ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第669話 緊急事態?

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 一ヶ月のスキルリンクの訓練を続けて、ある程度発動できるようになっていた。その中で恐ろしい事実が判明した。

 人型の魔物でも訓練をしたいと、みんなから要望があったのだが、俺が召喚できる中で一番強い亜人の魔物が、オーガキングだったのだ。

 こいつを召喚し続けたり、現れる階層を作っても無駄にしかならなかったのだ。そこでスケルトンに視線をやると、全力で逃げていったので候補から外して、悩んでいた時に思い出したのが、俺が作っていた人造ゴーレムだったのだ。

 動きも早く、力も強い、打たれ強い、痛みを感じない、と的にするには、十分すぎる性能を持っていたので、俺が作って放置していた物と、綾乃が作った物を呼びだして、みんなの相手をさせている。

 人造ゴーレムは、正確には魔物ではないので、スキルや魔法を使ったりできないのだが、相手の動きを模倣するための機能が、ばっちりと仕事をしたため、スキルリンクの時の身体の動きを、トレースすることに成功していたのだ。

 スキルではないので威力は落ちるが、それ以上にスキルリンクではないので、バーストすることがなく四ポイントに縛られずに、スキルと同じ動きをし続ける事が出来たのだ。

 スキルの動きを真似できると言っても、身体への負担はすごく十分もフル稼働すれば、賢者の石を使って作った人造ゴーレム用の筋肉である、マッスルメタルが劣化疲労してしまう事が分かった。

 十分しか動けない理由は他にもあり、スキルリンクの動きを模倣するためには、魔力を相当食いつぶすため、今の人造ゴーレムの魔力供給の魔核では、足りていない様なのだ。Aランクの魔石三個による魔核では、魔力が全然足りていないという事なのだ。

 スタミナを使いすぎて、魔力が余っている時に実験したのだが、アダマンタイトを使ったマッスルメタルを使って、魔力タンクになっている魔核を増やしたのだが、出力が上がったせいで、増設した魔核があっても、十分のフル稼働が限界だった。

 同時にアダマンタイトで作ったマッスルメタルでも、劣化疲労をしてしまうため、そのため魔核を増やしても無理に動かそうとすれば、魔核以外は使い物にならなくなるという、使い捨てになってしまう事が分かった。

 素のステータスでSランク下位の実力はあるので、何の問題もないんだけどね。あえて言うなら、スキルリンクを使っている十分間なら、神のダンジョンにいたファイアナイトでも、問題なく対応できると思われる。

 十分間だけだが、ファイアナイトと人造ゴーレムは、タイプ的には近いので、人造ゴーレムより、素早さがちょっと負けている以外は、ファイアナイトの方が上であるため、持久戦になればファイアナイトの方が圧倒的に有利だ。

 人造ゴーレムと訓練をし始めて感じたが、強くなれば相手の体勢を崩してからでないと、スキルリンクするのが難しいと感じだ。動く相手へのスキルリンクは、二発目以降が敵のいない所で発動することがあるため、ターゲットが動く強敵の場合は、あてることが難しいようだったのだ。

「みんな、慣れてきたね。本番の実戦で使うのは出来そうかな?」

「そうですね。たたみかける時に、上級のスキルを使うような感じで、スキルリンクを使うのでしたら問題なさそうです」

 これは前線で戦っている、シュリからの発言だ。

「やっぱり、動いている相手に使うにはリスクが高すぎるね。今までスキルに頼らずに戦ってきたおかげで、みんなの技術は高いから、ダメージソースが増えるという点でいい事だと思おうか。ダメージが上がる半面、武器への負担が強くなるから、気を付けていこう」

 これからも継続的に訓練を続けていく事になり、集中して訓練を行う期間は終わった。これ以上はすぐに上達するものではないので、ゆっくりとやっていく事になったのだ。

 慌ただしく訓練していた期間が終わり、またゆったりとしたペースの生活に戻った。

 スキルリンクの訓練は、大体一日に一時間程行なう事になり、時間が空いた時に自由に行えるように、訓練場には人造ゴーレムを、十体程置いておいてある。メンテナンスが大変だが、必要な物として割り切ろう。

 綾乃にもメンテナンスを頼んでいるし、お金の代わりに小説のデータを渡す、という事で手を打ってくれた。あいつには苦労を掛けるな。あ、バザールもクリエイトゴーレムを覚えているから、協力してもらうか。

 っと、タイミングがいいのか悪いのか、バザールがこっちに向かってすごい速さで近付いてきた。

「主殿、ダンジョンに勇者が侵入してきたでござる。今までのように日本人の顔の作りでないでござるし、黒髪でもないでござるがどうなさるでござるか?」

 ござるござると、今日はうるさく感じるな。

「男? 女?」

「男が二人と、引き連れているパーティーが十人程でござる」

「ふ~ん、何かしてくるような感じか?」

「今の所不明でござる。実力的には対魔物戦では、Sランクに匹敵すると思うでござるが、対人戦とすれば、主殿の奥方たちにはかなわないと思うでござる」

「って事は、Aランク上位の実力……レベル三〇〇の壁を突破できてない奴等か。対魔物戦でSランクって言っても、Lv五〇〇を超えてるクロとギンの敵じゃないだろ」

「一対一なら、負けないと思うでござる」

「何しに来るんだろうな? 単にゴーストタウンのダンジョンに、来ただけかもしれないしな。念のため足止め用に、ゴーストタウンとディストピアを繋ぐ地下通路に、人造ゴーレムを五体位置いておこうか。もし攻めてきた時の事を考えれば、時間稼ぎくらいにはなるだろ?

 地上にはクリエイトアンデッドで量産した、スケルトンを置いておくか。強さ的にはLvを上げてないから厳しいかもしれないけど、数を置いておけば何とかなるよな」

「そうでござるな。ただゴーストタウンで暴れたらどうするでござるか?」

「あそこにいる、死んだら困るメンバーって誰かいたっけ?」

「常駐しているメンバーはいないでござるが、よくグリエルやガリア、ゼニスが行ってるでござるよ」

「あれ? あそこの領主って、老ドワーフの誰かじゃなかったっけ?」

「あのポンコツでござるか? 最近は鍛冶ばっかしていて、ディストピアの工房に入り浸ってるでござるよ」

「マジか! でも老ドワーフがいなくても、ゴーストタウンは問題ないとみるべきか?」

「それは違うでござるよ。元々、ポンコツは何もしてなかったでござるからな。グリエルとガリアの部下たちが、有能でござるから問題が無かったでござる」

「グリエルとガリアには頭が上がらんな。ちょっと老ドワーフには、お灸をしとかないといけないな。俺が言っても聞きそうにないから、ガルドあたりにまかせるか」

 勇者は様子見って事になり、スプリガンの皆さんに見張ってもらう事になった。

 本編とは話はそれるが、老ドワーフが一ヶ月程、この世の終わりと言わんばかりの表情で、ディストピア各所の公共施設を、掃除しているのが目撃されたようだ。
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