ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第639話 森エリア踏破

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「わかっていたけど、森型のフロアって面倒だな。ウィスプたちのおかげでフロアは丸裸だから、最短距離で階段まで向かえるけど、全方位からの襲撃はウザい!」

 俺は、このフロアの事を端的に口にすると、みんなが同意と言わんばかりに首を縦に振っている。

 このフロアに多い魔物は、昆虫系のようだ。カマキリの様な攻撃的な奴や、カブトムシのような防御型のような奴がいる。後は蜂も見かける、他にも色々な昆虫がいる。

 自分たちのフィールドという事もあり、動きが異様にいい気がするんだよな。Lv以上の強さを発揮する、可能性があるんだよな。あ~めんどい。

 一日で六階を踏破できるペースで進んでいる途中、三十五階で異変を感じ取る。俺だけじゃなく、従魔たちも止まり辺りを見回している。その違和感が分からないまま次の変化が起きた。

 突然地面から、大きなものが現れたのだ。

「円陣防御態勢! シュリとリリーは、あの大きい物の前側に!」

 ピーチ指示に従って、円陣の防御態勢が組まれる。外周部にタンクと前衛のアタッカー、その内側に弓と魔法、一番内側にヒーラーと俺、ウォーホースが曳いている馬車がいる陣が完成する。

 魔物側ではない方は、スケルトン組が担当してくれている。従魔たちは、基本遊撃なので距離をとって、いくつかのグループになっている。

 シュリが一番最初に攻撃を受けることになるため、俺とヒーラーは、バフ魔法をどんどんかけていく。

 シュリが挑発し、デカ物のヘイトを稼いでいる。ワームっぽいな。ディストピアにいるワームとは、全然違うな。大きさもそうだが、攻撃性がやたらと高い。物理法則を無視して、攻撃を止めてしまうシュリもすげえな。

「おそらくですが、Sランク程の強さは無いと思います。重量があるので、攻撃力やタフネスはSランクに相当すると、考えてもいいかもしれません」

 シュリの報告を受けて、ピーチは行動を開始する。

「シュリが受けてくれている間に、攻撃を仕掛けます。体が大きいから、ダメージを重視して攻撃を。魔法組、最大火力で詠唱開始! キリエはシュリに結界の準備、私とネルは全体に結界準備。魔法組の攻撃に合わせて、中心に全員集合!」

 指示が出ると全員が行動を開始する。魔法組の詠唱が終わるまでは、アタッカーが自分の持てる力で、攻撃をしかけダメージを与えている。ライムから準備ができると合図が入ったので、俺は魔法組の前に詠唱していた魔法を解放する。

「【サンダーボルト】」

 俺の魔法が着弾すると、デカいワームが少し痙攣した様子を見せ、行動が止まったので、その隙にみんなが退避してくる。

 みんなが退避したのを見ると、最大火力の火魔法をライムが、煽り立てるような風をイリアが、ジュリエットとレミーが雷魔法をニ人の魔法に合わせて解き放つ。それと同時に防御結界が張られる。

 大火力の魔法が着弾するが、デカいワームは生き残っていた。かなりダメージを与えたと思うが、死なないな……それにしてもこいつって、何なんだ? このフロアでは、普通にいる魔物なのか? それにしても強さが全然違うよな。

 このダンジョンは、今までボスがいなかったな……ボス代わりの魔物? ガーディアンみたいなものか? 何かの小説では、ボス部屋みたいなのはいなくて、ダンジョンの中を、強い魔物が徘徊してるってのもあったな。そんなダンジョンってことか?

 追撃でみんなが攻撃を仕掛けているが、一番効いてるのは、リンドの攻撃か? あいつの使ってる武器って、ハンマーだよな? ワームに打撃系って有効なのか? 五分程攻撃と魔法を繰り返して、何とか倒しきれた。本当に面倒な相手だった。

「ピーチちょっと休憩しよう。戦闘時間は、長くはなかったけど、ちょっと集中しすぎたから少し休むよ。【アースウォール】【結界】」

 ピーチに許可をとり、みんなを包むように石壁を作りその外に結界を張り、簡易的な休憩所を完成させた。他の冒険者に知られれば、これが簡易的な休憩所なんて口が裂けても言えない。

「どうすっかな、時間的には問題ないから、少し休憩したら、目標の三十七階の階段前まで行こうか」

 ニ十分程休んでから、ダンジョンを進んでいく。

 少し時間はオーバーしたが、何とかたどり着けたな。

「壁が近くにあるから、そこまで移動して野営地を作ろうか」

 今までは、洞窟型のダンジョンだったので、そこそこ広い部屋を占領して、そのままそこに野営していたが、今回は森タイプのだだっ広いエリアなので、自分たちで休める場所を作らないといけなくなっている。

 魔法組が壁を作っていく。ダンジョンの壁に添うように石壁も作成して、足元も石で包んでいく。入り口以外は、全部石壁になっている。そこにシルキーたちがプレハブモドキを出していき、配置していく。

 空気を入れ替えられるように、魔道具もセットして、入り口には寝ずの番ができる、スケルトンたちを置いておく。攻めてきても、あいつらがしっかりと守ってくれるだろう。この階だったら、問題なく倒せるからな。

 特に何かあるわけも無く、夜が過ぎて朝を迎える。

 六十階までは、一日六階ずつ降りていき、六十階まで十日で降りてきた。

 俺たちが強くなっているという事もあるが、それ以上にマッピングができているのが、移動の速さに直結しているのだろう。強さは、六十階でおそらくLvニ〇〇位の魔物だろう。

 そういえば最近は、ランクで魔物分けをあまりしていない気がするな。Sランクが規格外って感じで、呼んでるくらいか?

「この下は、またタイプの違うダンジョンなんだろうな。また迷路型みたいなダンジョンになってるけど、一つひとつの部屋がでかいんだよな。それに真四角じゃなくて、ラグビーボールみたいな形の部屋もあれば、ヒョウタンみたいな形の部屋もある。何だろな?」

 食事が終わって、マップ先生を眺めていると、ついつい声が出てしまった。各々違う事をしていて、聞いていたものはいなかった。

 気になるのは六十一階以降を探索している、ウィスプの数が減っているんだよな。一〇〇〇匹いたウィスプが、今は八〇〇ちょっとに減っているのが、気になるのだ。何があったのだろうか?
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