ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
659 / 2,518

第659話 帰還準備

しおりを挟む
 創造神のじーさんがいなくなると、俺の意識がまた闇に包まれて心地よい眠りについた。

 どのくらい寝たのだろうか? まどろみの中覚醒をしていくと、お腹の上が重い。またスライムが俺の上に乗ってるのだろうか? 俺の命令を聞いていたら、ベッドまで運んでくれたのは、こいつらだから何も言えないか。

 手を動かしてお腹の上に乗っている、スライムを退かそうと動かすと……あれ? スライムの感触じゃない?

「あ! ご主人様! みんな~ご主人様が目が覚めたよ!」

 この声はネルか、俺のお腹の上に乗ってどうしたんだろ? どれくらい寝てたんだろうな?

「ネル、俺はどのくらい寝てた?」

 目が開く前に、お腹の上で喜んでいる声を上げているネルに声をかける。

「ご主人様は、十八時間位寝てたよ!」

「十八時間か、結構寝てたみたいだな。みんな心配かけたかな?」

「そうだよ! みんな心配したんだからね! 急に倒れちゃうからみんなびっくりしたんだよ!」

 まくしたてるようにネルが言うから、やっぱりみんなに心配をかけていたようだ。俺も抗えない程の眠気に襲われたからな。みんなに謝らないとな。

「ごめんな。時間的には、朝食が終わった位か?」

「そうだよ! さっきまでみんなもいたけど、私が先に食べてみんなが食べてる間、様子を見ることになったの!」

「ネル、ありがとな。そろそろ体を起こすからどいてもらっていいかな?」

「は~い」

 何で俺の上に乗ってるかは分からないが、心配してくれてたから小言はなしだな。体を起こすと若干身体が、こわばっているのが分かる。さすがに十八時間もぶっ続けで寝てれば、そうなってもしょうがないよな。

 俺が体を起こして動きを確認していると、ネル以外のみんなが部屋になだれ込んできた。全員が俺の心配をしてくれて、声をかけてくれた。俺はもみくちゃにされたが、何も言わずなされるがままにしている。十五分位もみくちゃにされると、みんなが落ち着いたようだ。

「みんなごめんな。原因はよくわからないけど、結構緊張した状態で頑張ってたし、傷を回復しながらだったから、体の方にも負担がかかってたかもしれない。みんなにも無理させちゃってごめんね。

 今日はとりあえず、風呂入って飯食べたら地上に戻ろっか。特別な扉を作ってから俺たち専用の、地上に簡単に行ける通路を作ろう。このダンジョンは奪取したから、問題ないだろうし。お風呂に入ってる時にでも、いじってみるよ」

 俺の意見を聞くと帰る準備をするように、ピーチが指示を出していた。お風呂は片付けないでくれよ!

 いつの間にか頭の上の定位置に納まってたニコを連れて風呂に入りに行く。

「あ゛~~気持ちいな。やっぱりお風呂は最高だ! っと、ダンジョンをいじって穴を開けれるかな?」

 掌握出来ているようで問題なく穴を開けれたが、途中で反応が止まった。どういうことかと思って、再度穴を掘るように命令を出すと、ダンマスをしていて初めて経験した【警告!】という文字が、ダンマスのスキルボード上に出てきた。

「ん? 警告、ここにはメテオダイト製の金属がありますが、穴をあけてもいいですか? ってどういうことだ? 穴をあけてみるか。ポチっとな」

 特に何か変わった様子は無い。ダンマスのスキルで開けてるんだから、問題があってたまるかってところだけどな。そのまま螺旋状に地上までの通路を作っていく。

『あんたなんかした? 今さっきまで見られなかった、あんたのいる所が見えるようになったんだけどどういうこと? それにしてもこんな形してたんだね。確かにあんたの言った通りの形だわ』

 そういう影響があったのか。なんかメテオダイトっていう金属に穴を開けた影響じゃないかな?

『メテオダイト? 聞いたことない名前の金属ね。何で分かったの?』

 何か警告が出て穴をあけてもいいですか? って出たからOKだして穴開けたら、今の状態になったと思う。それとこの金属は、俺の想像が間違ってなかったら、創造神が権能か何かで作った金属だと思うぞ。

『ふ~ん、何でそう思うの?』

 十八時間位意識失ってたけど、その時に創造神に褒美をもらったからな。創造神は影響を受けてなさそうだから、何かしらの効果があったんだと思うけど、穴をあけた事によって効果が、無効化されたのかもな。

『創造神様と話したの?』

 あれを話したと言うなら話したって事だろうな。この会話と同じように、声だけのやり取りだったけどな。それにしてもゆるい感じだったな。

『あ~それは昔っからそうだからね。それにしても創造神様が神以外と話すなんてね~私には信じられないけど、神のダンジョンを制覇したのは、あんたが初めてだからそういう事もあるのかな?』

 そんなこともあるって、神のダンジョンは世界によって同じらしいから、他の神に教えてやるといい。それに一番簡単に踏破できると思われるのが、今回のダンジョンらしいよ。

『うひょー! いい情報だね! これでまた他の神の悔しがる姿が見れるわ!』

 ほどほどにしろよ。この前みたいに絡んでくる神が、いないとも限らんのだからな。俺が後始末しなきゃならん状況は、勘弁してくれ。

『…………』

 もういなくなってら、チビ神は思い立ったら即行動なのか? それとも神が全部そうなんだろうか?

 この世界に来て、勇者が称号だけと知って何かショックを受けたけど、神様も地球とは違って、ただ娯楽のために全力を注ぐ、狂人なのではないかという考えが浮かんできた。

 神も称号みたいなもので、地球における信仰の対象として尊崇・畏怖されるものという事は無いのではないかと思う。

「通路ができたから、これで問題なく帰れるな。後は扉をどうするかだな……まてよ? 掌握出来て穴が開いたって事は、コアルームのダンジョンコアをとっても、大丈夫ってことか? それなら、俺たち以外の誰かが、いつかボスを倒した褒美として、地上に帰れる道を用意するか?

 出口だけをきちんと対処しておけば問題ないか、近くに山があるから、そこに小さめの洞窟を作って、偽装した出口を作れば、問題ないかな?」

 独り言で出てきた言葉をそのまま実行に移す。

 作業も終わったので、そのままお風呂を堪能していると、ブラウニーが食事ができたと、俺を呼びに来た。その後に、消化の良い美味しい物をたくさん食べて満足した。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...