ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
557 / 2,518

第557話 予定にない攻略法

しおりを挟む
 黒い悪魔にうなされながらも、ダンジョンを進んで一週間。俺たちは五十五階層の、ガーディアン討伐に成功した。適正レベルからすると、四十五階以上は最低でも八十レベル位は、必要ではないだろうか? 簡単な話、黒い悪魔の領域を抜けてから、グッと魔物の強さが上がった感じなのだ。

 適正レベルといっても、十人パーティーの平均レベルが八十というだけであって、ソロで、もしこの階層を攻略していこうというなら、少なくとも三倍近くのレベルが必要ではないだろうか? 休憩も補給も自分一人となると、かなりのリスクが伴ってくるので、疲れ方がやばい気がする。

 そもそもダンジョンは、複数人で潜る事が前提の場所なのだ。単独で潜るなど普通ある物ではないので、カウントにいれてはいけないだろう。

 四十六から五十階も一日半で駆け抜けて、地上に戻り休んでいる。地図が無くなった五十一から五十五階は、一階を降りるのに一日かかっている。

 敵自体は、レベル九十の冒険者が八人いれば、問題なく進んでいけるので、レベル三〇〇オーバーが三十以上(従魔含む)もいるので、苦戦する様子はない。

 この階層では狩りをしている、高ランクの冒険者たちもいるので、範囲魔法で焼き尽くしながら進んでいくなどは出来ない。一日かかる大きな要因は、階段探しなので敵と戦っている時間など、微々たるものだろう。

 直径十キロメートル程のエリアを、くまなく探すという行為は、予想以上に大変だった。ヴローツマインやメギドのダンジョンとはわけが違ったな。

 大体ある方向が決まっているというのが救いだろうか。降りてきた場所から、対角線側にある半円状の方にあるので、探すエリアが約半分になるのは大助かりである。

 それでも運が悪ければ最後までくまなく探して、運が良ければすぐ見つかる博打的な物なので、一階分を一日平均で探していることになる。まだまだ先は長いな。最低でも二ヶ月はかかる計算だったもんな。気を引き締めて頑張らないとな。

 それから一日一階のペースでダンジョンを駆け下りている。順調に進み公表されている、シングル以外の冒険者の最高到達階層六十五階に到着している。魔物の強さが高くなっているだけで、特に変わり映えのしない進軍だったので、ダイジェストも無しだ!

 今日は、六十六階。マグマ地帯の攻略を開始することになっている。魔道具屋で死蔵されている熱を防ぐ魔道具を人数分(従魔込み)で購入している。

 マグマ地帯に挑むという事を口頭にするとちょっと問題があるので、商会で面白そうだから購入してみたという事にしている。ちなみに魔道具としては簡単に作れるため、思ってたより安く手に入れられている。

 魔石だと魔力を食い尽くされたら終わりなので、魔核を準備して魔力を生み出し続けるように情報を書き込んでいく。それを人数分作って装着した。

 風魔法と水魔法の魔道具で、装着者の周りに空気の結界を張り中を一定の温度に保つ、という魔導具なのだ。魔力を際限なく使用してしまうので、魔石をかなり食ってしまうので、わざわざお金をかけてまで進もうとしないとの事だ。

「ん~熱いな。遮断しているとはいえ、遠赤外線みたいな熱がじんわりと来る。これ解除したらサウナみたいなんだろうな。よしイリア、ちょっと精霊魔法を使ってもらっていいか? Aランクの魔核を補充用に作ったから、ちょっと精霊に渡してみて」

「ん、分かった。水の精霊さん! 出てきて。これあげるからちょっと何とかできないかな?」

 水の精霊がイリアと会話をしている感じだ。俺の作ったAランクの魔核を大事そうに、精霊が抱きかかえて体の中に取り込んでいた。あれ? 体のサイズが二倍くらいに膨れたな。精霊って魔力で体のサイズが変わるのかな?

「ご主人様。あの魔核なら頑張ってくれるって! お礼言ってるよ」

 よくわからないけど、俺の方に向かってお辞儀している。喜んでくれたならよかった。大分快適になったからよかったよ。

 精霊ってやっぱり便利だよな。宝玉を使って一応覚えられるけど、なんていうかエルフのイリアの専売特許だから、触れたくないんだよな。呼びだした精霊に魔力だけ渡して、魔法を使ってもらえるっていうのは便利だよな。一人で複数使う事も出来るけど、制御はかなり面倒になるからな。

「さぁ、準備も整ったし進んでいこう」

 俺の宣言を皮切りに行動を開始する。今までのように対角線側にある、半円状の探索を行うため進んでいく。

 溶岩地帯であるこの階層は壁は少なく、一部屋一部屋がかなり広い。そして地面をマグマが流れている…足場になる岩も地面もしっかりあるのだが、戦闘中に踏み外して大やけど、もしくは燃えて炭になる可能性は否めない。

 このフロアはいい鉱石が取れるが、割に合わないという事で無視されている。他の冒険者がいないんだったら、やる事は決まってるよな。水魔法で、大量の水を作って押し流す!

 もうダンジョン攻略といえない力技で、ドンドン進んでいく。マグマに水をぶっかけると水蒸気爆発を起こすから、注意しないといけないけど、それ以上の水で押し流してるから、今の所被害ゼロで進めている。

 溶岩地帯の魔物は、熱を帯びた魔物が多かった。ファイアファング、マグマスライム、ラヴァーゴーレム、フレイムキャット、ファイアテイル等々。

 一般的なランクとしては、特殊能力込みで同ステータスの魔物より、一ランク程上に位置付けられている。だけど弱点の攻撃の出来る魔物と相対すると、三ランク下の魔物でも倒すことが可能になる。属性持ちって良し悪しだな。

 その弱点の魔法をぶっ放して進んでいく俺たちは、このフロアの魔物からしたら悪魔より、もっと悪魔に見えているかもしれないな。そこかしこにドロップ品があるので、回収するのが面倒だ。いけスライムたち! ダマお前は行くな! そしてソウとコウ、お前らは休んでないで仕事しろ!

 予想していたダンジョン攻略とは違う形で、溶岩地帯の階層を進んでいく。

 魔法を使用する時間だけで進むペースは上がっているし、一部屋がでかいので三日で七十階までの攻略が終了した。

 ダンジョンアタックってこんな感じだったっけ? 簡単に進めるのはいい事だよね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...