ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第695話 ゴーストタウンの変化

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 ゴーストタウンにダンジョンを作成した翌日、この計画は俺の手を離れガリアの手に渡った。後は俺が不用意にかかわるより、放置して見守る方がいい結果になるのは、目に見えているので手を出さない事にしている。

「ちょっと忙しかったけど、また暇になったな」

 昼下がり、俺の定位置となっている、庭の世界樹の木陰にあるソファーに座って、独り言をつぶやいている。俺のお腹の上には、ハクが丸くなって寝ている。ニコは今日は頭の上でなく、俺の枕代わりとしてそこに鎮座してくれていた。ただ時々、高速で揺れるためビックリすることがある。

「しばらく頑張ってたから、のんびりするのも悪くないんだけどな。この状態で一週間も過ぎると、これでいいのかと体がムズムズしてくるんだよな。働いている時は、休みたいとか思うけど、実際に長い休みになると、ムズムズしてくる。面倒な人間だな。夏休みに一日中ゲームをやっていた時が懐かしい」

 どうでもいい独り言を言って黄昏ていると、眠気が襲ってきて眠ってしまった。

 どれくらいの時間が経ったか分からないが、ニコが高速で振動した事によって目が覚めた。大分日が傾き寝ていた場所に、光が差し込んできていた。

「まぶしっ!!」

 体を起こすと太陽の光が直接当たっていて、今の言葉が出てしまった。

 こわばった体を伸ばしながら目を覚ましていく。お腹で寝ていたハクは、体勢を変えられてちょっとご立腹な感じで、キュイッと鳴くが本気で怒っているわけではないので、無視して体を伸ばしていく。

「あっ! ご主人様。目が覚めたんですね。ここしばらく忙しかったみたいですし、今日は気持ちよさそうに寝ていたので、起こさずにいたんです。そろそろお食事になるので様子を見に来ました。起きていてよかったです」

 そういったのメルフィだった。もうそんな時間だったんだな。もう少し体を動かしたら、食堂に向かう事を伝えて、先に戻ってもらう。

 屈伸や軽い体操などをして、体を伸ばしてから食堂へ向かった。特に何があるわけでもなく、夕食も終わり1日が過ぎていく。昼間に寝たのに夜もぐっすり寝れた……けど、次の日は体が重かった。寝すぎたのかな?

 次の日になったところでする事は無いので、従魔たちと一緒にダラダラして過ごしていた。1週間くらい自堕落に過ごしていたら、こんな生活でもいいかな? と思い始めた頃にハッと思った。

 このままじゃ、不労収入のある引きこもりになりかねない! そう考えたらする事は一つ、体を動かす事にした。朝やっていたストレッチや戦闘の訓練も、行わなくなってしまっていたので、そこから修正する。

 朝食の後にもしっかりと体を動かし、鈍った体をほぐしていく。ほぐしていると、緊急連絡が入った。何故緊急連絡で来たかは分からないが、ガリアから『ゴーストタウンでダンジョンの入り口が発見されました!』との事だ。

 後でわざわざ連絡したのは、俺に連絡が無いは後々、不自然に思われるかもしれないので、報告だけしてこっちで指示を出しました、と言う事にしたとの事だ。

 一週間動かなかったせいか、本調子に戻るまでに2週間もかかってしまった。休んだ倍の時間もかかって、本調子に戻すなんて時間の無駄だったな。せめて身体だけは動かしておくべきだった。

 それにしても俺がダラダラしてても、妻たちは何も言わなかったな……結婚した相手がこんな奴では嫌だと思うが、どうなんだろうか? 刷り込みに近い物もあるから、何も思わなかったりするのだろうか? 怖くて一生聞く事は無いだろう。

 ダンジョンを作ってから3週間が経過した。昨日あった報告では、ダンジョンの中の探索が始まっているとの事だ。一層にあたる部分には、危険な要素は全く入れていないので、問題になるのは魔物の出る所からだろう。

 どこまで調べるかにもよるだろうが、ゴーストタウンの冒険者の能力で、どこまで出来るかは不明だ。俺の知った事ではないので問題は無いのだが、無駄に死ぬのだけはやめてほしい所だ。

 報告を受けても、次の日には頭の隅に追いやられてしまっているため、思い出される事もなく日が過ぎていった。次に思い出されたのは、1週間後の食糧庫に使われていたという、ゴーストタウンの冒険者ギルドから出された報告が、俺にあがって来た事によるものだった。

 農民の誘致も始まったが、ゴーストタウンに元々住んでいる人間が優先的に、農地を与えられることになっており、次に中立地帯に住んでいる住人が選ばれる事になり、最後に他の国からの移住者を受け入れる形になる予定らしい。

 ゴーストタウンと中立地帯の話は、その日の内に街中に流れ申込者が殺到していた。家は少し整備すれば、問題なく使えるレベルで建てておいたので、すぐに畑仕事が出来るようになっている。

 至れり尽くせりでいいのかなとも考えたが、ゴーストタウンが表面上独立するための方策なので、しょうがないのかな? こんな事を考えていても、これ以上俺に出来る事は無いので、すぐに忘れられることになる。

 問題は、また仕事が増えた! とスプリガンの皆様がブーブー言っていたので、シルキーのお手製お菓子を、定期的に差し入れをする事にした。お菓子が大好きなスプリガンの女性陣は、それだけで笑顔で仕事をしてくれるようになった。

 でも、あのニヤニヤとした顔を見ると、はめられた感が否めなかったが、気持ちよく働いてもらえるならそれでもいいかな? と考えている。

 ゴーストタウンの地下に、ダンジョンを新しく作ってから1ヵ月半後には、農業を始めたり、ダンジョンの入り口に冒険者ギルドの支部が作られたりして、食糧庫ダンジョンと名付けられた、ダンジョンに入る冒険者も訪れ始めていた。
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