ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第531話 フレデリクの現状

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 日が明けて、フレデリクの街は俺たちがいなくても、問題になる魔物がいなくなったので、拠点にしていた建物を崩して、地下に入ってから入り口を潰して、ディストピアへの帰路につく。

 三時間程馬車を走らせると、バザールから緊急連絡が入った。

『主殿! 主殿の言っていた通り、モンスターパレードが樹海で起きたでござる。マップ先生を見てわかると思うでござるが、外縁部に向かう魔物はほとんどいないでござる。

 何か強い意志に操られてディストピアへ向かってきているような感じがするでござる! リビングアーマーと人造ゴーレムで様子を見るでござる』

「了解。一応、リビングアーマーや人造ゴーレムが倒されたら、その場所もメモしておいてくれ。今検索をかけてみたけど、いまいちどれが中心の魔物かよくわからないから、多くやられたところを中心に考えているからな。

 それとカンだけど、嫌な予感がするから油断はするなよ。湖は俺の領域みたいだけど、ここから攻められないように、ダンジョンバトルで使った骨ゲーターを放っといてくれ」

 チビ神から聞いた時に、何かモヤっとした感じがしたから、一応バザールに注意を促しておく。

「みんな、バザールからの情報で樹海でモンスターパレードが起きた。マップ先生の力で検索をかけてみたけど、フレデリクの時のオーガキングみたいなSランクになり切れない、Aランクの魔物がちらほらいるから、どれが目標か分からないんだわ。

 一応湖は俺の領域だから暴走している魔物はいない。でも、そこから攻められないように、ダンジョンバトルに使った骨ゲーターを配置しておいてもらった。気になる事があったらドンドン俺に言ってくれ」

 しばらく悩んでいると、土木組の子たちから意見が出た。

 内容は、何かのマンガかアニメか忘れたけど、今回みたいなモンスターがあふれ出すお話があったらしい。

 その時に今回と同じように、中心になるモンスターを倒したら逃げていく、という言葉を信じて倒したのに、中心になるモンスターが複数いたため、中心だと思っていたモンスターを倒した後に、違う中心のモンスターが群れを吸収して、ドンドンでかくなってしまい、大きな被害を出してしまった。

 といった話があったそうだ。

「なるほど、モンスターパレードの中心が一匹だとしても、複数のモンスターパレードが同時に起きれば、それが一つなのか複数なのか分かるわけがないな。何柱かの馬鹿神共がかかわってるなら、複数のモンスターパレードが起こってもおかしくない。俺が感じていた違和感はこれかな?」

 それからは、複数のモンスターパレードがあると仮定して、フレデリクのオーガキングクラスの魔物にマークをしていく。パッと見た感じ十五匹いた。さすがに多すぎる気がするけど、適度に距離を取って、ディストピアの山側でない方向から、同時に進軍してきている。

 俺たちの作った壁はそう簡単に壊せるものではないが、樹海という土地柄なのか様々な種類の魔物が沸いている。この魔物たちってどうやって生まれたんだろうな?

 簡単に会議をして、今回はダンマスの力もフルに使って対応することに決まった。神共が起こした面倒な事に巻き込まれた。いや、ターゲットにされたので、全力で対処することが決まった。

 まず行ったのは、バザールと綾乃に連絡をとり、強い魔物が集まらないように大規模に溝と壁を作る事を伝えて、各個撃破をしてもらうように方針転換を行った。

 各モンスターパレード(仮)を、分断するように全面を囲っているが、ダンマスのスキルで作っているので、壁を壊すことはかなり難しいだろう。

 こちらの戦力を一ヵ所に集めても問題がなくなったので、端からちゃっちゃと倒していく。俺たちが帰るまでに、どれだけ減ってるかな? 人造ゴーレムは森の中での戦闘は、初めてだろうから苦戦するだろうか?

 運動能力の高い個体は、壁を越えてディストピアに向かって進んできているが、少数なのでディストピアの兵士と冒険者によって、倒されている。何かしたくても今日は何もできないので、気分を入れ替えて本を読もうとしたら、みんなにどうしてそんなにくつろいでられるの?

 と突っ込まれてしまったが、ディストピアに残っているみんなの事を信用しているから! と言い切って自分の世界に入っていく。

 本読んでいるふりをして、色々考えているんだけどね。ダンマスのスキルで、タブレットを使わないマップ先生は、まわりの人間に見えなくすることができるので、何をしているかバレないのである。

 何かの名言で、王はどっしりとかまえておくものだ! と書いてあった気がするので、見た目はどっしりと構えて、周りに不安を感じさせないように配慮してみた。

 こんな事をしなくても、ダンマスの力をフルに使う事を考えれば、何の問題も無いんだけどね。

 日が明けてお昼頃にディストピアに到着した。

 まずは指令を出している、グリエルとバザールのいる庁舎へ向かい報告を受ける。前線では戦っていないが、綾乃が命令を出して各個撃破をしているようだ。

 強い個体を倒したら、そのまま離脱して入って来た穴を閉じて、次の囲いへ行くのを繰り返している。ただいま四つ目の中心と思われる個体を倒したようだ。

 わざわざ綾乃が前に出る必要はないと思っていたが、普段より強い魔物が多く人造ゴーレムが破損してしまうため、修理要員として前線に出て指揮をしているらしい。

 綾乃の指揮は、人造ゴーレムを前に押し出して、リビングアーマーたちが後ろから数を減らしているようだ。使い捨てにできる人造ゴーレムを、前に押し出すのは正しいけど、綾乃の事だ全く違う理由で前に押し出してそうだけどな。

「報告ありがとう。俺も綾乃とは別の方向から囲いの中を殲滅してくる。嫌な感じが拭えないから、最後の囲いはゴーレムたちに任せて、後方に下がって様子を見守ろうか。何かあったら連絡してくれ、土木組のみんなは連れていけないから、ディストピアの壁の上から魔物が来たら対応してくれ」

 不満を言う子もいたけど、自分たちが足手まといになる事をわかっているので、与えられた役割をしっかりとこなすようだ。

「シュウ様、気を付けてください。何があるか分かりませんので、注意だけは怠りませんように。奥方のみなさま、シュウ様をお願い致します」

 俺は子供か? グリエルにまで心配されてるってどういうことなの? 信用がないの?

 フレデリクでは、消化不良の妻も多かったみたいなので、ここらへんでスッキリしてもらおうとも考えている。

 俺が前に行くと言っても文句を言う妻がいなかったのは、自分も暴れたいと思っているからだと、俺は思っている。おそらくそれは間違いじゃないが、何でこんなに戦闘狂になっちゃったんだろうな?
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