ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第578話 車が完成

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「集まってくれてありがとう!」

「あんなに心臓に悪いこと言われたら、誰だって来るわよ!」

「危うく生きがいを奪われる所でござった」

「そこまで深刻じゃないだろ。まぁいいや、今日集まってもらったのは、この世界仕様の車を作ろうと思うから、手伝ってもらおうかと思ってな。ニ人は車に乗りたくないか?」

「私は乗ってみたいわね! ラリーみたいにブイーンってドリフトなんかしてみたりね!」

「車……もしかして、コンバインとかトラクターとかでござるか!?」

「バザール、それは一応車扱いでも今回作るのは、四輪駆動の車だよ。DPで元になる車を出して、それを文字通り魔改造を施す予定だ。魔改造の魔は魔法の魔な!」

 言わなくてもわかってると、ニ人に突っ込まれた。

 モデルにするのは、世界のト〇タのC-H〇だ。見た目的にこれが好きなんだよね。

「主殿、この車を選んだのはわかったでござるが、どうやって魔改造するのでござるか?」

「ん~このままクリエイトゴーレムをこの車にかけてもいいんだけど、さすがにそれじゃ面白くないだろ? だから分解しながら、魔改造に必要ない部分は、全部削ぎ落していこうと思うのだ!」

「で、シュウ。いらない物をどうやって、見極めるの?」

「…………」

「考えてなかったのね。シュウってよく考えているようで、何も考えていない時ってあるよね。私が言えた事じゃないけど、楽しそうだから頑張ろう!」

 何故か綾乃に慰められたような感じになっている。

「色んな細かい機能があると思うけど、とりあえずこの世界で走るために、必要最低限の機能をあげてみようか」

 一時間位話し合って最低限欲しいものがピックアップされた。

 一、動力
 ニ、空調
 三、事故した時の安全対策

 まとめた結果こんな感じになった。最初は、ハンドルとそれに対応するタイヤみたいな感じで、出していたらきりが無くなっていたので、車という存在が初めから持っているもので、最低限なければ成立しない物をあげる事にしたのだ。

 他にも話は出たが、車を動かすためのエンジンは、確実に付け替えなければならないのでハンドルやタイヤなどは、クリエイトゴーレムで丸っと模倣することになった。

 さらに話し合いをつづけて、アクセルやブレーキは、魔核で代用してシステムの模倣はあきらめることになった。アクセルを踏むと動力が回転して、そのエネルギーがタイヤに伝わるようにしている。

 エンジンなしでタイヤの軸に動力を任せる話も出たが、そうすると思ったよりごちゃごちゃしてしまったので、動力は別に用意することに改めて決まった。

 ブレーキは、ディスクブレーキを採用して、ブレーキを踏むと作動するようになっている。もちろんアクセルもブレーキも、踏み具合で効きが変わるようにしている。

 後はAT車のシステムというか、パーキング・ニュートラル・バック・ドライブ・低ギアを真似て組み込むことになった。AT車の特徴でブレーキを踏まないと、パーキングから動かせないあれも、もちろん組み込む予定だ。

 複雑になりすぎて大丈夫かと思うが、作ってみないと分からないからな。

 一日目は議論をするだけして、作成は明日からという事になった。ニ日目から作り出すとか、地球では考えられないほどのスピードだよな。

 加工するにも色んな機械や、技術が必要なので当たり前なのだが、この世界というか俺たちの場合は、クリエイトゴーレムの恩恵により、色々な過程を排除できるという、素晴らしい技術を持っているのだ!

「あれ? ここのフレームは、何でミスリル合金じゃいけないんだ?」

「主殿も聞いたことがあると思うでござるが、車のフロントは比較的壊れやすい? つぶれやすい? そんな感じで出来ているでござる。確か理由は、事故にあった時や、人をはねてしまった時のために、ショックを吸収できるようになってるって、話だったでござる」

「おぉ、確かに事故のテレビとか見ると、前がひしゃげてるのに、人の乗る場所はつぶれてなかったりすることがあったな。

 横からぶつかられたら、意味なさそうだけどな。本体の中心のフレームはミスリル合金じゃなくて、アダマンタイトでいいのか?重くならないか?」

「シュウは確かハニカム構造のパイプとか作れたよね、だから重さは問題ないと思うんだけど?」

「ミスリル合金のハニカム構造にコーティングじゃいけないのか?」

「メインになるフレームは、やっぱりアダマンタイトがいいわ!」

 綾乃に押し切られて膨大な魔力を消費して、ポーションで回復しながらメインとなるフレームを作成した。

 フロント部分は、ミスリルだけでフレームを作っている。魔法に相性のいいミスリルオンリーなので、ショック吸収の魔法とは言わないが、それに近い効果を発動できる魔核を準備している。

「主殿、フロントに詰まっている機械は、魔改造する際にほとんどいらないようでござるが、どうするでござるか?」

「いらないなら、つける必要はないだろ。邪魔なものは排除して、必要だと思ったら取り付けていく形で良くないか?」

「それもそうでござるね。よくわからないでござるが、基本は動力以外は必要なさそうでござるので、他の物は外してみるでござる。それと、ガラスは龍の眼の水晶体でいいのでござるか?」

「ガラスが壊れやすいのって、衝撃吸収のためとかだろ? この世界で魔物がたくさんいるんだから、あまり脆くても困るからそれを採用しようと思ってる」

「あれ? それなら全体を頑丈にして、衝撃吸収は車の中に働くようにしておいた方がいいんじゃない?」

「綾乃殿、もしかして魔物をひき殺す? とかそういう事でござるか?」

「正解!人だと抵抗あるけど、魔物なら殺っちゃっても問題ないでしょ?」

 確かに、人を想定した機能だからなくても問題が無いってことか。何かの小説で装甲車みたいなのを走らせて、魔物をひき殺していたような? それでもいいのか。

 一週間ほど、あーでもこーでもないと議論を重ねながら、ニ台の車を作った。見た目はどちらも、DPで召喚した世界のト〇タのC-H〇だ。

 一台は人を想定した、安全を考えて作成され軽量になっている。本物の重量はおよそ一四四〇キログラムに対して、魔法やコーティング等の魔改造を施した車は、およそ七〇〇キログラムまで重量を抑えられた。

 その反面、モンスターマシンのように作ったもう一台は、総重量四トンの化け物じみて重いものになっている。

 そのほか外装というよりは、装甲と言っていいだろう。それは全面アダマンタイト製で、重さを偏らせないために、全体的に重い金属をくっつけている。タイヤも特別製になっている。

 どっちの車にも言えるが、Aランク魔石の魔核が十個以上使用されており、魔力の塊のような物になっている。

 すべてのパーツに自動修復機能も付けているので、事故をして大きく壊れない限りは、問題なく使える優秀な車だ!

 ちなみに名前はまだない!
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