ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第516話 親心後平和ってすばらしい

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 ジャルジャンから帰ってきて、次の所へ行こうとしたがやめることにした。大きな理由はお昼の時間になるので、土木組の子たちと一緒に食べようかと思い、みんなのいる場所を確認しにいく。この時間はどうやら勉強をしているようだったので、ついでに勉強の風景を見学していこう!

 みんなの勉強している教室に向かうと、土木関係の勉強をしているようだ。もう治水工事の勉強をしているのか? ちょっと早すぎる勉強ではないんじゃないか?

 もうちょっと子供らしくと思わなくもないけど、この世界では大商人や貴族の子ども以外は、普通に働く年齢だからこのくらいの勉強は仕方がないのか? それにしても、ここまでの内容をよく理解できるな。それを教えている、教師役のドワーフもすげーな。

 普通に質問を繰り返している土木組の子たちを見て、驚愕したり時々ひやひやしたりしながら、その様子をながめている。これが授業参観!? はっ! 親になった気分とは、こんな感じなのだろうか? 子供が出来たら胃がつぶれるかもしれない。

 おっと、変な事考えている間に授業が終わったようだ。

「「「「あっ! シュウ様だ!」」」」

「みんな、勉強お疲れ! 今日はみんなと一緒にお昼を食べようと思って、来たんだけどどうかな?」

 土木組の子たちがやったーと騒ぎ出した。勉強風景を見ていると大人びてる感じがしたけど、こういう所はまだまだ子供だな。ディストピアのために働きたいって言ってくれたこの子達のために、全力で支援してあげないとな。

「ブラウニーたちに、庭にお昼を準備するように、お願いしておいたからみんなで行こう!」

 教師役のドワーフは、髭をポリポリしながらこちらを見ている。顎をしゃくっているので、行って来いという事だろう。遠慮なく行ってこようではないか!

 中庭にたどり着くと、ブラウニーたちがお昼の準備を終えていたようだ。

「ブラウニーたち、ありがとな! 後で、何かお礼するから考えておいてくれ!」

「「「「「もっと仕事をください!」」」」」

「え~、仕事が足りない?」

「「「「「足りません」」」」」

「ん~じゃぁ、ドワーフのおっさんたちの鍛冶場の片付けとかどうだ?」

 あの誰も近寄りたがらないあの菌域……違った! 禁域でもブラウニーたちは行きたがらないだろうな。

「みんなに知らせに行きます! あんなにやりがいのある仕事がいただけるなんて! これは私たちの中でシフトを決めないと、みんなに恨みを買ってしまいますね。

 ブラウニー連絡会で情報共有をしましょう! 今はまだお昼の片付けとかがあるから、お昼の片付けが終わったら、連絡を入れてみますね。詳細が決まるまでは、私たちで独占ですよ! 漲りますね」

 ん? ブラウニー連絡会ってなんだ? 話の内容からすると、どうやらブラウニーたちは定期的に、職場を交換している可能性があるかな?

 満足してくれたなら、いいんじゃないかな?

「よし、みんなご飯を食べようか。いただきます!」

 土木組のみんなが揃って、あれ? いつの間にか年少組も来ていたようだ。全員そろって食事の挨拶をして食べ始める。今日の昼食は急遽みんなと食べるといったので、みんな大好きカレーライスだった。

 トッピングは自由で、人気はチキンカツとヒレカツ、エビフライみたいな中身がさっぱりしている揚げ物だった。俺は唐揚げとらっきょうをこんもりと積んで食べ始めた。

 うめがった!

 昼食が終わったので、土木組と年少組と一緒に休んでから、ミューズのドッペルに意識を移す準備をしていく。土木組の子たちはこれから座学ではなく、実技の勉強をしに行くそうだ。

 年少組は、各々に自分の持ち場に戻っていくようだ。この世界の子どもたちは、働き者と言えばいいのかな? 日本では考えられない光景だな。

 どこかの国では一桁の子どもたちが生きるために働いているって、聞いたことがあるけど、こういった世界に近い環境なのだろうか? 日本に住んでいたら分からない世界だな。

 ミューズにいるドッペルに意識を移す。

「ここは、アリス・リリー・レミーか。街に行くからついてきてくれ」

 ここは一応物騒なので高級な防具をぼろく見せて装備している。聖国の人間は基本的に罰則がついているので、ミューズには入れなくしているから、おそらく安全だ。

「ここは、街並みだけはキレイなんだけどな。中に入っていた聖職者モドキ共が酷かったから、いい印象がないな……おっ! 獣人の子供がいる」

 元気よく遊んでいる。以前のミューズではありえない光景で、獣人の子と人間の子が一緒に遊んでいる。

「君たち、ちょっとお話しいいかな?」

「知らない人と話しちゃダメだって、お母さんが言ってた!」

 獣人の子が俺に向かって言ってきた。

「そうなのか、君はお母さんのいう事をしっかりと聞いているんだね。確かに俺の事は知らない人だよな。一つだけ教えてほしいな。この街は好きかい?」

「「「「大好き!!」」」」

「あのね! 領主様が変わって、シュウ様っていう人になったんだけど、そのおかげで僕たち獣人みんなが解放されたんだって! 僕は難しいこと分からないけど、お父さんとお母さんがとっても喜んでお話ししてくれたから、シュウ様は人間だけどすごい人なんだって!」

「そっか、お話ありがとね。これお話ししてくれたお礼に飴あげるね! みんなで分けるんだぞ!」

「は~~い!」

 一気に答えてくれた獣人の子に飴をあげてその場を離れる。知らない人と話しちゃいけないってわかってるのに、意識をそらすと答えちゃうのは、子どもだからかな?

「本当にうれしそうに話してくれたな。何か聞いているこっちが恥ずかしくなっちゃったよ」

 と、嫁に話すような感じで妻ドッペルに言うと、なぜか妻ドッペルたちがどや顔をしている。お前ら妻をコピーしてるけど、本人じゃねえからな!

 その後も以前のミューズでは考えられないくらい、獣人たちが生活を営んでいた。以前からの住人はまだアレルギーのように毛嫌いしている者もいたが、こういった人がいなくなるのも、時間の問題だと思うな。

 ミューズを管理している領主代行に、『毛嫌いをして追い出そうとするくらいなら、お前らが街を出て行け』という風にしていいと命令をしているので、じきにこいつらもいなくなるだろう。今なら支度金を出すし、家持なら高値で買い取るとも言っているのだ。

 平和になったミューズを見て俺は満足した。そのまま領主館に足を延ばして領主代行と話をするが、特に問題なく話が進んでいるようだ。

 たまに罰則持ちの神官が来るが強行して入ろうとしたら、門に配置しているリビングアーマーが取り押さえて、ひどい者は処刑、軽い者は強制労働奴隷にしているとの事だ。
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