ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第590話 夜の攻防戦の結果

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 ライムによって、強制的に気絶させられたダギアの兵士たちを、冒険者たちが装備品を取り上げて縛り上げている。

 レベル差というか、魔力が高いとやっぱりエリアスタンの効果も高いのだろうか? 同レベルの魔物に使っても、一からニ割の確率でしか気絶しないのに、今回の敵兵士たちは全員気絶しているのだ。

 ってことは、ほぼ100%成功すると言っても問題ないだろう。魔力差でスタンの確率が決まるのかな? 状態異常耐性のスキルもあるなら、関係があるのだろう。

 耐性系のスキルってほとんどないよな。たまに見かける位だから全く無いわけじゃないけど、ユニークスキルとかかな?

 兵士たちを捕えた冒険者の報告をまとめて、レイリーが報告に来た。自爆系の魔道具は無かったが、全員が毒薬を所持していたそうだ。他にも毒を塗った小さな針も隠し持っていたようで、前者は野営地にばらまく分、後者は自決用の毒ではないかという推測だった。

 決死隊みたいな扱いだったのだろう。俺は弓を構えた。マップ先生に攻めてくる兵士は映っていないが、こっちを監視している奴がニ人いるので、一人には死んでもらう。

 俺の弓から放たれた矢は、相手が認識する前に脳天を貫き命を奪った。もう一人はその様子を見て逃げようとしたが、冒険者の後ろで寝転がっていたダマが、いつのまにか監視していた奴の後ろで待機しており、逃走しようとした次の瞬間取り押さえられた。

 ダマは魔法も得意でライムの魔法を見て、俺のスタンガンと同じようなオリジナル魔法を作り上げて、相手の意識を刈り取っている。

 ダマ凄いな。速いし魔法も使えるし、物理攻撃力も高いし、隠形もすごい、索敵もすごい、身体のサイズも変えれる。ダマとダンマスのスキル無しで、ガチンコで戦ったら勝てなくねえか? 仲間でよかった。

 得物を仕留めた猫のように、得物を自慢げに見せびらかして俺の所に来る。

「ダマ、よくやった! さすがだな。レイリー、一応前の兵士のように毒を隠し持っていないか調べてくれ。一応口の中、歯とかにも毒を仕込んでいないか探してくれ。

 ライム、土木組を連れて空いているテントの下に、地下牢を作ってきてくれ。入れ物だけあればいいから、石造りの部屋で、五十人が入れるサイズっていえば、あの子たちはわかるからよろしく頼む。ドワーフのじっちゃん、土木組についてってアドバイスしてくれ」

 指示を飛ばすとみんなが行動を開始する。監視していた奴の身体検査が終わったと、レイリーから報告があった。

 俺が探せていないだけで、もしかしたら何処かに仕込んでいるかもしれないので、大半の毒の効果を失わせる解毒剤を準備して、見張りに付く人間に持たせることにした。

 Aランクの解毒薬は、エリクサーの素材を一部流用して作れる奴だったので、念のため作っておいてよかった。

 Sランクの解毒剤が本当は欲しかったが、DPで召喚して敵に使うにはもったいない位高価だったし、作れなかったので、ランクが足りなくてこいつが死ぬなら、仕方がないだろう。

「レイリー、一応毒を隠し持ってると仮定して、解毒薬を渡しておく、これで無理なら放置でいい。情報を引きだしておいてもらっていいか?」

「牢屋とは別に、一つ部屋を作ってもらってもいいでしょうか? そこで情報をひきだそうと思います」

「オーケー、牢屋に併設する形でもいいか? 別々がいいか?」

「そうですね、併設でも構わないですが、声が響かないようにしてもらってよろしいですか?」

「了解。土木組が作り終わったら、俺が一つ部屋を準備するわ。それまでは、そいつは寝かしておいてくれ。一応猿轡をかませておいて」

 三十分位経つとライムから地下牢が完成したと連絡が入る。俺は休んでいた体勢から体を起こして、牢屋の完成した場所へ向かう。

 うん、予想以上の完成度合いだな。きっちり石造りの部屋で、扉だけない状態だ。ベッドはないがきちんと用を足す場所は作っており、ディストピアやフレデリクで採用しているスライム下水の小型バーションを作っている。

 俺はDPで入り口のサイズにあう扉を召喚してから、ミスリル合金の層をクリエイトゴーレムで作っている。

 魔核で自動修復などの機能も付けている。食事を入れる窓も作り、鍵の部分だけはアダマンタイトでコーティングしている。

 さすがに六十個も作ると疲れるわ、一個一分ペースで作っても、一時間かかったからな! 俺はそのまま、レイリーに頼まれた部屋を作成し、扉には自動修復と防音の機能を魔核でつけている。

 扉を取り付けると、気絶させていた兵士と、監視していた奴を牢屋へぶち込んでいく。投げ込まれた衝撃で監視していた奴以外はほとんど目が覚めて、どういう状況かつかめずにしばらく放心していた。

 捕えられたと理解した時には、隠し持っていたはずの毒針を探すが見当たらず、装備をすべて取り上げられていることに気付くまでに、さらに時間がかかった。

 地下という事は、エリア掌握すれば監視をできるという事だ。簡単な監視システムを作って、冒険者たち以外の人間が監視できるようにして、誰かが見ておけるようにしている。

 牢屋の中にいる人間に尋問をしていく。冒険者が!

 その過程で、監視していた人間は一人は殺して、一人は生け捕りにしていることを伝え、すぐに何かが起こる事は無いと伝えている。

 他にも明日街を攻め落とすから、今ゲロっておけば家族を一緒に助けてもいいというと、五十人中四十八人が情報をくれた。それにしても俺の予想通りとは、面白くない。家族が人質に取られてるとか、胸糞が悪い!

 監視していた奴からは、レイリーが副官を連れて行き、地球では行えないような過度な拷問の末に、情報を吐き出してくれたようだ。

 今回命令したのは領主ではなく、実質領主を操り人形にしている、補佐官みたいな人間からの命令で動いていたらしい。

 今回攻めてきた兵士の家族たちは、領主館の近くの倉庫に集められているそうだ。マップ先生で確認すると、確かに兵士がゲロった人数が詰め込まれていた。

 だけどこの倉庫にいた人間は、朝には全員がいなくなっていた。

 誰が行ったかなんて、わかり切っている事だ。家族を人質に取って俺たちを襲わせるなんて、信じられないと激怒した土木組と妻たちが、情報を得てから三十分後には救助していた。救助された人間は、新たに建てられた五つの天幕の中に入ってもらっている。
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