ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
519 / 2,518

第519話 モンスターパレード

しおりを挟む
 視察? が終わってディストピアに戻る。特にする事も無く、撮って来た動画の確認を行う。素人が撮るせいか、かゆい所に手が届かない感じの動画になっちまったな。伝えたいことはわかるから、大丈夫かな? それより普通に写真の方が良かったか?

 これを見てもらえるのは、夕食の後だな。みんなどんな反応するんだろうな? 一応土木組にも見ておいてもらいたいから、今日はあのメンバーにも食事の後に残ってもらおう! あの子たちにもいずれ、作ってもらう事があるかもしれないから、しっかり見ておいてもらおう。

 することがなかったので、世界樹の下でボーっとしてたら眠ってしまったようだ。目が覚めたら年少組が、世界樹の下に出したでかいソファーに集まっていた。俺の周りでキャイキャイやってたので、目が覚めたのだ。

「あ! ご主人様の目が覚めた!」

 みんなが騒ぎ出したので、三人程抱えて体を起こしてから、少し高く投げると子供みたいにはしゃいで、みんなが投げてほしがっていたので、ポンポン投げていたら時間がだいぶたってたようで、鬼の仮面をつけたような表情でスカーレット様が現れたので、みんなで慌ててソファーを片付けて土下座をする。

 みんなで、頭を地面につけて謝ってやっと許してもらえた。笑顔に戻ったスカーレット様は天使の様だった。

「みんな、ごはん食べ終わったよね。今日、メギドの近くに作った街に行ってきたんだけど、みんなの意見を聞いてみたくて、写真や動画を撮って来た。という事で、上映開始!」

 簡単に動画編集した動画をサクっと流してみんなに見てもらう。十分位の短い動画だ。

「現状がこんな感じで、一ヶ月後に街を開放する予定で動いてもらってる。ゼニスに話を通して、シングルマザーを中心に人を集めてもらって、孤児院を任せようと思ってるんだけど、もしかしたら宿の方を任せることになるかもしれないな。

 宿には宿付きのブラウニーも配置する予定なので、多分大丈夫だと考えてる。孤児院は街を離れられない人たちを中心に、運営していこうと考えてる、って話がそれたな。現状はこんな感じだけど、みんなはどう思う」

 意見を求めると、ピーチが手をあげて答える。

「最初に映っていたのって炭窯ですよね? 五個もあって大丈夫なんですか?」

「俺と同じとこに眼を付けたな。あれって、ドワーフお手製の魔道具が組み込んであって、薪が少量、もしくは魔力が潤沢にあれば、薪がいらない炭窯なんだって。

 五徳の強化版とでもいえばいいのかな? 薪が大量にあるとはいえ、魔力で代用できるならと思って、魔道具に付けられるバッテリーみたいなものを準備してきたよ」

「問題なさそうですね」

 ピーチの話が終わると、シェリルが伸びをして手をあげた。

「は~い、ため池のポンプってどれだけ力が必要なの?」

「実際に踏んできたけど、軽かったよ。それでもずっと続ければ、疲れるだろうけどね。そこで使われる奴隷たちは、数を確保してもらって、しっかり休みも取れるようにしてあるから、多分大丈夫だと思うよ。

 それによく考えたら、あの街に置いているドッペルってピーチのだから、何かあればピーチドッペルの回復魔法で何とかできるし問題ないだろう」

「シェリルも今度踏みたい!」

「今度行った時に体験しような!」

「「「はーい」」」

 何故そこで三幼女達がシンクロする? 三人とも踏んでみたかったのかな?

「他に何かないかな?」

 細かい質問は出たが大きい内容はこの二つだけだろうな。ただ、一ヶ月後に新しい街が動き出すと聞いて、何人かが気合を入れている仕草をしている。君たちに何か仕事があるのか? と思いながら様子をみていた。

 話し合いも終わってくつろいでいると、ゼニスから急に連絡が入った。

『シュウ様、夜分遅くすいません。王国にある支店からどこかで、モンスターパレードが起きたそうです。どのようにしたらいいか、相談をしたく連絡をさせていただきました』

「モンスターパレードって、魔物がいっぱいいるってこと? 初めて聞く言葉なんだけど」

『魔物の領域の魔物の数が、一定数を超すと領域から魔物があふれ出ると聞いています』

「聞いているってことは、正確な理由は分からないってことか。で、その魔物があふれる現象が、王国の何処かで起きたってことか?」

『そうですね。奥方のミリー様が良くしていただいたと言われている、フレデリクの街の近くの亜人の森でモンスターパレードが起きたそうです』

「あ~あの街か、そっちから情報が入って来たってことは、もうフレデリクの街は落ちてるってことか?」

『いえ、そういう事ではありません』

「はぁ? どういうことだ?」

『ミリー様の大切な街だと聞いていたので、支店を出していたのです。その支店から先程連絡がありまして、現在進行形で城壁に魔物達たちが取り付いているようです』

「そうなのか、少し待ってて」

 ゼニスとの話を中断して、ミリーを部屋に呼ぶとゼニスから聞いた話をサラッとする。

「あの街にはいい思い出も嫌な思い出もあるけど、不幸になってほしくないですね。シュウ君、何とかなりますか?」

「いいよ、どうにかしようか」

 ゼニスに魔導無線をつなげる。

「ゼニス、何とかすることに決めた。フレデリクで今外に出ようとしている騎士団や冒険者っているか?」

『話では、籠城をするので持久戦になると言っていました。私どもの商会も協力を求められています。戦時中なので、安く食料品を吐き出せと。本当にたまたまなのですが、元シングルの三人組とスカルズの四人が遊びにきていたので、実力行使を防いでもらえましたと言っています』

「俺の後釜になった奴もろくでもない奴なのか? 気が滅入るわ~。というか戦時中の物資取り上げというか、安く売り出せっていうのは違法じゃないのか?」

『実際に安く売りだすことはありますが、今回は領主が買い上げて、高値で売るという流れがあったうえで、戦力があったので拒否した形になります』

「明確に犯罪って証明できないってことか」

『そうですね。その後あの七人を街の外に出して、数を減らさせるみたいな話になっているそうです』

「ろくでもね~。今の所外に出る気配がないなら、その近くに俺が何かを召喚して減らしたら、良さそうだな。その間に俺らが向かえば問題ないだろう?」

『そうですね。そうして頂けると助かります』

「そだ、あの七人は絶対に支店から離れさせないでくれよ。最悪フル装備を使っていいと伝えてくれ」

『了解しました』

「それと、誰かそこに待機させといてくれ」

 魔導無線を切って、ミリーに全員を集めるように伝えて、俺は冒険者ギルドに今すぐ集まれる人間で、遠征できるメンバーを募りに行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

【完結】10引き裂かれた公爵令息への愛は永遠に、、、

華蓮
恋愛
ムールナイト公爵家のカンナとカウジライト公爵家のマロンは愛し合ってた。 小さい頃から気が合い、早いうちに婚約者になった。

鮮明な月

BL
鮮明な月のようなあの人のことを、幼い頃からひたすらに思い続けていた。叶わないと知りながら、それでもただひたすらに密やかに思い続ける源川仁聖。叶わないのは当然だ、鮮明な月のようなあの人は、自分と同じ男性なのだから。 彼を思いながら、他の人間で代用し続ける矛盾に耐えきれなくなっていく。そんな時ふと鮮明な月のような彼に、手が届きそうな気がした。 第九章以降は鮮明な月の後日談 月のような彼に源川仁聖の手が届いてからの物語。 基本的にはエッチ多目だと思われます。 読む際にはご注意下さい。第九章以降は主人公達以外の他キャラ主体が元気なため誰が主人公やねんなところもあります。すみません。

転移魔法に失敗したら大変な事に巻き込まれたようです。

ミカヅキグマ
ファンタジー
 魔導師のヴァージニアは転移魔法に失敗して見知らぬ島に来てしまった。  地図にも載っていないその島には何やら怪しげな遺跡がポツンと建っていた。ヴァージニアはただでさえ転移魔法の失敗で落ち込んでいるのに、うっかりその遺跡に閉じ込められてしまう。彼女が出口を探すために仕方なく遺跡の奥に進んで行くと、なんとそこには一人の幼い少年がいた。何故こんな所に少年が? 彼は一体何者なのだろうか?  ヴァージニアは少年の正体が世界を揺るがす出来事に発展するとは露程も思っていなかったのだった……。 ※台詞が多めです。現在(2021年11月)投稿している辺りだと地の文が増えてきています。 ※最終話の後に登場人物紹介がありますので、少しのネタバレならOKという方はどうぞご覧下さい。 ネタバレ ※ヴァージニア(主人公)が抱く疑問は地竜とキャサリンが登場すると解けていきます。(伏線回収) さらにネタバレ ※何度もループしている世界の話ですが、主人公達は前の世界の記憶を持っていません。しかし違和感などは覚えています。(あんまりループ要素はないです) さらにさらにネタバレ? ※少年の正体は早い段階で出てるじゃないかと思っている方……、それじゃないんです。別にあるんです。

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

悪魔だと呼ばれる強面騎士団長様に勢いで結婚を申し込んでしまった私の結婚生活

束原ミヤコ
恋愛
ラーチェル・クリスタニアは、男運がない。 初恋の幼馴染みは、もう一人の幼馴染みと結婚をしてしまい、傷心のまま婚約をした相手は、結婚間近に浮気が発覚して破談になってしまった。 ある日の舞踏会で、ラーチェルは幼馴染みのナターシャに小馬鹿にされて、酒を飲み、ふらついてぶつかった相手に、勢いで結婚を申し込んだ。 それは悪魔の騎士団長と呼ばれる、オルフェレウス・レノクスだった。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

欲情しないと仰いましたので白い結婚でお願いします

ユユ
恋愛
他国の王太子の第三妃として望まれたはずが、 王太子からは拒絶されてしまった。 欲情しない? ならば白い結婚で。 同伴公務も拒否します。 だけど王太子が何故か付き纏い出す。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...