ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第591話 指定時間前の出来事

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 昨日はあれから襲ってくる気配も無く、人質にされていた家族を救出してかくまっている。どちらにも無事であることは伝えているが、まだ会わせていない。

 一応会わせるつもりではあるが、家族には悪いがまだ切り離しておくべきだろう。仕方がなくとはいえ、俺たちを襲ってきたのには同情はするが、だからと言って罪が無くなるわけではないのだ。

 この先は、犯罪奴隷として過酷な労働現場に行くか、家族が何とか買い戻して一緒に罪を償うか、死ぬか、俺の奴隷になるかの四択くらいしかないだろう。

 犯罪奴隷の買い戻しができるのか知らないけど、無理な可能性が高いので、実質三択だろうか? 三択中ニ択が死の選択肢なので生きたいのであれば、俺の奴隷になる事を選ぶだろうな。

 犯罪奴隷なので、今までの奴隷たちとは一線以上、下にしないといけないよな。俺の決定ならグダグダ言う奴はいないだろうが、それでもしこりができるのは望ましくない。

 なので俺の奴隷になるなら、グリエルとガリアに丸投げすることにする。こういう事は俺が考えるより、あいつらの方が断然いいからな。

 感動の再会がありまた引き離されたが、誰一人文句を言ってくる人間はいなかった。生きて会えたことに感謝をされたくらいだ。牢屋にいる兵士五十人は、不自由な部屋に押し込んでいるが、飯は美味いのでそこまでの不満は無いようだ。

 殺されなかっただけマシという考えみたいだな。それに家族自体は、脅しの道具に使われただけで、犯罪を犯していない(ここでは俺達に敵対をしたわけではない)ので、それなりの待遇でここで過ごしている。ただ自由は無いから、それだけはあきらめてもらっている。

「さて、後一時間もすれば、予定の時間だな。どうやって攻めるつもりだ?」

 俺はレイリーと向かい合って、今後の展開について聞いていた。

「そうですね。やはり真正面から攻めようと思います。そして、昨日襲撃してきた兵士たちから取り上げた毒が、殺すためのものではなく、強力な吐き気と強力な腹痛を伴い下痢を併発する毒だったようです。

 士官クラス以上の人間には、体験して頂こうかと思っています。なので生け捕りの予定です。一般兵は可能な限り、早く眠ってもらおうと思っています」

「俺たちはどうしておくのがいい? 別動隊で動くと、怪我した時の事を考えると下策だよな? 一緒について、殿と言っていいのかな? それを担当する形でいいかな? 最悪、冒険者に手に負えない状況になったら、でしゃばるけどそこらへんは受け入れてくれ」

「了解いたしました。そのように伝えておきます。シュウ様が前に出る事になると伝えれば、冒険者たちも家族に何言われるか分からないから、やりすぎてしまう可能性がありますが大丈夫ですか?」

「そこらへんはしょうがないだろう。だって手加減して自分が怪我するくらいなら、どうでもいい人間なら死んでもらってかまわん。

 極力殺さない方針で、位の感じでいいよ。できるだけ禍根を残したくないからね。ただ、街の上にいる人間は全員入れ替えたいから、そこら辺の手加減はしないつもりだ。そんな感じで言っておいてもらっていいか?」

「了解しました。各隊に通達しておきます」

 そういってレイリーは、俺の前から駆け足で去っていった。

 それから十分後、警鐘が鳴らされていた。なのに慌てる様子がなかったので何かと思い確認しに行くと、ダギアの門の前で隊列を組んでいた兵士たちが、こちらに向かって進軍して来ていた。

 なのに何故こんなに落ち着いているんだ? と思ったら、土木組が前に出て魔法を唱え始めた。その前には冒険者が三十人ほど立ち壁を作っている。矢をはじき、魔法は相殺している。

 土木組の魔法が完成すると、地面が沈んだ。ピットフォールをみんなで同期して、大規模な落とし穴を作ったのだろう。見ない間に、魔法の使い方がうまくなってるな。土魔法の事ならノーマンにでも聞いたのかな? あいつ小さい子には弱いからな。

 っと、落とし穴で終了じゃなかったのか! その後に冒険者組の魔法使いと一緒に水魔法でいいのかな? それを使って落とし穴に、水を流し込んでいた。うん、防衛戦になるためか、敵の多くが重武装、か軽装でも金属製の装備を着用している。

 落とし穴、水、金属の装備と来ればもう、水責めの溺死があり得る結末だろう。でも、水を入れる速度はそんなに早くない。という事は装備を解除させるための作戦なのだろうか?

 落とし穴の下にいる兵士たちは、慌てて装備を脱いでるよな。おぉ、この状況で装備を脱ぐなとか、怒ってるやつがいるな。あいつは士官かな? 自分は金属じゃなくて、革製のつくりの良さそうなのを装備してるし、何がしたいんだろうな?

 顔まで水が迫ってくる頃には全員装備を脱ぐことができていた。ただ泳げない奴がいるようで、ギャーギャー騒いでいた。

 ってお前は、装備脱ぐなって言ってた、あほ士官じゃないか! いい気味だ、溺れ死ね! とか思ってる奴いるんだろうな、うんうん、その気持ちわかるぞ! でもな、溺れ死ぬより苦しい目に合わせるつもりだから、今死なれるのは困る!

「という事で空を飛べるハクちゃん! あいつ捕まえてきてもらっていいか?」

 俺のいった事を理解して、キュルゥと返事をかえしてくれた。そのまますごいスピードで、士官であろうあいつを捕まえてきた。初めは戸惑っていたようだが、助けられたことに喜び的外れな事を言っていた。

「お前は見どころがあるな! 俺のペットにしてやるからありがたく思え」

 だってさ。その瞬間ハクは、爆弾を投下するかの如く、十メートル下にある地面に向かって落とした。あのままだと頭から突っ込んで死ぬな。しょうがない、

【アースクッション!】

 土で作ったスポンジみたいなもんなんだよな。忍者がひそんでないマンガの少年期に、似たような忍術があったのを真似てみたら、思ったより面白かったので、きちんと魔法として組んでみたのを思い出し、使ってみたのだ。

 キレイに土のクッションに突き刺さり、犬〇家みたいになっていた。うん、シュールだ……って

「やばいやばい、あのままじゃ窒息死する! 早く助けてくれ」

 わざわざ助けたのに、死因が空から落とされて、土のクッションに突き刺さり息ができなくて窒息死とかないわ。レイリーが引っこ抜いてくれて、何とか死なせずに済んだ。
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