなっているんじゃないですかね?」

「やっぱりダマもそう思う? じゃぁもっかいウィスプを召喚して試してみるか」

 比較対象として、3体のウィスプを召喚する。比較する方法は、3体の内2体に2分が経った時に回復魔法を使い、さらに2分後に2体の内1体に、回復魔法を使うという物だ。

 結果は3分後に1体、5分後に1体、7分後に1体という形で消えた。

「これは決定だな。このフロアは継続的にダメージが加えられる、トラップみたいなものがあるってことだな。継続ダメージより回復量が多ければ、死なないって事か? どれだけ回復するのかよくわからんけどな。さて、どうした物だかな?」

『主殿、某が少しあのフロアに行ってもいいですか? ちょっと確認したいことがありますので』

「大丈夫か?」

『某や主殿の考え通りなら、問題ないです』

「本当に気を付けていけよ」

 ダマが10階に入るのを見送る。心配はあるが大丈夫だと言っているし、何かある前に回復魔法を自分で使えるから大丈夫だと……ダマが10階でしばらく動いてから戻って来た。

『主殿、思っていた通り継続ダメージが入る様子ですが、自分たちみたいにLvが高ければ、問題になる事は無いようです。ちょっとむずがゆい感じがするくらいですね。もしかしたらですが、魔物でも無機質な物には無効かもしれませんね』

「それならアンデッド系にも、無効かもしれないな。【クリエイトアンデッド】」

 弱いスケルトンを生み出して、進ませてみる。オークが死んだくらいの時間待ってみたが、特に変わった様子もなく動いていた。

「それにしてもこのフロアには魔物がいないのか? カメラにも映ってないけど、どうなんだろうな? 情報は集まったから、いったん戻って準備を始めようか」

 情報収集に1時間以上かけ、必要な情報はそろったので、他のみんなの待っている場所に戻り、状況を説明して進むことになった。そのまま10階を進んでいく。

「ダマの言っていた通り、何か体がむずがゆいな。お風呂に入った後の血行が良くなって、体がかゆくなるあれの何倍もかゆくした感じだけどな」

 10階を進んでいる間、俺、妻たち、シルキーにブラウニー、ウォーホースにクロやギン、ハクもムズムズしている感じだった。強い方のスケルトンは、全く何も感じていない様子だった。ただ、ニコだけはよくわからず、プルプル震えていた。

「やっと終わったな。でもさ、おそらくだけど20階も同じようなフロアだと思うんだよな。ウィスプがいられる時間が短くなってるから、10階より強いトラップって事だろうな。

 このパターンだと、10階毎に同じようなトラップがあるのかな? 帝国も良くこのダンジョンでレベル上げしてたもんだな。王国も奴隷兵以外は、そこまで強くないか? 気にするだけ無駄だな」

 10階を通り抜け11階へ到達した。11階に入ってすぐに体の調子を確認するが、特に異常は見られていない。マップ先生で確認しても特に状態異常にかかっているなどという事は無く、継続ダメージの入るだけフロアだったという事だろう。

「みんな大丈夫そうだから、先へ進んでいこうか。マップ先生でダンジョンの作りを見ると上の10階と同じような作りになっているから、注意していこう」

 11階に入ったからといって、ダンジョンの階層の広さも入れ替わるエリアの大きさも、変わることはなかった。変わったのは出てくる魔物の強さと、種類の追加といったところだろう。今回追加されたのはミニデビル、コウモリ、白蛇だった。

 ミニデビルやコウモリは、まだ闇属性のくくりとしてはわからなくもないが、白蛇って闇なのだろうか? と考えてしまった。

 アルビノ種の白蛇だったとしたら、まず間違いなく闇とは違うが、暗闇に住んでいて白くなってしまったというのであれば、闇と言えるのだろうか?

 よくわからないが、そもそも闇属性の魔物が出てくる場所と決まったわけではないしな、そういって自分を納得させた。
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