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第558話 未到達階層
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溶岩地帯を予定以上のスピードで攻略した俺たちは、一日の休憩を挟んで七十階以降の攻略に入る。
ちなみに昨日一日は、ディストピアで色々報告を受けていた。特に大きな変化はなかったが、ディストピアの人口も徐々に増えているそうだ。
環境がよくなって、奴隷でも家庭を持ち結婚できるので、子供が結構生まれているらしい。まじめに働いて、自分たちを買い戻せる人も増えてきているため、子作りに励む夫婦も出てきているそうだ。平和とはすばらしいね。
一応子どもたち用に学校は用意しているが、街の中心なのでちょっと離れた所からの通学となると、大変だろうか? 日本の田舎でも一時間位歩いて、通学している子がいたっけな? それを考えれば、たいしたことが無いようにも感じるな。
子どもが生まれた夫婦には、子供のために使えるお金を発行している。生まれる前にもお金はかかるけど、生まれた後の方が大変だから、子供のため限定で使える紙幣を発行している。商店はそれを庁舎に持っていくと、換金してもらえるというシステムだ。不正が発覚したら、グリエルが処罰するらしい。
栄養面が良くても、母乳が出ない母親もいたため、シルキーが地球のミルクを元に、試行錯誤して作成しているため、赤ちゃんの栄養面は大きく保証されることになった。衛生面もいいので、出産後の母子の経過も良好の様だ。
それはさておき、シングル冒険者たちが記録として残した階層の七十一階に進んでいく。
「シングル冒険者たちは、何で七十一階層で攻略辞めたんだろうな? 実力的には七十一階の敵で、そこまで苦労する敵がいるとは思えないけど、何か理由があったのかな?」
「確かに不自然だよね。七十一階に行ってすぐに帰ったというのが、真相のような気がするわね。ミリーはどう思う?」
「そうですね。カエデさんの言う通り七十一階をみてすぐ引き返したというのが有力だと思いますけど、私的にはシングルの冒険者の最高峰の人間が集まったパーティーが、七十一階を見てすぐ引き返したのなら、何を見て引き返したのかが気になる所ですね。リンドさんはどう思いますか?」
「私も二人の意見が正しいと思うな。私も七十一階で何を見て、攻略をやめたのが気になりますね。フロアなのか、魔物なのか、どちらでも厄介な事は厄介だと思いますけどね」
確かにフロアなのか魔物なのか気になる所だな。先行しているシュリから声がかかった。
「ご主人様! 気を付けてください。フロア全体が暗闇のようです。魔法でも魔導具でも遠くを照らすことが出来ません!」
「おっと、フロアを見てシングル冒険者は引き返した感じだな。視界はどのくらい確保できる感じだ?」
「おそらく二メートル前後だと思われます。加えて言うと暗視の魔法も夜目も役に立たない感じです」
「光がフロアに妨害されている? ってことは、ダンジョン内なのに天候や溶岩地帯、極寒地帯があるのと一緒で、フロアに付与できる特殊地形の1つかな? ミリーは聞いたことある?」
「私が冒険者ギルドの受付してたのは五年くらいなので、その間にはそんな地形聞いたことありませんね。特にフレデリクは、近くに魔物の領域が複数あったので、ダンジョンよりドロップ品の情報の方が重要でしたし、リンドさんはどうですか?」
「私も聞いたことないね。みんなより長く生きてるとは言っても、ヴローツマインに住む前も鉱山の近くでカンカンしてただけですし、カエデはどう?」
「私に聞かれても、鍛冶の才能を見出されてすぐに旅に出て、王国中心に放浪したけどその時にダンジョンの話なんて聞いても覚えてられないよね。それよりシュウのダンマスのスキルにそういった特殊地形は無いの?」
「そういわれると思って今調べているんだけど、溶岩地帯や極寒地帯は設定できるけど、明かりに関しては、天候でしかいじれないね。俺のダンマスレベルの所為かな? チビ神に聞いても濁されそうな気がするし、ちょっと入って考えようか」
何か、ウィ〇ードリィオンラインにあった、特殊な場所みたいな感じだな。
「うわぁ、本当に先が見えないな。みんな、索敵に反応はあるか? クロ、ギン! 何か不審なにおいはあるか?」
索敵には今の所誰も反応がないようだ。クロやギンもにおいは感じ取れない様子。
「よし、試しにハク、ファイヤー!!」
ハクにファイアブレスを吐いてもらったが、暗闇が取り払われる事は無かった。普通の明かりの魔法や松明、魔導具よりは明るくなったが、それだけだった。
「進むにしても、戻る手段を確保してからじゃないと厳しいよな。光る魔道具を置いても、ダンジョンにいずれ吸い込まれるから、何か手段を考えないとな。何かいい案はないかな?」
「入り口に臭いの強い物を置いておく? クロとギンにたどってもらえば帰れる!」
シェリルがそう発言するが、
「シェリル、臭いの元もダンジョンに吸収されたらおしまいですよ」
「そっか、いいと思ったのにな~」
「シングル冒険者が進まなかったのもうなづけるな。進んでも先に行けるか分からないし、戻る方法も無ければ進めないな。こんな時に蝙蝠みたいに、超音波で把握できたら良かったけど、あいにくそんなスキルないしな。イリアの精霊魔法でも進むのは難しいか?」
「無理っぽい。風も土も普通の洞窟なら問題ないけど、ダンジョンは遠くまでは分からないって」
「やっぱり無理か、魔物を置いておいても……あれ? 魔道具というか、クリエイトゴーレムで作った物は、ゴーレム扱いだから魔導具でも、吸収されないんじゃなかったか? 大量に作らなきゃいけないけど、それしか方法ないよな。使い捨てに出来る最低ランクの魔核で作るか?」
「現状考えるとそれしかないように思われますね。ただ、このダンジョンが攻略を前提に作られているのであれば、このフロアを攻略する方法がどこかにあると思うけど、さすがに探すのは時間がかかりそうなので、クリエイトゴーレムで作ってもらうのが一番かと思います」
「わかった。じゃあ、俺は歩きながらそっちに集中するからだれか俺を連れてってくれるか?」
「それならクロとギンにまかせましょう。本来はウォーホースで使う予定の奴ですけど、古代ローマのチャリオットをイメージして作った、あれを引かせましょう」
「ん? アリス、チャリオットなんて、俺作ってないよ?」
「あ~綾乃さんがこれは必要! とか言って、自分で素材を生み出して作ってましたね。で、作って満足していらないって、私が保管してます。揺れにも強いから、乗り心地も問題ない! みたいなこと言ってました」
綾乃か、不良品ではないと思うからちょっと任せるか。
「置くのは曲がる所で来た方向が分かるように置いておこう」
こうやって未到達階層の七十一階に突入することになった。
ちなみに昨日一日は、ディストピアで色々報告を受けていた。特に大きな変化はなかったが、ディストピアの人口も徐々に増えているそうだ。
環境がよくなって、奴隷でも家庭を持ち結婚できるので、子供が結構生まれているらしい。まじめに働いて、自分たちを買い戻せる人も増えてきているため、子作りに励む夫婦も出てきているそうだ。平和とはすばらしいね。
一応子どもたち用に学校は用意しているが、街の中心なのでちょっと離れた所からの通学となると、大変だろうか? 日本の田舎でも一時間位歩いて、通学している子がいたっけな? それを考えれば、たいしたことが無いようにも感じるな。
子どもが生まれた夫婦には、子供のために使えるお金を発行している。生まれる前にもお金はかかるけど、生まれた後の方が大変だから、子供のため限定で使える紙幣を発行している。商店はそれを庁舎に持っていくと、換金してもらえるというシステムだ。不正が発覚したら、グリエルが処罰するらしい。
栄養面が良くても、母乳が出ない母親もいたため、シルキーが地球のミルクを元に、試行錯誤して作成しているため、赤ちゃんの栄養面は大きく保証されることになった。衛生面もいいので、出産後の母子の経過も良好の様だ。
それはさておき、シングル冒険者たちが記録として残した階層の七十一階に進んでいく。
「シングル冒険者たちは、何で七十一階層で攻略辞めたんだろうな? 実力的には七十一階の敵で、そこまで苦労する敵がいるとは思えないけど、何か理由があったのかな?」
「確かに不自然だよね。七十一階に行ってすぐに帰ったというのが、真相のような気がするわね。ミリーはどう思う?」
「そうですね。カエデさんの言う通り七十一階をみてすぐ引き返したというのが有力だと思いますけど、私的にはシングルの冒険者の最高峰の人間が集まったパーティーが、七十一階を見てすぐ引き返したのなら、何を見て引き返したのかが気になる所ですね。リンドさんはどう思いますか?」
「私も二人の意見が正しいと思うな。私も七十一階で何を見て、攻略をやめたのが気になりますね。フロアなのか、魔物なのか、どちらでも厄介な事は厄介だと思いますけどね」
確かにフロアなのか魔物なのか気になる所だな。先行しているシュリから声がかかった。
「ご主人様! 気を付けてください。フロア全体が暗闇のようです。魔法でも魔導具でも遠くを照らすことが出来ません!」
「おっと、フロアを見てシングル冒険者は引き返した感じだな。視界はどのくらい確保できる感じだ?」
「おそらく二メートル前後だと思われます。加えて言うと暗視の魔法も夜目も役に立たない感じです」
「光がフロアに妨害されている? ってことは、ダンジョン内なのに天候や溶岩地帯、極寒地帯があるのと一緒で、フロアに付与できる特殊地形の1つかな? ミリーは聞いたことある?」
「私が冒険者ギルドの受付してたのは五年くらいなので、その間にはそんな地形聞いたことありませんね。特にフレデリクは、近くに魔物の領域が複数あったので、ダンジョンよりドロップ品の情報の方が重要でしたし、リンドさんはどうですか?」
「私も聞いたことないね。みんなより長く生きてるとは言っても、ヴローツマインに住む前も鉱山の近くでカンカンしてただけですし、カエデはどう?」
「私に聞かれても、鍛冶の才能を見出されてすぐに旅に出て、王国中心に放浪したけどその時にダンジョンの話なんて聞いても覚えてられないよね。それよりシュウのダンマスのスキルにそういった特殊地形は無いの?」
「そういわれると思って今調べているんだけど、溶岩地帯や極寒地帯は設定できるけど、明かりに関しては、天候でしかいじれないね。俺のダンマスレベルの所為かな? チビ神に聞いても濁されそうな気がするし、ちょっと入って考えようか」
何か、ウィ〇ードリィオンラインにあった、特殊な場所みたいな感じだな。
「うわぁ、本当に先が見えないな。みんな、索敵に反応はあるか? クロ、ギン! 何か不審なにおいはあるか?」
索敵には今の所誰も反応がないようだ。クロやギンもにおいは感じ取れない様子。
「よし、試しにハク、ファイヤー!!」
ハクにファイアブレスを吐いてもらったが、暗闇が取り払われる事は無かった。普通の明かりの魔法や松明、魔導具よりは明るくなったが、それだけだった。
「進むにしても、戻る手段を確保してからじゃないと厳しいよな。光る魔道具を置いても、ダンジョンにいずれ吸い込まれるから、何か手段を考えないとな。何かいい案はないかな?」
「入り口に臭いの強い物を置いておく? クロとギンにたどってもらえば帰れる!」
シェリルがそう発言するが、
「シェリル、臭いの元もダンジョンに吸収されたらおしまいですよ」
「そっか、いいと思ったのにな~」
「シングル冒険者が進まなかったのもうなづけるな。進んでも先に行けるか分からないし、戻る方法も無ければ進めないな。こんな時に蝙蝠みたいに、超音波で把握できたら良かったけど、あいにくそんなスキルないしな。イリアの精霊魔法でも進むのは難しいか?」
「無理っぽい。風も土も普通の洞窟なら問題ないけど、ダンジョンは遠くまでは分からないって」
「やっぱり無理か、魔物を置いておいても……あれ? 魔道具というか、クリエイトゴーレムで作った物は、ゴーレム扱いだから魔導具でも、吸収されないんじゃなかったか? 大量に作らなきゃいけないけど、それしか方法ないよな。使い捨てに出来る最低ランクの魔核で作るか?」
「現状考えるとそれしかないように思われますね。ただ、このダンジョンが攻略を前提に作られているのであれば、このフロアを攻略する方法がどこかにあると思うけど、さすがに探すのは時間がかかりそうなので、クリエイトゴーレムで作ってもらうのが一番かと思います」
「わかった。じゃあ、俺は歩きながらそっちに集中するからだれか俺を連れてってくれるか?」
「それならクロとギンにまかせましょう。本来はウォーホースで使う予定の奴ですけど、古代ローマのチャリオットをイメージして作った、あれを引かせましょう」
「ん? アリス、チャリオットなんて、俺作ってないよ?」
「あ~綾乃さんがこれは必要! とか言って、自分で素材を生み出して作ってましたね。で、作って満足していらないって、私が保管してます。揺れにも強いから、乗り心地も問題ない! みたいなこと言ってました」
綾乃か、不良品ではないと思うからちょっと任せるか。
「置くのは曲がる所で来た方向が分かるように置いておこう」
こうやって未到達階層の七十一階に突入することになった。
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