ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第540話 次なる悩み

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 フレデリクの領主館と商会、孤児院は合計で五日で完成した。その間、俺たちは地下に空間を作って生活している。正直な所、地上に色々建てるより、地下に空間……部屋を作る方が簡単なので、こういう方法を取っている。

 地下だと湿気や空気がよどんだりとするんだけど、クリエイトゴーレムの万能性もあるし、一部分をダンジョン化しておくと、人というか生物が生活するうえで、困らなくなるという不思議機能もあるようだ。

 クリエイトゴーレムの場合は、魔核に生活しやすい状態にするような命令を書き込んでおけば、魔法でちょちょいとしてくれるようだ。

 フレデリクが終わったという事は、リーファスもやらなきゃいけなくなり、そのまま移動して同じような物を、今度は四日で作成した。慣れたというよりは効率化が図られて、一日分短縮出来たっぽいな。

 余談だが、壁に設置した七つの門にある砦は、若い者たちの人気の就職先になっていた。

 若い娘たちには、泊まり込みだが給金も高く、質の良くなった兵士たちとの出会いがある場所として人気で、若い男たちには、兵士として門の砦に行ければ、能力が高いと判断されるので箔が付くそうだ。そのうえで若い娘たちと、出会える機会が増えるので人気の職場となったそうだ。

 あの豚共がフレデリクの街の領主だった頃の兵士は、横暴で野蛮だったようで、結婚したくないランキング一位だったそうだが、俺が領主になって腐ってたやつらを一掃した時に、野蛮な奴らが少なくなり、侯爵から派遣された商人にも、野蛮な兵士はいらないとの事で、質のいい人間を集めていたそうだ。

 こういう所だけは評価できるな。でも一番大きいのは、俺がまた領主になったことにより、品性の低い奴らは全部解雇したからだな。俺は口を出しているが、やったのはグリエルの派遣した文官だけどな!

 今更だが、俺ってあの騎士団長を解雇したはずなのだが、なぜか騎士団長の座にいたな……何でだろうな? 商人が能力だけで選んだとか? あいつの事はどうでもいい。少なくともフレデリクとリーファスでは、働き口は無いのだから、他の街に移るしかないだろうな。

 レベルもそこそこ高いんだから、最悪冒険者をやっていけるから問題ないだろう。国王としては、自分の直轄地であいつを雇う事は無いけど、他の貴族が引き抜くかもしれないな。俺のとこにちょっかいかけなければどうでもいいか。

 人気の職場と言っても、みんながみんな浮ついた心で働いているわけじゃないから、ちょっとしたギスギスがあるようだけど、それも大したことがないとの事。

 簡単に言えば、能力や人柄が良ければ紹介なしで働ける職場であるため、どうしてもコネで入ってきた人間と、実力で入ってきた人間に溝が出来るような、そんな感じだそうだ。

 かなり大事だと思ったら、コネで働けている人数が圧倒的に少ないので、喧嘩にもならないとの事だ。コネ組の嫌がらせが多少あるだけで、やりすぎれば働けなくなるし、紹介した人間も連帯責任になる事が分かっているようなので、ひどくなることも無いようだ。

 これでフレデリクとリーファスで行う事は、大体終わったはずなので我が家に帰る事にした。帰りはのんびりとするために、一週間もかけてゆっくりとディストピアに帰っている。

 理由は単純な話で、休みなくせっせと働いていたので、休みたくなっただけだ。家で休むのも面白くないので、ぶらり途中下車的な気分で、線路の近くの街に行ってみたり、七色に光る湖があると聞いて探しに行ってみたりして、盛大に時間を潰して楽しんだのだ。

 単純な馬車の旅の時は、クリエイトゴーレムで作った張りぼて御者を置いて、ほとんど揺れない馬車で映画鑑賞やアニメ鑑賞をしてたのだ。

「実に充実した一週間だったな。どうでもいい噂話で探検するっていうのも、悪くないね。七色に光る湖の真相には、ちょっと笑っちゃったけどな。

 七色に光ってるんじゃなくて、湖の周りに生っていた染色につかえそうな植物の汁が湖に溶け出して、中心に集まっていって、強い自噴で空中に巻き上げられているのが、太陽に照らされて光っているように見える、だけだったからな。虹でもなかったのが微妙だったな」

 あの光景を思い出した全員が苦笑していた。

 さてグリエルに会いに行くか。

「ちゅーことで来たけど何かある?」

「最近入るなり、色々端折って自分に色々聞くのが、トレンドなんですか? できれば、色々しっかりと聞いてほしいんですが」

「じゃぁ、俺がいない間にディストピアで、変わったことあった? 他の街で俺に報告しておいた方がいい事とかあるか?」

「ディストピアは、特に混乱は見られてませんね。行かれてからすぐに普段通りの生活になっています。そういえば四人程が、隠れていた魔物に襲われて怪我してしまいました。

 綾乃様に治療してもらって、しっかりと治っています。他の街でもけが人が出た時に、治療できる人が少ないので困っていますね。それ以外では特に問題は無いと思います」

「治療できる人が少ないのか。治療団みたいな組織を作るか? 治療院がいいか? あれだ、商会に孤児院と一緒に治療院を作るか? 教会って各街にあった気がするけど、あそこって傷を治したりできる人材が、いるんじゃなかったっけ?」

「シュウ様、教会と言ってもあれらが無料や格安で、治療してくれるわけないじゃないですか。どれだけ能力があっても、金の亡者になった神官はただの害虫ですよ」

「それもそうか、わかってたのに教会って、何か格安で施しをしてくれるところだという考えがあったな。俺の支配下にある街では、格安で治療できる場所を作るべきだな。才能の有りそうな人材を見つけて、ある程度教育しないと……一ヶ月もあればなんとかなるか?」

「人材探しに時間がかかりますが、基本を教えるだけであれば問題ないかと」

「どういった人がいいと思う?」

「あまり苦労はしないとは言っても、DPを使って魔法を覚えさせるので、裏切らない人材が好ましいですよね。そう考えると奴隷か孤児院の子たちみたいに、シュウ様を慕ってくれている人材がベストですかね?」

「そっか、回復魔法が使えるとなると独立も出来るし、自分を高く売ることも出来るのか。冒険者だってやろうと思えばできるし、引っ張りだこになる可能性もあるんだよな……」

「後は、シングルマザーもありかもしれませんね。あの人たちは、子供のために稼ごうとしているから、身の安全が確保されていて、必要なだけ稼げるなら、娼婦みたいな身売りをする人は減りますし」

「子供のためっていうのは、大きいだろうな。シングルマザーなら裏切ってという事も、少ないだろうしな。花街みたいなところってどうなってるんだ?」

「ディストピアには基本必要ないのでありませんが、ゴーストタウンはサキュバスの高級店近くに、たくさんの娼館がありますよ。場所をまとめているので、警備の手間もさほどとられないですし」

「娼婦を駆逐するわけにはいかないよな。それを望んでやってる人もいるし、中には望んでなくてもそれしか、生きて行く術がない人だっているわけだし、そんな人たちを俺が全部面倒を見れるわけないしな。

 シングルマザーの件は話をすすめよう。孤児院だけじゃ集めた人を使いきれないだろうしな。手配を頼む」

 また一つ商会のすることが増えた午後でした。
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