ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
592 / 2,518

第592話 ダギア侵入

しおりを挟む
 土のクッションに刺さって死にかけた奴は助かったので、レイリーにそのままかついでもらい、牢屋にぶち込んどいてもらった。

 その後は、水の注ぎこまれている落とし穴の中だ。注ぎ込む水の量が減っている気がした。よく見てみると、水かさが余り増えていないようだ。それでも目算で2m近くの水深になっている。

 水を注いでるのに、水深が増えているように見えないのは、水が土の中にしみこんでいるせいかな? あ、魔法をやめても、水深がそのままあまり変わっていない。

 おぼれそうな人間は泳げる人間に支えられ、自分たちが脱いだ鎧を足元に積んで、その上に立たせているようだ。これだけで体力が削られていきそうだな。しばらく様子を見ていた中隊長たちが、移動を命じ始めた。一中隊がその場に残っている。

 後衛をつとめる事になっていた弓の得意な部隊が残り、魔法を放とうとしている兵士を発見したら、鏃ではなく先を拳ほどの木で作った先端の矢を、撃ちこんで魔法を妨害している。あくまでも脱出はさせない気なのな。

 落とし穴の中の敵は、残した一中隊で対応するようなので、残りの隊で攻めるという事かな? 進んでいくレイリーを追いかけるように、俺たち(俺+嫁+従魔)が進んでいく。

 ダマは眠いのか、クロの背中に乗っているスライムの上で寝転がっている。気持ちよさそうだな。そして、腹を出して寝るな! 野性が全く感じられない。

 ほぼ宣言していた時間通りに、ダギアの門の前に到着する。そのままレイリーと副官ニ人が前に進み、何かを話し出した。

 簡単に言えば、相手の行動を批判して、皇帝からの手紙を読み上げて、今から攻めるので住民には、外出をしないようにお願いする。

 住民に扮した兵士がいたら教えてほしい事、もし住人に扮した兵士がいるのに報告をしなかった場合は、そのエリアの住人も、敵対行動をとったとして排除することを宣言した。被害を受けたくないのであれば、報告をしてくださるように再度お願いした形だ。

 最後に領主その他、街の上層部の人間の位置を教えてくれた住人には、金一封を出すことを伝え、もし捕える事が出来たなら、追加報酬を出すことを伝えている。でも住人には、怪我するくらいなら場所を報告して、金一封で我慢する方が賢い事を話す。

 追加報酬の上層部を捕えるというのは、街の中にいる冒険者たちを利用するための、一文だったとの事だ。もし本当に捕まえたら金一封を出すので、ギルドを通さない依頼みたいなものだという事だ。

 俺さこれに似た作戦のような物知ってる。大分形は違うけど、ナノマシンを埋め込まれた少年たちが、そのナノマシンを武器として戦うバトルマンガで、陸の孤島を使ったフォックスハント作成に似ているような状況だ。

 レイリーに確認すると、反乱を起こした街は、正確には反乱を起こすのは街ではなく、上層部の人間なので、住人や冒険者は本来無関係であることが多いとの事だ。

 なので反乱が起きた街は、今のように住人や冒険者を使って、反乱を起こした人間を自分の手で、捕まえさせることもあるそうだ。

 今回使うお金は、ゼニスと話がついているようだが、俺も金を使っておきたいので、軍事費として俺のポケットマネーから補充して、そこから金銭を払うようにした。

 えげつない作戦がこの世界では、普通にとられてるんだな。人の命が軽い世界では、この程度の事どうということはないのかな?

 マンガの話のように、人の尊厳を踏みねじるような、罪のない人間を捕えろとか、殺せと言っているわけではないので、その部分が違うと言えば違うか?

 思考の中に入っていると、突然大きな音が聞こえてきた。

 ドゴンッ!

 ドゴンッ!

 金属が金属に強く打ちつけられている音だ。どこからしている音なのかは、すぐわかった。ダギアの門からしている音だ。

 破城槌って、俺の中では質量のある物を、打ちつけたりするものだと思っていたのだが、今ダギアの門で行われているのは、中隊長のニ人が門の左右に立って、どこから取り出したのか、まぁまぁ大きいハンマーを持ち交互に打ちつけている。

 中隊長を守るために、同部隊の隊員たちが、魔法や盾スキルを使って城壁の上からの攻撃を防いでいる。

 一方的に攻撃させるわけも無く。魔法でも、攻撃魔法を中心とした中隊が城壁の上に向かって、致死性の低い魔法を使用している。

 致死性が低いだけで、大惨事になる事は変わりがない威力で、魔法が放たれている。複数人で広範囲の火魔法を放った所に、広範囲の風魔法で火をさらに拡散させるように城壁へぶつけている。

 軽くても手や顔に火傷をしているだろう。ひどい奴になれば、全身に火傷があるかもしれないな。その状態で回復してもらえなければ、死んでしまうかもしれないけど、すぐに死ぬなんて事は無い。

 俺たちが治療すればいいだけだしな。めんどうだったら、火傷を治せるランクの魔法薬を準備すれば問題ないだろうし、何とでもなる!

 ニ十回程門を叩きつける音がすると、門が内側に開いた。普通こういった門は内側に開かないはずだから相当強い力がかかったんだろうな。一人しか通れないので、それを広げるためにさらに打ちつけて、入り口を広げている。

 ニ人が通れる広さになると、レイリーが勢いをつけて大楯を構えて突っ込んでいった。その後に冒険者ではなく、中隊長たちが中に順々に入っていく。冒険者が先じゃないのか?

 そこらへんはレイリーにまかせているから、問題ないのだろう。十分もかからずに全員が中に入っていった。あれ? 全員中に入るんだ。門には従魔たちを残しておくか? それと年中組を待機させておこう。

 野営地には一中隊と、フル装備のシルキーとブラウニーに土木組……あれ? ここに待機させておく意味ないか? 従魔たちだけで良さそうなので、ここを守っておくようにダマに伝えておく。

 何かリーダーっぽい事をダマがやっているが、先輩従魔たちが全員面倒だからお前がやれ、と言われて仕方がなくまとめ役みたいなことをしているようだ。

 身振り手振りで俺に説明する姿は、何か哀れにしか見えなかった……頑張れ! 新入り! 多分従魔たちがリーダーをやりたくない! みたいな事を言うのは、召喚した俺の影響を、強く受けている可能性が高いからな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗
ファンタジー
 異世界で暮らすただの商人・カイトは『レベル売買』という通常では絶対にありえない、世界で唯一のスキルを所持していた事に気付く。ゆえに最強ギルドに目をつけられ、直ぐにスカウトされ所属していた。  その万能スキルを使いギルドメンバーのレベルを底上げしていき、やがてギルドは世界最強に。しかし、そうなる一方でレベルの十分に上がったメンバーはカイトを必要としなくなった。もともと、カイトは戦闘には不向きなタイプ。やがてギルドマスターから『追放』を言い渡された。  途方に暮れたカイトは彷徨った。  そんな絶望的で理不尽な状況ではあったが、月光のように美しいメイド『ルナ』が救ってくれた。それから程なくし、共に世界で唯一の『レベル売買』店を展開。更に帝国の女騎士と魔法使いのエルフを迎える。  元から商売センスのあったカイトはその才能を遺憾なく発揮していく。すると驚くほど経営が上手くいき、一躍有名人となる。その風の噂を聞いた最強ギルドも「戻ってこい」と必死になるが、もう遅い。  見返すと心に決めたカイトは最強ギルドへの逆襲を開始する――。 【登場人物】(メインキャラ) 主人公 :カイト   / 男 / 商人 ヒロイン:ルナ    / 女 / メイド ヒロイン:ソレイユ  / 女 / 聖騎士 ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ ***忙しい人向けの簡単な流れ*** ◇ギルドを追放されますが、実は最強のスキル持ち ◇メイドと出会い、新しい仲間も増えます ◇自分たちだけのお店を開きます ◇みんな優しいです ◇大儲けしていきます ◇元ギルドへの反撃もしていきます ◇世界一の帝国へ移住します ◇もっと稼ぎまくります

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ とある大陸にあるローレスト王国 剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。 だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。 そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。 「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」 タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。 異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが...... ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。

バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!? 主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。 転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く… ※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。 ※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。

処理中です...