ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第505話 バザールの暴走

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 追加のドッペルを召喚してから、二週間が経過した。

「スプリガンのみんな、ドッペルの様子はどう?」

「そうですね、元々ご主人様が憑依していた個体と一緒に冒険していた個体が、中心となってパワーレベリングしてますね。かなりレベルが上がってますね。二週間後には問題なく仕上がると思います」

 大丈夫っぽいな。そういえば、

「バザール!」

「主殿、どうしたでござるか?」

「ダンジョンバトルって続けてる?」

「もちろんでござる! 今回でござるが格下なようで、もうそろそろ決着がつくのではないかと思うでござる。それにしても陸地での骨ゲーターでござるか? あれはやばいでござるな。強いのは噛みつきだけだと思ってたでござるが、あの尻尾は凶悪でござった。

 鎧着た亜人の身体を尻尾でないだら、綺麗に鎧が引き裂かれてたでござる。某は絶対に相対したくないでござる」

 打撃系に弱い骨系のアンデッド。お前、骨ゲーターと同類じゃん! お前にもアダマンコーティングしてやろうか? チラッ……

「主殿、某は絶対にアダマンコーティングとやらは、しないでくださいでござる! 人間で言うと全身にピッタリとした、ゴム手袋のような物をする感じに近いでござる。某も強くなれるかなと思い、鉄でコーティングを試した時に偉い目にあったでござる」

「全身にゴム手袋か……それは嫌だな、人間だったらさらに汗をかくから、不快指数MAXだな。汗が出ない、呼吸を必要としないとはいえ厳しいな」

「そうでござるよ、知能の低い奴らは大丈夫かもしれないでござるが、某みたいに頭のいいアンデッドには厳しいのでござる!」

 バザールがモニターの中の骨ゲーターを見てそう発言すると、映っていた骨ゲーターが、どこにあるか分からないカメラを見て、尻尾をバンバンして威嚇している。

「おぃおぃ、骨ゲーター達が怒ってるぞ!」

「しばらくは近くに行けないでござるな。まぁダンジョンバトルが終わらなければ、会う事もないでござるが……骨のくせにこういう事は、よく覚えているでござるからな」

「お前も骨だけどな」

「ボーンジョークでござるよ。アンデッドはなった時点で、魔石にすべての記憶などが蓄積されていくでござるから、ある一定のランク以上のモノは、それなりの知識を持つでござる。それでも亜人系の魔物に比べれば、比べるのがおこがましい位のバカ共でござるが」

「ほらほら、そんなこと言ってるから、また骨ゲーターが怒ってるぞ! それにしてもだ、ここに来て意外な事実が判明したな。魔物って脳じゃなくて、魔石に記憶なんかが蓄積されるんだな。てっきりアンデッドは、脳みそがないから馬鹿だと思ってたわ」

「そういう主こそ、骨ゲーターたちが怒っているでござるよ。主殿の言っている通り脳みそがないから、馬鹿なのは間違いないでござる。パソコンで言えば、脳がCPUの代わりで魔石がハードディスクといった感じでござろうか?

 大きめの脳がある亜人系の魔物は比較的賢いでござる。アンデッドは脳がないから、全身の骨で辛うじてCPUの役目を果たすため、書き込み速度が遅くて馬鹿なのである!」

「何となくわかりやすいな。Lvが上がれば、体や脳の性能が上がるから、賢くなるってことか? 骨ゲーターたちが怒ってるから、今度牛乳風呂にでもつからせてやるか?」

 どうやって聞いているのか分からないが、骨ゲーターたちが狂喜乱舞している。そんなに牛乳風呂って嬉しいのか? ネタで言ってみたつもりなのにな。後さ、お前ら全身コーティングされているのに、浸かっても意味あるのか?

 そんなことを考えるていると、顎を上下にふっている。分かったから、ダンジョンバトルが終わったら、牛乳風呂用意してやるから頑張ってくれ。

 おぃ! ちょっと待て! お前ら防衛のメンバーだろ? 何で階段を下りてるんだ?

「主殿、何をしたでござるか?」

「いやちょっとな。ダンジョンバトルが終わったら、牛乳風呂を用意するって心の中で思ったら、急に骨ゲーターたちが走り出してな……」

「カルシウムでも欲しいのでござるか? 某も牛乳風呂と言われると、こう、なんていうでござるか? 体の中じゃなくて、骨の芯から疼くものがあるでござるな」

「お前もか? お前は自分で準備しろよ? この前牛たちから搾れば、自分で入れた牛乳風呂ができるんだしな」

「っ! ちょっと用事を思い出したので、帰らせていただくでござる。主殿、頭に乗っている手は何でござるか?

 ちょっ! 骨なのに痛い! 割れて脳みそが出ちゃうでござる! あっ! 脳みそ元から無いんだった、ってちが~~~~う! 痛いでござる! 離してほしいでござる! 牛たちが某を待っているでござる!」

 今どういう状況かと言うと、聖拳を発動してバザールの頭蓋骨を鷲づかみにして、思いっきり力を入れている。せめて俺がいなくなるまで待て!

『おぉ! 骨っ子がアイアンクローをくらってるわね。あれ本当に痛いのよ。今思い出しても痛いわ。おかしな事に、あの時のあなたってまだレベル一だったわよね? 何で神である私が痛がったのかしら? レベルの上がった今やられたら、本当に中身が出ちゃうかもね!』

 ってか何でお前は俺に話しかけられるんだ?

『え? DBSの部屋にいるからに決まってるじゃない、そこなら声を届かせることもできるわよ』

 そうだったのか……迂闊だった。確かにチビ神に関係する場所だから、届いても不思議じゃないな。

「ちょっと、主殿っ! そろそろ骨がやばい音を上げているでござる! ミシミシとか、メキメキとかやばい音がしているでござる!!」

「おっと、すまんすまん。牛乳風呂を作るのは、問題ないがこのダンジョンバトルが終わってからにしろ。骨ゲーターたちのスピードを考えれば、明日の朝には最前線まで到着するだろ? そっからコアルームまで一日かからんだろ。明日にはきっと終わるから、お前は今日ここに残れ」

「そんな殺生な! 牛乳風呂が……こうなれば! 【眷属強化】 これで進行速度が上がるでござ~~、あいたっ! 主殿何するでござる?」

「お前が率先してダンジョンバトルを早めに終わらせたら、他のダンマスのブラックリストに登録されるかもしれないだろ? ちょっとは考えろ! 今回は許すけど、次はやめろよ」

 今回のダンジョンバトルは、暴走した骨ゲーターが夜の間にコアルームまでたどり着き、ダンジョンバトルが終わった。
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