ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第551話 話が進んだ

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 ドーンボーンの中に入ったが、扉を抜けてしばらくした所にあった、兵士の詰所の様な所に連れていかれた。そこの一角の部屋に連れていかれると、中で豪華な服を着ている人が中心にいて、その両側に2人ずつ文官らしき姿の男性二人、女性二人がいる。

 その後ろに、見た目より実用性を考えた鎧を装備している騎士風の人間が、三人並んでいた。騎士団長と副団長二人? それだと街の戦力のトップが、ここにいる事になるけどいいのか?

「ご足労をいただいてありがとうございます。先程、街の外、魔物の領域で襲ってきた武装集団を捕えたと聞いていますが、その内容をお聞かせいただいてよろしいでしょうか?」

 ん~、一応俺の言いたいことを把握してくれているようだな。だから武装集団って言い方をしているんだろうけどな。

「そうだな。簡単にいえば、ドーンボーンの兵士を名乗る人間が連れてきた奴が、ドーンボーンに入るためには、身元の保証がないと無理だとの事で、保証金として俺たちからお金を出させようとしていたので、お金を出すのは何か良くないと思ったから断った。

 交渉が決裂したから、俺たちが作って進んできた通路を壊して帰ると言ったら、魔物の領域をドーンボーンの領地と言って、作ったのは見逃すが壊すのは認められないから、捕えろとの事で襲ってきたので、全員捕縛した。捕えた女は自由にしていい、みたいなことを盗賊のトップが言っていたな」

 俺の話を聞いていると、文官の三人が少し青い顔になっていた。一応事の重大さが分かっているようだけど、街を、国を代表する人間なら、ポーカーフェイスでいないといけないでしょうに。ここにいる人たちはどんな判断をするのだろうか?

「そうですか、その武装戦力は、本当にドーンボーンの兵士と名乗っていたのでしょうか?」

「そうですね、名乗っていたので念のため、討伐ではなく捕縛させていただいています。一応確認しますか?」

「その件に関しては、少し考えさせてほしいのだがいいだろうか?」

 許可を出して、五分ほど騎士も交えて話し合いをして、話し合いのテーブルに戻って来た。

「先に確認させてもらってもいいでしょうか?」

「今ですか?」

「そうですね、先に確認させてもらい、その後に細かい話が出来ればと思いますが、いかがでしょうか?」

 先に確認したいのは、普通だよな? ミリーとリンドの方を見ると、頷いている。リンドが話をしたい様子だったので、先の話を任せることにした。

「問題ないです。ただ面会やお話しする際には、こちらの許可と同席を必須とさせていただきたいのですが、問題ないですよね?」

 俺らに分からないように、話をさせないようにってことかな?

「それについては、何の問題も無いですね。さっそく行ってもよろしいですか?」

 交渉に来た五人と騎士たち三人に連れられて、来た道を戻っていく。扉を出ると、何故かうめいている人間の数が増えていた……何があった? よく見ると監視していた兵士っぽい奴らもうめいているようだ。

「シュウ、ここにいた兵士が急に、私たちの捕えていた盗賊を攻撃したから、ちょっと悶絶してもらったんだけどうしたらいいのかな?」

 何か面倒な事が続いてる感じだ……何だろな。

「一応捕えた者たちは、俺たちの物になるのに急に攻撃を仕掛けたってことは、自分の所有物を攻撃されたのなら、反撃も仕方がないと思うけど、そこらへんどう思う?」

 一番偉そうな中央にいた奴に声をかける。そういえば、名前聞いてねえけど大丈夫なのだろうか?

「そうだな、捕えた者の意見を聞かずに攻撃を仕掛けたのなら、そいつの自業自得だな。管理の行き届いていない兵士が迷惑をかけた。団長、あいつを縛っておいてくれ」

 おぉ、やっぱり団長なんだな。小国の団長とはいえレベルが三〇〇に近いからな、よく鍛えられている。ダンジョンが生活の中心だからか、平均的に兵士たちのレベルが高い気がするんだよな。

 おっと寝ている所に追撃をしたようだ。あ~後ろ手に縛るためにうつぶせにしただけか。

「それでこの武装集団のトップは、何処にいるのだろうか?」

 カエデが指をさした方向を見ると、芋虫のようにお尻上に突き出した状態でもがいている奴がいた。

「あいつですか? 団長、あいつに見覚えはあるか?」

「ん~確か、ブラックマーケットの人間じゃないですかね?」

 二人のやり取りが聞こえていたのか、芋虫がこっちに顔を向けて、何かを言おうとしていたが、口をふさがれているので声を出せないでいる。ん~あの様子を見ると、俺の意図を理解して話をしているのだろうな。切り捨てられたな。

「ですが、兵士たちには見覚えがありますね。この者たちは、ブラックマーケットの人間に騙されて、貴方たちに攻撃を仕掛けた可能性がありますね。そこら辺を確認したいのですが……あそこの兵士に、話を聞いてもよろしいでしょうか?」

 俺がリーダーっぽいと思っていた人間に声をかけるようだ。リンドも問題ないという事で会話を許可する。

「確かお前は、部隊長だったよな? 何故こんなことになっているんだ?」

「団長……あそこにいる方に指示をされて、今回の行動をとりました」

 うん、こいつも頭は悪くないようで、全部の罪を擦り付ける形だな。

「何故ブラックマーケットの人間がここに出てきて、あなたたちの対応をすることになったのでしょうか? 本当に申し訳ありません。こちらできちんと調べるので、今回は許していただけないでしょうか?」

「許すのはかまわないのですけど、まさか謝るので捕えた人間を、全員返せとは言わないですよね」

 ミリーから援護射撃が飛んできた。あぶな! このまま返したら、丸損するところだったじゃないか! 危ない危ない。

「そうですね、優秀な兵士なのでそれなりの賠償をしようと思います。今すぐに額は決められないのですが、そちらが考える額はありますか?」

「ちょっと相談しますね」

 ミリーとリンドに商会用の土地を見繕ってもらってはどうかと聞くと、いい案だという事で取り入れてもらえた。

 簡単にこの都市に来た理由、ダンジョンに挑みに来たことと、商会の支店を出す予定だという事を伝えて、

「という事なんだが、商会用の使いやすそうな土地があれば、仲介を頼みたいのだが、どうだろうか?」

「……規模はどのくらいを考えていますか?」

 商会を任せる人間に大体の大きさを伝えてもらう。

「そうですね、確か建物を潰すにもお金がかかるので、ちょうど放置されている結構大きめの土地がありますね。取り壊す前提なので、立地条件が良く広い土地のわりに、安く売りだされていたところでしたら、すぐに仲介できますね」

「地下がダンジョンでしたよね? 廃材を捨てる場所とかってありますか?」

「もちろんありますよ。色々なものを捨てるために作った、スライムプールへ捨てて頂ければ問題ありません」

「ダンジョン攻略に入るのは、しばらく後だな。土木組を連れてくればよかったか? カエデ、リンド、このくらいの商会部分だと、どのくらいで形にできそうだ?」

「みんなが手伝ってくれるなら、建材次第だと思うけど一週間はかからないと思うわ」

 何かすでに話し合いが終わった感じになっているけど問題ないかな? と思ったら、先程の部屋に戻って三十分程話し合って条件を詰めてから解散となった。

 俺たちには一切おとがめなしで、ドーンボーンへの入場が認められ、仲介してくれる場所へ移動した。もちろんいい場所なので問題は何もない!

「さて、まずは更地にしないとな。みんな頑張るぞ! テントを張るにも建物が邪魔だからな、頑張ろう。夕食はシルキーたちが作ってくれるんだから、張り切っていこう!」
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