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第440話 帰還から三日
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ディストピアについて三日が経った。その間に行ったことといえば、まずはネルたちの学校の友達と、集団面接モドキみたいなことをした。
学校の授業が終わってから教室に入って、分かりやすくこれからの事を説明すると、孤児院の子供は全員が立候補してきた。低学年は二クラスあり、一つは孤児院の子供や片親の子供が集まるクラス、もう一つが両親がいて仕事の手伝いをしながら学校に通っているクラスだ。
なぜ分かれているかといえば、片親の方の親は優先的に賃金の高い仕事へ就いてもらっている。忙しい分給料が高いのだが、子どもが一人の時間が増えてしまうので学校で、孤児院の子たちと勉強をしてもらっているのだ。
なので、どうしても勉強スピードに差が出てしまって、あまり良くないのだがクラスを仕方がなく分けている状況だ。
孤児院のこの年代の子どもたちは、なんで全員が女の子なんだろうな? 疑問に思ったので、常識人のミリーに質問してみたら、
『そんなの決まってるじゃん、男の子は小さくても労働力になるから、貰われるのが早いんだよ。それに対してこの子達の年齢の女の子だと、力仕事はできないし女性としてみる事も出来ないから、引き取る相手がいないのよ。中には変態貴族ってのもいるけどね』
との事だった。
変態ってのはどこにでもいるんだな。この世界では金を持っていれば、それが許されるっていうんだから怖い。
片親の子供たちは、全部で三十人程いて、孤児院の子供は十五人程しかいなかったので、一クラス分としては、問題ない人数が残るのでいいかな? この子たちは孤児院から俺預かりになるから、しっかりと全員が過ごせる家を建てないとな。
俺たちの仕事に携わってくれる予定だから、しっかり優遇してあげないとな。
初めは一人に一部屋与えようとしたら、寂しいから嫌だとギャン泣きされたので、寝る場所や遊べる場所は今まで通り共有スペースを作り、それとは別に個人の部屋をあげるようにした。使われる日が来るのかわからないけどな。大きくなれば、使う日が来るかな?
みんなの共有スペースは、大小さまざまな部屋を用意している。みんなでアニメを見るスペースは、特に力を入れて作成した。ゲームをできるようにもしてある。
建物の間取りは、一階が勉強に使う場所として、結構広く作っている。教室として使えるのを四部屋準備している。二階はみんなで遊べるスペース、大小様々な部屋が用意されているフロアだ。三階がみんなの寝室と、個人に与えた部屋を用意している。
今までと環境が変わるけど頑張って慣れてもらおう。
十歳かそこらの子供に、そこまでハードな事はするつもりはないので、遊びながら知識をつけられるように工夫していかないとな。しばらくは、ここから学校へ通ってもらって……いきなり色々を変えすぎてもよくないしな。
三幼女に準備ができたことを伝えて、部屋の引っ越しをするように、志願した子たちに伝えるようお願いした。三人は笑顔で孤児院へ走っていったのはいいけど……転ぶなよ?
次にした事は、ディストピアに帰って来る時に、CADを使って設計していた貨物車の作成を始めた。ダンジョン農園の一角に作成した試作試験場へ移動して、思いつくままに素材を召喚していく。小さいサイズで模型のようなものを作成してみたが、重い気がする。
日本ではこんなに重い物が、時速一〇〇キロメートルを超えるスピードで走っているのか……そう考えるとあの世界の技術って凄い物があるよな。
「できるだけ軽く作るべきか? 軽くすると強度に問題が出るか? どうしたもんだかな」
独り言をブツブツ言いながらいろんな素材をいじっていく。
「主機関は、ミスリル合金のアダマンタイトコーティングで決定だけど、枠組みはどうするべきか? アルミみたいな金属にクリエイトゴーレムで補強すればいいか? 魔核も搭載して自己修復機能も付ける予定だからそれで十分か?でもな~・・・どうすっかな?」
小一時間ほど悩んで出した結論は、
「よし、アルミじゃなくて木材を使おう。骨格はミスリル合金で作って、他の部分は木材をクリエイトゴーレムで加工しよう。金属だけだと何か硬い感じがするからな。修復機能や強化機能を付けた魔核をつけておけば、大破しない限りは問題ないだろう」
仕様が決定したので、サクサクと作っていく。ゴーレム機関と車輪・車軸の作成からだ。
「ゴーレム機関は、ギアを使ったタイプの方が良いかな? ん~魔核からの供給するエネルギーを上げて、車軸の回転数を上げる方法も取れなくもないか? む~どうしたもんだかな?」
俺が気に入って、いたるところに配置しているソファーに深く腰掛けて、だれながら貨物車の設計図を見ながらうなっていると、眉間をつつかれる感覚で現実に意識が戻って来た。
「ご主人様、眉間にしわが寄っていますよ。少し息抜きされてはどうですか?」
ライラが紅茶を入れてくれたようだ、いい匂いだな。
「気を遣わせたね、ん~美味しいね。だけど、いつもと何かが違うね?」
「今日は少し変えてみたのですが、いつものとどちらがいいですか?」
「甲乙はつけがたいけど、今回のは味がいいね」
「そうですか、頑張って育てた甲斐がありました。ミルクですがダンジョン農園の牧場でとれた牛乳を使用しています」
「ん? 牛乳用に品種改良したあれか?」
「そうです。お肉は美味しくありませんでしたが、牛乳は他のと比べるのが可哀想なほどおいしく感じましたね」
「そんなに違うのか……まだまだ貴重なのにありがとな。一服できたし続きをするかな。誰かに言って材木屋から木材買ってきてもらってきてくれ。この収納カバンに入る分くらいお願い」
ライラにおつかいを頼み、俺はゴーレム機関の作成に入る。
イメージするのはAT車だ。魔核を人工知能みたいにして、スピード制御をさせるかたちだ。DPでエンジン内部の断面図が書かれた資料を召喚して、俺なりに理解してからゴーレム機関を作成していく。
初めて作ったゴーレム機関は、回るには回ったが軸にくっつけると、回らなくなってしまった。もっと精密に作らないといけないんだな。
思った以上に神経を使う作業だった。これに丸二日かかってしまったのだ。だけど、一つ作ってからは慣れたのか、失敗することなく二個目、三個目とゴーレム機関が作れるようになった。
さて、走らせてみるか。
学校の授業が終わってから教室に入って、分かりやすくこれからの事を説明すると、孤児院の子供は全員が立候補してきた。低学年は二クラスあり、一つは孤児院の子供や片親の子供が集まるクラス、もう一つが両親がいて仕事の手伝いをしながら学校に通っているクラスだ。
なぜ分かれているかといえば、片親の方の親は優先的に賃金の高い仕事へ就いてもらっている。忙しい分給料が高いのだが、子どもが一人の時間が増えてしまうので学校で、孤児院の子たちと勉強をしてもらっているのだ。
なので、どうしても勉強スピードに差が出てしまって、あまり良くないのだがクラスを仕方がなく分けている状況だ。
孤児院のこの年代の子どもたちは、なんで全員が女の子なんだろうな? 疑問に思ったので、常識人のミリーに質問してみたら、
『そんなの決まってるじゃん、男の子は小さくても労働力になるから、貰われるのが早いんだよ。それに対してこの子達の年齢の女の子だと、力仕事はできないし女性としてみる事も出来ないから、引き取る相手がいないのよ。中には変態貴族ってのもいるけどね』
との事だった。
変態ってのはどこにでもいるんだな。この世界では金を持っていれば、それが許されるっていうんだから怖い。
片親の子供たちは、全部で三十人程いて、孤児院の子供は十五人程しかいなかったので、一クラス分としては、問題ない人数が残るのでいいかな? この子たちは孤児院から俺預かりになるから、しっかりと全員が過ごせる家を建てないとな。
俺たちの仕事に携わってくれる予定だから、しっかり優遇してあげないとな。
初めは一人に一部屋与えようとしたら、寂しいから嫌だとギャン泣きされたので、寝る場所や遊べる場所は今まで通り共有スペースを作り、それとは別に個人の部屋をあげるようにした。使われる日が来るのかわからないけどな。大きくなれば、使う日が来るかな?
みんなの共有スペースは、大小さまざまな部屋を用意している。みんなでアニメを見るスペースは、特に力を入れて作成した。ゲームをできるようにもしてある。
建物の間取りは、一階が勉強に使う場所として、結構広く作っている。教室として使えるのを四部屋準備している。二階はみんなで遊べるスペース、大小様々な部屋が用意されているフロアだ。三階がみんなの寝室と、個人に与えた部屋を用意している。
今までと環境が変わるけど頑張って慣れてもらおう。
十歳かそこらの子供に、そこまでハードな事はするつもりはないので、遊びながら知識をつけられるように工夫していかないとな。しばらくは、ここから学校へ通ってもらって……いきなり色々を変えすぎてもよくないしな。
三幼女に準備ができたことを伝えて、部屋の引っ越しをするように、志願した子たちに伝えるようお願いした。三人は笑顔で孤児院へ走っていったのはいいけど……転ぶなよ?
次にした事は、ディストピアに帰って来る時に、CADを使って設計していた貨物車の作成を始めた。ダンジョン農園の一角に作成した試作試験場へ移動して、思いつくままに素材を召喚していく。小さいサイズで模型のようなものを作成してみたが、重い気がする。
日本ではこんなに重い物が、時速一〇〇キロメートルを超えるスピードで走っているのか……そう考えるとあの世界の技術って凄い物があるよな。
「できるだけ軽く作るべきか? 軽くすると強度に問題が出るか? どうしたもんだかな」
独り言をブツブツ言いながらいろんな素材をいじっていく。
「主機関は、ミスリル合金のアダマンタイトコーティングで決定だけど、枠組みはどうするべきか? アルミみたいな金属にクリエイトゴーレムで補強すればいいか? 魔核も搭載して自己修復機能も付ける予定だからそれで十分か?でもな~・・・どうすっかな?」
小一時間ほど悩んで出した結論は、
「よし、アルミじゃなくて木材を使おう。骨格はミスリル合金で作って、他の部分は木材をクリエイトゴーレムで加工しよう。金属だけだと何か硬い感じがするからな。修復機能や強化機能を付けた魔核をつけておけば、大破しない限りは問題ないだろう」
仕様が決定したので、サクサクと作っていく。ゴーレム機関と車輪・車軸の作成からだ。
「ゴーレム機関は、ギアを使ったタイプの方が良いかな? ん~魔核からの供給するエネルギーを上げて、車軸の回転数を上げる方法も取れなくもないか? む~どうしたもんだかな?」
俺が気に入って、いたるところに配置しているソファーに深く腰掛けて、だれながら貨物車の設計図を見ながらうなっていると、眉間をつつかれる感覚で現実に意識が戻って来た。
「ご主人様、眉間にしわが寄っていますよ。少し息抜きされてはどうですか?」
ライラが紅茶を入れてくれたようだ、いい匂いだな。
「気を遣わせたね、ん~美味しいね。だけど、いつもと何かが違うね?」
「今日は少し変えてみたのですが、いつものとどちらがいいですか?」
「甲乙はつけがたいけど、今回のは味がいいね」
「そうですか、頑張って育てた甲斐がありました。ミルクですがダンジョン農園の牧場でとれた牛乳を使用しています」
「ん? 牛乳用に品種改良したあれか?」
「そうです。お肉は美味しくありませんでしたが、牛乳は他のと比べるのが可哀想なほどおいしく感じましたね」
「そんなに違うのか……まだまだ貴重なのにありがとな。一服できたし続きをするかな。誰かに言って材木屋から木材買ってきてもらってきてくれ。この収納カバンに入る分くらいお願い」
ライラにおつかいを頼み、俺はゴーレム機関の作成に入る。
イメージするのはAT車だ。魔核を人工知能みたいにして、スピード制御をさせるかたちだ。DPでエンジン内部の断面図が書かれた資料を召喚して、俺なりに理解してからゴーレム機関を作成していく。
初めて作ったゴーレム機関は、回るには回ったが軸にくっつけると、回らなくなってしまった。もっと精密に作らないといけないんだな。
思った以上に神経を使う作業だった。これに丸二日かかってしまったのだ。だけど、一つ作ってからは慣れたのか、失敗することなく二個目、三個目とゴーレム機関が作れるようになった。
さて、走らせてみるか。
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