ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
664 / 2,518

第664話 スキルリンク

しおりを挟む
 三日程怠惰に過ごしていると、妻たちが出発すると言っていたため、ダンジョン農園の俺専用列車の発着ホームで、みんなを見送った。どこに行くかまでは聞いていないが、八つ程のグループに分かれて、お出かけするそうだ。

 およそ二週間かけて、色んな所に行くようだ。一人一匹ずつスライムを連れていっている。妻たちの方が強いが、護衛として役に立つから、何もないように頑張ってもらいたい。

 初期のスライムたちには、収納の箱を吸収させてあるため、荷物運びも問題なく行えるのですげえ万能なのだ。八グループに一匹ずつ配置している。

 よく考えると一日二日は、離れた事はあるけど、こんなに長い事離れるのは初めてだな。こっちに来てから一人だったのって、全部で二週間くらいじゃないか? カエデを助けてからは、ずっと行動を一緒にしてるからな。そう考えると寂しいな。

 そう思っていると、ニコとハクが定位置にスタンバイして、かまえと急かしてくる。ハクはワシャワシャと撫でまわし、ニコは上に放り投げてやると喜んでくれたようだ。

 そして怠惰に過ごすのは、三日が限界だった。何かする事が無いかを探し始めてしまった。二日続けてグリエルの執務室に行ったら、『する事は無いので、おられると邪魔です』とバッサリと切られてしまったので、失意のままダンジョン農園に来ている。

 そうすると、ダンジョン農園の一角に作った訓練場で、スケルトンたちが訓練を行っていた。

 よくよく見てみると、スキルを使っているようだ。しかも俺が神のダンジョンで見せた、攻撃を真似しているようだった。

「あ~あれも練習しておかないとな。やるなら各スキルの癖とかを、覚えないといけないよな。どれだけ時間がかかるんだろうな」

 スケルトンたちにつられて、俺もスキルの連携を練習しはじめた。

 俺のメインウェポンの、大薙刀の技を確認していく事にした。使い始めてわかったが、大薙刀の技には名前がついていなかったのだ。頭でイメージして動くと、スキルとして発動する物がいくつかあった。

 なので、自分で勝手に名前を付けてみた。

 上段から叩きつけるように振り下ろし、睡蓮の花のように地面が咲くので、【睡蓮】

 下段からの高速の左⇒右⇒真ん中の三連撃を行うのを【金盞花】

 【金盞花】とは逆で、上段からの高速の左⇒右⇒真ん中の三連撃【蓮華】

 中段の左右の連撃から上下の連撃の四連撃で、敵の後ろに月下美人の花が咲くような感じなので【月下美人】 

 るろう〇剣心の斎藤一の牙突の様に、一直線に相手を貫く【椿】

 花の名前で統一したかったので、何となく付けた。

 SFCのロマン〇ング・サガ2の、分身剣みたいな感じをイメージしてできてしまった、相手の周囲を走り回って、斬撃を全周囲から複数回くわえる【牡丹】

 六個程名前を付けたが、後は槍スキルなどと被るので、この辺で名付けるのは終わりにした。普通に高速の二連突きで、ベタな名前の【二段突き】とか、【足払い】とかそういった、他のスキルと被っている物が多かったのだ。

 スキルをいくつか使っていて気付いたが、槍や長物のスキルは基本的に移動しながら使われる事を想定していない感じで、先に例をあげた【二段突き】は、足を止めて攻撃するため神歩の後に使っても大きなダメージアップが見込めないのだ。

 薙刀専用スキルで、高速移動から繋げられる技術……スキルリンクとでも呼んでおこうか。スキルリンクを使って繋げられるのは、六つの内【睡蓮】【金盞花】【蓮華】【椿】の四つだった。【牡丹】相手の周囲を走り回って、攻撃をするところまでが一セットなので、高速移動の恩恵はうけれなかった。

 【金盞花】【蓮華】の三連撃は、神歩からのスキルリンクができたのに、四連撃の【月下美人】は、スキルリンク出来ずに止まって攻撃を仕掛けてしまう。

 違いがよくわからんが出来ないなら出来ないで、スキルを使うタイミングさえ間違わなければ、問題ないだろう。それにスキルからスキルへのスキルリンクだってあるんだから、そっちが上手くできれば問題ないだろう。

 大薙刀のスキルに関しては、二日で使えるようになっている。苦労したのは専用スキル以外にも、大薙刀で使えるスキルが多かったので、把握するのに時間がかかったのだ。スキルリンク自体は、あまり時間をかけずに使えるようになったのだが。思ってた以上にたくさんのスキルがあるから苦労した……

 一週間程で、大薙刀や刀、片手鈍器、両手鈍器、槍、レイピア、片手剣、両手剣、斧槍など様々なスキルリンクを、ある程度把握できた。

 後半に練習を行った武器は、他の武器でタイミングが大分つかめていたので、予想していた以上に簡単に使えるようになっている。まぁ使えるようになっているのと、使いこなせるでは全く意味が違うけどな。

「やっぱり使う武器を限定しないと、厳しいよな。メインは大薙刀で、刀は外せないよな。後はタンクをするから、片手剣と片手鈍器ってところか。それでも四つだ、身体に覚え込ませるしかないよな。

 一応他の武器でも、スキルリンクを使えるから、教えるのには問題ないよな。使いこなせるようになるのは、みんなに頑張ってもらおうか。俺も使いこなせるようにならないといけないしな」

 さらなる力を求めるために、俺はスキルリンクを練習し始めた。

 練習開始から三日目。

「動いていない的に対して使うなら、ほとんど問題なさそうかな? 発動タイミングが変わらないわけで、同じタイミングで、スキルリンクすればいいだけだもんな。動く的を相手に訓練しないと……」

 近くにいたスケルトンたちを見ると、俺の視線から逃れようと、明後日の方向を向き始めた。スケルトンナイトだった奴が、スケルトンパラディンになっており、防御が硬くなっているのを思い出して、逃げようとしている二体を捕まえた。ついでに回復役のスケルトンプリーストも捕まえて、協力させている。

 それにしてもこの骨たち、しゃべらないだけでこっちの言いたいことを理解して、避けようとする高等テクニックを使うんだから恐ろしい。まぁ俺に捕まったからしょうがないよな。俺の訓練に付き合う事になった骨たちであった。

『ねぇあんた、ちょっと前から見ているけど、スキル使って何してるの?』

 見てわかんないのか?

『分からないから聞いてるのよ!』

 何だろな、突然声がかかっても、ビビらない俺がいる。なれって怖いな。それはさておき、今やってるのは、俺がスキルリンクって呼んでる、事前の行動をスキルに繋げる練習だよ。

『? そんなことして意味あるの?』

 意味なきゃやってねえよ。よく見ておけ、スキルの威力が変わるから。

 一番見た目で分かりやすい【蓮華】を使って見せた。神歩を使ってからの【蓮華】は、花が五割程デカくなっているので、かなりの威力増加が分かるだろう。

『それって、初級スキルよね? 上級スキルならその威力を超すんじゃないの?』

 お前は、本当に俺があげてる小説を読んでるのか? 初球のスキルで中級、上級並のダメージを与えれるなら、手数を増やせるだろ? 初級スキルは使った後の隙が、少ないから便利なんだぞ!

『そうなのね! やっぱり私が呼んだ、あんたはすごいわね! 本当の意味でユニークスキルを身に着けてるしさすがね! ちょっと自慢してくるわ!』

 っと、あいつその内後ろから刺されたりしねえよな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...