ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第609話 綾乃が革命的発見をしていた

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 色々と準備した資材は、街予定地、中間、岩塩の小山の各資材置き場に準備しておいておいた。

 後はゼニスがやってくれるはずなので、俺たちは岩塩の小山の所に水を生み出す魔道具を設置して、ある程度生活できるようにしてある。

 岩塩に影響を与えないように、少し離れた所を整地して詰め所のような所を作り、排水に関しては全部地下に作ったダンジョンに流れるようにして、そこで処理を行う予定だ。

 ダギアとラディッツでする事は終わったので、ディストピアに帰ることにした。冒険者たちはどうなったのかと思ったが、一週間ほど前に準備が整ったとの事で、全員ディストピアに引き上げたそうだ。

 一部の冒険者は、しばらくここで活動してほしいと、ゼニスにお願いされて、有志がダギアに残って活動するようだ。

 商会の専属の冒険者として、しばらく活動してからディストピアに帰るそうだ。グリエルに許可をとって、ゼニスが冒険者と交渉しているので、何も問題は無かった。

 マップ先生を確認すると、もうディストピアについていたので、大丈夫そうだ。俺たちも我が家に帰ろう。帰える前に、ゼニスに土木組の仕事に対する対価は、いくらくらいになるか試算してもらっている。

 一応基準となる対価を決めておかないと、いいように使われてしまうので、きっちり線引きをすることになった。土木組は俺の下だと認識されているが、別にそんな事は無いのだが所属がないと困るので、今は暫定的に俺の下という事になっているらしい。

 監督しているのは姉御組なので、そこから許可がでているそうだ。今の所商会からの依頼しか、受けていないそうだ。

 ゼニスに試算するように言ったのも、その辺を理解していると思っているからである。面倒な事任せてすまんな! 優秀な部下を育てて、自分が楽になるように頑張ってくれ! ワーカホリックだけには、ならないようにしてくれ。

 正直な所、グリエル、ガリア、ゼニスがいないと俺の街って、すぐに混乱の渦に叩き込まれると思うんだよな。

 最初はどこかの街で細々と冒険者をしながら、ダンジョンマスターでもしようと思ってたのに、今じゃ複数の街を手中に収めてしまった、一応成功者というのだろうか?

 一つの街に関しては、一から全部自分たちの手で作ったし、もう一つは今現在も人が増えているみたいだしな、何があってもディストピアは誰にも譲る気はないけど、他の街ならグリエルたちにあげてもいいんじゃないかと、思ってたりする。

 実際に何度か話をしてみたけど、俺がいるから街が維持できていると言われても、ピンっと来ないんだよね。だって俺ってば好きな事して、報告受けるだけだぜ?

 街の運営資金だって、ディストピアの商品を商会を通じて普及させて、その売り上げで国営で雇っている人に給料を払って、それでもお金が大量に余るので潤ってるし、俺がいなくても資金の問題もないのだ。俺にはよくわからん!

 特にする事も無く、ディストピアにつくまではのんびり本を読みながら過ごしている。グリエルに勉強用の資料として渡された本も、ちょこちょこ読んでいるけどね。俺があまり触れてきていない、この世界の常識みたいなところを、ぎっしりと詰め込んだ本だ。

 読んでわかる気はするんだよ? わかるきはするんだけど、結構長い事この世界に住んでるのに、地球……日本の製品やゲーム、マンガ、小説が山ほど身近にあるからな。

 感覚的に言うとド田舎とか、無人島に宅急便が届くような感じで、向こうの感覚が抜ける気がしないから、うまく理解できない感じなんだ。元々、そこまでまともな感覚を持っていた気はしないけど、こっちの常識に比べれば、はるかに慣れ親しんだものだしな。

 そんなことは置いておいて、ディストピアに帰ってきたが、特に変わった事も無かった。

 土木組のために、できるだけ質の良いマナポーションの入手をしないとな。普段使いできるように、BランクとCランクのマナポーションをいくつか渡してあるが、いざって時のためにAランクか、Sランクのマナポーションが欲しい所だ。

 普通の傷を回復するポーションは、世間で一番品質の良いのがBランクで、俺たちはSランクまで作れるようになっているのだ。世間ではAランク以上のレシピがないっていうのが問題で、作れる腕の錬金術師とかはいるんだけどね。

 魔法薬の中で傷を回復するポーションは一番作りやすいとされている。作りやすさの順とすれば、

 回復ポーション⇒万能薬⇒マナポーション⇒エリクサーの順で難しくなっている。

 魔法薬を作るにあたって、腕やスキルLv、知識は大切ではあるが、一番の難関は魔法薬を作るための素材が入手しずらいという事だろう。高ランクのエリクサーに関しては、ドラゴンの血が必要だからな。

 注射や切り口からでた血を死ぬ前に加工して、そのドラゴンが死んだらどうなるんだろうな? 血が魔法薬に加工できる。地竜モドキでも捕縛してから、加工してみるか?

「綾乃! いるか?」

 綾乃の工房に顔を出して、この工房の主を呼ぶ。

「シュウ、帰ってきてたんだ。何か用事でもあった?」

「一番は、土木組の子たちがいるだろ? あの子たちにできるだけランクの高い、マナポーションを持たせたいんだけど、今綾乃ができる一番ランクの高い、マナポーションってどのランク?」

「えっと、多分レシピがあれば、Aランクは作れるんじゃないかな?」

「あれ? 前にレシピって渡さなかったっけ?」

「もらったかもしれないけど、もらってたのなら無くした! テヘペロ」

 綾乃の頭を軽くはたいておく。

「また召喚してみるか、ついでにSランクの奴も出しておくか。Aランクのマナポーションには、Aランク以上の魔物の血が必要みたいだからレシピを紛失しても、見つけた人がマナポーションを作れるとは思わないか。

 もし凄腕の錬金術師にでも渡ったら、作れる人が増えるってことでいいか?」

「あれ? そうすると私叩かれ損じゃない?」

「気にするな! 素材は準備するから、一週間くらいでどの位作れそう?」

「え? 一週間もずっと作るの? このレシピと手順なら、素材さえあればある程度まとめて作れるから、そんなことしたら、四桁の中盤くらいまでは数ができるんじゃないかな?」

「そんなに作れるもんなのか?」

「オンラインゲームみたいにスキルを使って、すぐにっていうわけにはいかないけど、魔法薬類なら装置さえあれば、五十個分くらいならまとめて作る事は出来るんだよ。

 まとめて作るから失敗の時のリスクも高いし、一本作った時に比べて、スキル熟練度はあがらないけど、時間を考えるなら、かなりの効率になるわよ?」

「盲点だった。レシピが基本的に一本ずつだったから、それが普通なんだとばかり思ってた。とりあえず三〇〇本程作ってほしいんだけど、お願いしていいか?」

「了解、期限はどのくらい?」

「早ければ助かるけど、一週間の内に作ってもらえると助かる。後、余った時間でいいから、大量に魔法薬作る時の注意点とかあったら、まとめてくれると助かる。報酬は、今回も前回からの新作系一式でいいか?」

「任せておきなさい! 明日中にはAランクのマナポーション三〇〇本と、注意点をまとめておくわ。手書きじゃなくて、パソコンでまとめていいんでしょ?」

「もちろん、明日までに新作のデータ準備しておくからよろしく」

「あっ! 保存用に欲しいのがあったら、追加でよろしくね!」

 こいつは保存用が欲しいっていう、俺からするとよく分からない趣味の持ち主なんだよな。せめてもの救いは、BL物に興味がない事だろうか。言われたら出すけど、表紙でも極力見たいものではないからな……
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