ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
523 / 2,518

第523話 序盤戦!

しおりを挟む
 移動を開始して丸一日が経過した。後三十分ほどで、俺たちがベースを作る予定の場所へ到着する。冒険者を含めみんなを集めて、ブリーフィングを開始する。

「後三十分で予定の場所に到着します。俺たちが先に出て、一掃してから拠点を一気に作って、冒険者と土木組は拠点ができた後に、城壁の上から攻撃を仕掛けてくれ。冒険者たちは絶対に外に出るなよ! みんなのためにクロスボウを準備してるから、これから三十分で使い方を覚えてくれ。

 狙いをつけて、引き金を引くだけだから、難しい事は無い。土木組は魔法を中心に攻めてくれ、城壁が壊れかけたら修復をしてくれ。俺たちは、フレデリクの街の城壁の外にある、試験農場に行くからよろしく。リンドは拠点を指揮してくれ。ピーチは農場の方をよろしく」

 この後は細かい作戦をつめていると、予定地に到着した。

「行こうか……魔法組、圧縮空気の準備開始。俺の合図と同時に開放。準備できたら手をあげるように!」

 しばらくすると、魔法組全員の手が上がった。

「クリエイトゴーレム! ピーチ、魔法組の魔法が発動したら防御結界を! 魔法組、開放!」

 圧縮空気の魔法が解放された。地上では暴風が吹き荒れている。マップ先生で敵の配置を確認していくが、やっぱり全部が吹き飛んだわけじゃなさそうだな。

「俺が行くぞ。シュリ前に!」

 シュリの後を追って俺も地上へ出る。頭の中で高速で魔法を組んでいく。

【ストーンキャッスル】

 二階建ての城に城壁を合わせて、魔法で作り出す。あった物を利用する魔法の使い方ではなかったので、多めに魔力を持ってかれた。

「みんな! 城壁内に魔物が残ってるから、排除してくれ。強さ的にはCランク程度の魔物だけど、無理はしないように、複数で当たるように!」

 次々に出てくる冒険者の顔が引きつっている。特に魔法使いっぽい人たちは、今にも気絶しそうになっていた。多分俺の魔法の規模と精密さを考えて、意識を保つのが大変だと推測した。

 魔法の規模的には確かに大きいけど、一度魔法を組んでしまえば……レベル一五〇もあれば問題なく使用できる程度でしかないんだけどな。土木組もすごーい! と言っているが、魔力的には問題なく使用できるところまで来ているぞ、お前たち。後はイメージ力が足りないから、まだ無理だけどね。

「ほら! 驚いている暇ないぞ! 城壁の中の敵をまず片付けるぞ。魔力に余裕がある人は、ライトの魔法を、視界を確保してくれ。俺は城壁に上って自分の目で様子を確認してくる。【ダークビジョン】」

 光属性の魔法で、夜も昼間みたいに見る事の出来る魔法だ。昼に使うと目が! ってなるので、注意が必要だ。

 そのまま城壁に上り、様子を確認する。やっぱり何かに引き寄せられるように、フレデリクに向かっている気がするんだよな。あの街に何かあるのかな?

「シュリ! 最大範囲で周囲のヘイトをかき集めてくれ」

 俺の指示を聞くと同時に、身体に魔力が走り威圧を込めて外に放出される。その魔力の波動にあてられた魔物たちはシュリを無視できなくなり、シュリの所へ行くために俺が作った城壁を攻撃し始めた。

「ヘイトがあればこっちに向かってくるのか……【ストーンレイン】」

 大きい石、岩だと地面に壊滅的な被害が出るので、拳大の石を上空にたくさん作り出して周囲にまき散らす。攻撃を受ければ、ヘイトが稼げないかと思い魔法を使ってみた。俺の予想通り俺の方にヘイトが向いて、こちらへ走って来た。

 そうこうしているうちに魔法組が城壁へ上がってきたので、次の指示を出す。

「いったん数を減らすから、火魔法で焼き払ってくれ」

 ライムとイリアが火魔法を準備して、ジュリエットとレミーが風魔法を準備している。初めは何をしてるのかと思ったが、合体魔法みたいな感じで、火魔法の火力を風魔法で強化する感じだな。

 火魔法の方がどうやら、広く効果のあるように魔法を準備している気がする。風魔法は、感じからすると、片方は外から中心に向かって風が集まるような感じか? もう片方は、上空から地面に向かって吹く風のような感じかな?

 火魔法で焼き払ってもらうだけのつもりだった。簡単な指示しかしてないのに、四人で協力してより効果のある魔法を選択するあたり、どこから来た知識なのだろうか? 俺の予定ではファイアボールやファイアストームで、ドカーンのつもりだったんだけどな。

 ちなみに燃やすのは、切り刻んで血が噴き出た状態にするくらいなら、死ぬまで燃やしてドロップにしてしまった方が、臭いが残らないからだ。

 魔物がドロップに変わる時に体の外に出ていた物は、なぜか消えないので焼いた方が効率的に、臭いを拡散させないで済むのだ。切り刻んで水で流してもいいんだけど、街にも影響が出てしまうし、魔力の消費がきついので、選択肢に入れていない。

「ピーチ! 農場の安全を確保しに行くぞ。俺が魔法で道をこじ開けるから、一気に移動するよ。リンド、ここは任せた!」

 城壁の上から魔法組が焼いてくれた方向に飛び降りて走り抜ける。まだ少しくすぶっているが、それは追従するアリスによって熱の影響がなくなっている。ドンドン優秀になっていく妻たちを見て、捨てられないか心配になってくるよ。

 それはさておき、走りながらロックキャッスルの時より大量の魔力を消費して、魔法を構築していく。構築という名のイメージなんだけどね、カッコよくいってみたいじゃん?

 今回使用するのは、雷魔法だ。大体前方の三十度程を雷が駆け抜ける感じで、イメージを固めている。ただ雷が走るだけだと、イメージが弱いかなと思ったので、無数の雷の蛇が獲物を求めて、次々に食らいつくイメージだ。

【マルチプルサンダースネーク】

 魔法の名前は何となく思いついた魔法名を、そのまま言葉にしている。見た目は俺のイメージとはちょっと違ったけど、効果は十二分にあった。

 見た目が違うというのは、俺の中のイメージでは、空中を駆け抜ける蛇をイメージしていたのだが、普通に考えて蛇って飛ばないので、地面をはいずる雷の蛇がわさわさ~っと、進行方向にいる魔物を飲み込んでいった。

 ダメージより行動できなくなる事を目的としてはなった魔法なので、Cランク以上の魔物や、雷に耐性のある魔物は残っていたが、ほとんどが痺れて動けない状態だ。

 ドロップ品を拾っていきたいところではあるが、そんな暇がないので泣く泣く放置……と思ったら、スライムたちが持っている収納の腕輪の中にしまっているようだ。体の中にある収納の腕輪が怪しく光っていた……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...