ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第450話 準備は着実に

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 することが無くなったので、自分の家に戻ることにした。

「ん~今日はここでブッ君じゃなくて、本を読もうかな」

 家に戻ってきて中庭にある世界樹をながめながら、木漏れ日の中で本でも読もうかと考えて、この風景にあう椅子を召喚する。そこに寝ころびながら本を読み始めると、三幼女と土木組の子どもたちが騒いでいる声が、遠くから聞こえてきた。

 どこら辺まで教育が終わってるんだろうな? それほど時間が経っていないから、おそらくまだだろう。

 ケモ耳3人娘の魔法使いの装備は、ミスリルより軽い世界樹の枝とか使えると便利だけど、加工ができないだろうからな……

 ガサガサッ……ポト

 世界樹から枝が落ちてきた。待て待て、なぜ落ちてくる? しかもほとんど加工せずに、宝石をはめる所まで用意されていた。これは世界樹が俺にプレゼントしてくれたってことか 一本だと妻たちに渡す分はないか……あっ!

 ポトッポトッポトッポトッポトッポトッポトッ

 合計七つも追加で落ちてきた。世界樹をなでながら、

「無理させてごめんな」

 と声をかけた。

 本を読んでいると、お腹の上に何かが乗った感触で、本から自分のお腹に視線を向けると、猫が立っていた。感覚でなんとなく分かっていたが、実際見てびっくりしている。家の中で乗られることはあったけど、家の外で乗られたことはなかったから驚いたのだ。

「お前、どうしたんだ?」

 と言いながら、猫の顎のしたやオデコを引っ掻いてあげると、気持ちよさそうな顔をして俺のお腹に寝転がろうとするが、横から飛んできたように、俺のお腹に別の猫が乗ってきて、初めにいたのは落とされてしまった。俺のお腹の上を取り合うのはやめてくれよ。

 このままだと収拾がつかなくなると思ったので、こいつらの好きな毛布を何枚か召喚して、召喚したベッドの上に重ねてやる。そうすると待ってました! と言わんばかりに毛布の上に移動を開始した。

 そんな猫たちの様子をながめていると、猫鍋の光景が浮かんできたので、大中小様々な土鍋を準備して並べて置いてみる。一番最初にどの子が気付くか気になるな、最終的にあの形で猫たちが収まるから可愛いので、できるなら全員で気付いて一斉に取り合ってくれないかな?

 俺の思いとは裏腹に、一時間経過しても猫たちは、一匹も土鍋には入ってくれていない。俺が準備した毛布の方がいいのか、お腹を空に向けて寝ている猫もいれば、抱き合ってリア獣をしている猫たちもいた。可愛かったのでカメラで撮ったけどね。

 一匹も気付いてくれないまま、お昼になったので、鍋とベッドをそのままにして昼食に向かう。そうすると猫たちも、俺の後を追っかけて食堂に向かった。

 ここの猫は家主たちと同じように、三食飯を食うのだ。初めは太らないかと心配したが、一食分を少なくして、食べさせているようだった。

 昼食を食べてのんびりしていると、スカルズとケモ耳三人娘の話が終わったので、話を聞いてほしいとの事だった。

 食後の運動という事で、七人の待っている庁舎の地下にあるの訓練場へ、散歩しながら向かう。

 ここに街を作ってどれくらい経つんだろうな? 初めの建物以外は、ドワーフたちが建築技術を真似て、作っている物だから街並みはキレイなものなのだが……家がだいぶ増えた気がするな。

 お金を払って一応土地を買ってもらう形にしているので、まばらなのだがやはりお金が稼げるとわかっているので、計画的にためていい土地を買っている人たちが多いようだ。

 孤児院の子たちも自立をしたら、家を持つのかな? 集合住宅的な貸し部屋みたいなのはないよな。これからの事を考えたら、作った方がいいかな? メモを取ってグリエルに渡しておこう。そうしたらいい方法を考えてくれるだろう。

 冒険者ギルドの訓練場に向かうと、女性特有の話し声が聞こえてきた。二つのパーティーは、どうやら意気投合したらしい。訓練場に入るなり俺は、

「仲良くなったようだね。何か用事があるって聞いたんだけど、どういった内容かな?」

 このメンバーに呼び出されるってことは十中八九、レッドドラゴンの件についてなんだろうけどな。

「シュウさん、レッドドラゴンの件お受けしようと思います。スカルズの皆さんの話を聞いていると、本当に装備を新調してくださって、ドラゴン用の装備を貸していただけるようなので、頑張りたいと思います」

「それは良かった。頼める相手が君たちしかいなかったから、もし断られたら一から育てないといけない所だったよ。いきなりなんだけど、このまま老ドワーフたちの所に行こうか。三人分装備も準備するから、そこのドワーフたちに希望を出して改造、強化をしてもらってほしい」

 みんなを連れて老ドワーフの所へ向かう。

「じっちゃんまた来たよ! 今度は違うメンバーも連れてきたから、装備も調整してくれ。それとさっき世界樹が枝をくれたから、どういう風に使うか検討もしなきゃな。確か君って魔法全般を使用できるよね? 一つの属性にこだわるよりは、全体的に強化できたり精密な操作ができる方がいいかな?」

「えっと、どんな物でも頂けるのであれば、慣れだと思います」

「それもそうか、じゃぁちょっと実験的な感じで……魔核でブーストがかかるような感じにしてもいいかな? 使いにくかったら、すぐに直せるから試してもらっていい?」

「了解しました」

 許可が出たので、世界樹の枝の宝石がはめれそうになっている所に、Aランクの魔物の魔石で作った魔核をセットして、魔力の伝導率の高いミスリルを、世界樹の枝に装飾をするような形で這わせていく。

 これで魔力が世界樹とミスリルの両方から、杖の先端についている魔核を通って、ブーストがかかるはず……はずなのだ!

「簡単に作っていますが、それって一般的なんですか?」

「いや、全然。今は俺しかできないと思う。そのうち、このじっさまたちも出来るようになると思うけどね。試し打ちは、ここに地下を用意してあったはずだから、そこでやろう」

 魔核を用いた、世界樹の枝のミスリルコーティングバージョンの杖は、大成功だった

 苦手だった広範囲への攻撃も難なくこなせるようになり、魔核からも魔力が生み出されているので、必要魔力が少なくて済んでいるようだ。

 他にブーストも問題なく行えており、一番驚いたのは精密な魔力操作まで可能になったとの事だ。最後の魔力操作の部分は、おそらく世界樹の恩恵だろう。

 別に使いにくい様子もなかったようなので、そのまま贈呈している。

 後は自分たちでドワーフのじっさま方に注文してくれ、と言って工房を後にする。
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