ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第454話 土木組の成長

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 土木組に対する勉強は、ドワーフたちに教えた時と内容は一緒だが、かなりかみ砕いての説明になっている。それでも難しかったようだ。ディストピアに来るまで勉強することなく、物乞いなどをして生活していたのだ、生きるのに必死で勉強などできなかったのだろう。

 だからと言って見捨てるつもりは無いんだけど、理解できない自分たちが不甲斐ないのか、見捨てないでと毎回懇願をしてくる。口や態度で表していても、捨てられたらどうにもならないので、必死なのだろう。ってもね君たち、今なら冒険者として生きていく事が出来るぞ。

 俺が初めて入った街、フレデリクならこの子たちだけで制圧できるくらいには強い。あの街って確か一番上でも、一〇〇ちょい上じゃなかったっけな? ウザかったからボッコボコにしてやった気がするけどな。

 感覚派の多いこの世界では、実践形式の授業の方が分かりやすいのではと思い、座学は中止した。細かい原理が分からなくても、穴掘りや壁作りは出来るので問題ないだろう。

 魔核を作る際には、ある程度知識がないといけないので、その時には頑張ってもらおう。それまでゆっくり勉強すれば問題ない。

 という事でみんなで、工房へ移動をする。

「目の前に粘土があるけどって、みんな遊ばない!」

 俺に怒られて、粘土で遊んでいた土木組と三幼女は、バツの悪そうな顔をして謝ってくる。

「みんなの前に粘土があるよね。何で粘土かといえば、ちょっと前に試していたら分かったんだけど、土より整形がしやすいし柔らかいから、魔力も少なくて済むんだよね。これである程度訓練したら、段階を上げて土、岩、鉄って難度を上げていくから、みんな頑張るように!」

 みんなが揃って返事をする。一応妻たちも全員いるので、どこまで出来るようになるか見ものである。

「では初めに、その粘土でリンゴを作ってみてくれ。リンゴはここにあるから持っていくように」

 全員がリンゴを自分の机に持ち帰って、見比べながら形を整えている。見たものを真似る事は問題ない様子で、全員が五分以内にリンゴを作ることができた。

「じゃぁ次は、リンゴを見ないでリンゴを作ってみてくれ。リンゴは回収するから前に持ってきて」

 全員がリンゴを前に戻し、再度リンゴを作るために奮闘している。しっかりとイメージをしている印象なのだが、上手くいっていない。だけどその中でも差が顕著だった。魔法を普段から使っている妻たちが一歩前に行っているようだ。

 二十分位かけてやっとライムが完成させていた。他の魔法を使っているメンバーも、三十分以内にはリンゴを作れていた。その他の妻は四十五分位かかり、土木組は一時間程かかった。

「見ないで物を作るのって、難しいみたいだね。みんなの大体の実力は判ったから、今度は現物を見ながら、いろんなものを作る練習をしよう」

 一週間ほど同じような作業を続けさせている。初めて作る物でも圧倒的に早くなっている。俺みたいに一息で作成できるまでにはなっていないか、全員が一分以内には作れるようになっていた。ドワーフがナイフとかをすぐに作れたのは、やっぱりイメージしやすいという事もあるだろう。

「みんな見ながら作るのには慣れてきたね。次は見ないで作る特訓をしようか。見ながら何度も作ったリンゴからやってみようか」

 みんな緊張しながら粘土にクリエイトゴーレムをかけている。今までの訓練の成果だろうか、一分もかからずに、リンゴを作成する事が出来た。それ以外にも、何度も作った事のある物であれば、だいたい一分以内に作成していたが、今まで作った事のない物だと五分位かかっていた。

 それでも作成速度は、圧倒的に上がっている。ずっとこれの繰り返しをするしかないのかな? いろいろ思う所はあるが、頑張ってもらうしかないだろうな。

「何度も何度も練習する以外はないと思うから、これからは自分たちでお題を出し合って、作るの繰り返しを行うように。この工房は日中は開けておくから、空いた時間でしっかり練習するんだよ。もし聞きたいことがあったら、誰かに伝言を頼めば俺に伝わるようにしておくから大丈夫だぞ」

 自分たちで切磋琢磨してもらおう。これ以上俺が教えても、今は意味がないので、頑張ってもらうしかないな。イメージ力を頑張ってあげてくれ!

 この世界の常識で考えると、俺や綾乃みたいなイメージ力が高いのは、異常なんだろうな。そういえば、綾乃って何してんだろうな? 自分の魔力で素材を出せるだけ出して、引きこもって本読んでるか、ゲームしてそうだな。

 こっちに戻ってきて四日目あたりにメギドから連絡がきていて、レッドドラゴンが沸いたそうなので来てほしいとお願いされていたのだが、土木組へのレクチャーが一段落するまで待ってくれと伝えていた。

 という事で、メギドに行く準備をしないとな。妻たちにも夜になったらメギドに行くことを伝えてあるので、問題はないだろう。いや、問題はあったな。最近ちょくちょくディストピアを空けるので、シルキーたちが、俺に飯を作れないとボヤいてるって情報が入ってたんだった。シルキーたちの所に行くか。

「お~い、誰かいるか?」

 キッチンの前で声をかけると、ミドリが出てきた。

「今日の夜からまたメギドに行くことになったんだけど、ミドリたちもついてくるか?」

「「「「もちろんです!」」」」

 いつの間にか近付いてきていた、スカーレット・アマレロ・コバルトも一緒に返事をしていた。

「二十時頃に出発するから、その頃にホームって言って分かるか? そこに集合な」

「明日の食事の希望はありますか?」

「そうだな、朝はいつも通り任せるけど、昼はガッツリいける食事を準備してほしい。スカルズとケモ耳三人娘たちがレッドドラゴンに挑むから、元気のつく食事を準備してもらいたいんだ」

「了解であります。相談してメニューを決めます。では二十時前にホームの方へ、行かせていただくのであります」

 四人のシルキーたちが、慌ただしく準備を始めたのがキッチンの外から見えた。ブラウニーたちにも、色々指示を出しているようだが、慣れたようで慌ただしいが、焦っているメンバーはいないようだ。

 何の問題もなく夜に出発する事が出来た。
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