ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第625話 上限解除は茨の道

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 ガリアは土曜・日曜と家族とゆっくり過ごしてから、また聖国へと旅立っていった。頑張ってくれ!

 俺は変わらず、レベル上げのダンジョンに入って、上がらないレベルとにらめっこして、経験値を稼いでいる。みんなもレベル五〇〇は越して、本当の意味で超人部隊になりつつある。一ヶ月程チビ神に連絡をとってみているが、全然反応がないので困っている。

「ご主人様! そろそろ趣味部屋の小説とかマンガ、アニメ増やすの?」

 魔物が途切れたあたりで、今日一緒に来ていたネルから質問してきた。最近はレベル上げをしていて忘れてた。

「最近は忙しすぎて、すっかり忘れてたね。休みの日はみんなもあの部屋使ってるんだから、補充しないといけないよね。今週末にまとめて召喚しようか」

 そういうとネルは、飛び跳ねるように喜んでいる。ネルはゲームより小説が好きで、俺があまり読まない恋愛系の小説を好んで読んでいる。他にも、恋愛の絡んでいるライトノベルや、SFとかも好きなようだ。マンガで言えば、少女漫画のような物を好んで読んでいる。

 みんな好きな物が違うため、大量の本を準備しているので、趣味部屋が今や図書館と言わんばかりの広さになっている。ブラウニーたちが休みの日に、自分の仕事として片付けた後に、本を読んで楽しんでいるので、綺麗にはなっているのだが……広すぎだよな。

 あ……チビ神も、そろそろ新しいのが欲しい頃だよな? 連絡が取れなければ、どうにもならないよな。

『ん?何か呼ばれた気がしたけど?』

 なんつータイミングだ。今まで俺の呼びかけに反応しなかったくせに、こういった時に限って何で反応するんだよ。

『え~だって面倒そうだったから、反応するの嫌じゃん』

 そうか、じゃぁお前にデータをやるのはもう終わりだな。もう用事無いから帰っていいぞ。

『ちょっと待ってほしいんだな。だってあなた上限解放について聞こうとしてたでしょ? 私たちも言っていい事と、ダメな事があるのよ。だから教えられないって言ったら、あなた怒るでしょ? だったら反応しない方がいいじゃない』

 そっか教えられないんだ。お前に用は無いから帰っていいよ。後でデータ送っておくから邪魔しないでくれ。

『え? 怒らないの?』

 怒っても、お前さんには言えないんだろ? 無駄な時間を過ごす意味はないじゃん。こっちからのデータが、手に入らなければお前は困るだろ? そこで嘘つく必要ないじゃん。それに一ヶ月も逃げるって事は、本当に言えない事なんだろ?じゃぁそれでいいよ。

『そう、データはありがたくいただいておくわ』

「みんな、ちょっと聞いてくれ。どうやらチビ神は、今回レベル上限解放について何も言えないらしい。だから何のヒントも無しに開放しなきゃいけないっぽい。みんなのレベル上げが一段落したら、ゆっくりしようか」

 今一緒にいないメンバーには、後で伝えておこう。

 俺たちは、そのままレベル上げを続けてから、帰ることにした。まだ帰るまでには三時間程あるからな。

「ピーチ、みんなのレベル上げが終わったら、ゆっくりしようと思うんだけど、戦闘訓練の方はどうなってる?」

「上を見ればキリがないので、集中的に行うのはこの辺で、終わりでもいいかもしれないですね。後は鍛錬を続けていくほかないと思います」

 この娘たちは、何処を目指しているのだろうか?

「みんなの気持ちは嬉しいけど、無理はしないでほしい。俺もみんなの事を守るからさ。本当は、ダンジョンにこもれれば楽だけど、それだとせっかく作ったディストピアとかが無駄になっちゃうし、俺がいなければ精霊たちも住み着かないからね。

 それこそ樹海に飲まれて死の街になっちゃうからな。ゆっくりした後に情報を集めようか。特にトリプルの冒険者の情報は、手に入れておきたい。ジャルジャンのフェピーにも、久しぶりに連絡とるか?

 中立都市とはいえ、王国側のトリプルの冒険者の情報は、持ってるだろう。っと、こんな話はこの辺でおしまいだ。せっかくの美味しいご飯が冷めちゃうから、早く食べようか。いただきます!」

 俺のあいさつに続いてみんなが『いただきます』とあいさつしてご飯を食べ始める。

 俺は夕食を食べ終えて一息ついて、周りを見渡す。

 初めの頃は痣が絶えなかったが、今は目立つような痣はほとんど見られなくなった。それなりに強くなっているって事なんだろうな。俺はレベル上げてただけだからな。そのうち技術面も磨かないと。いっぺんに詰め込んでもいい事は無いから、ほどほどに頑張っていこう。

 忘れる前にチビ神にデータを送っておこう。DPを操作してデータをいつものSDカードに入れて、いつものようにダンマスのスキルでチビ神に送り付ける。

 することも終わったし風呂入って寝よう。久しぶりに大浴場で風呂に入りたいなと思ったので、一番近くのスーパー銭湯に向かう。定位置にニコとハクがいるので一緒に入るようだ。

 二匹を連れていくと、利用していた子どもたちが群がってきて人気者だ。俺は二匹を放置して、俺はサウナに入りしっかりと汗を出してから、水風呂につかる。

「ぶはぁぁぁぁぁぁぁ、気持ちええな~」

 水風呂で体を冷やしてから、身体を洗い大浴場へ! 大浴場でニコとハクが大人気だ。隅の方で二匹の様子を眺めながらのんびりと体を温める。

 俺の護衛としては大分問題があるだろうけど、ディストピアに俺を害そうという人間はいないので、特に問題にはならないだろう。

 ゆっくりと体を伸ばしてストレッチしてから、スーパー銭湯を後にする。ニコとハクは相変わらず定位置に納まっており、自分で移動する気はないようだ。

 そのままベッドに向かい、部屋についた所でベッドに二匹を投げ込むと、どこから現れたのかガリアについていかなかった三匹のスライムが、俺の足元に来て投げろと訴えているので、ニコにあたるように三匹を投げ込む。

 俺もベッドに飛び込み、眠くなるまでブッ君を読んでから寝る事になった。
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