ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
419 / 2,518

第419話 隠し通路の先

しおりを挟む
 闇魔法を解いてからリーダーに要済みだと伝えると、早く殺せ! と喚き散らした。一度洗脳したからか、自分の状況を見ても意外に冷静にそんなことを言っている。いや、こんな状況だから殺せって言ってるのか?

「さて、状況はわかったが、お前らをそのまま地上に連れて行くわけにはいかなくなったな。おそらくお前らをギルドの職員や衛兵に突き出しても、俺たちが犯罪者として扱われる可能性が高いからな。さてどうしたものか?」

「あと腐れなく、殺しておいた方が良いのではないかな?」

 レイリーからの助言があり、それらを聞いた迷賊たちは慌てて何かわめきだした。俺たちにそんなことを聞く必要は、全くないから放置だ。

「あれを奪取した後なら、問題なく外に出られるんだけど……こいつらを外に連れてって、どうするかって問題もあるよな。どうやっても使い物にならなそうだし、殺したほうが楽か?」

 また迷賊が騒ぎ出したので、スカルズたちに合図を送ると腹部に蹴りを入れていった。多少静かになったので話を続ける。

「みんなはどう思う?」

「人のこなそうな部屋に放り込んで、入り口に蓋をして閉じ込めておけば、よくないですか? あれがある所までたどり着ければ、なんとでもなると思いますので、動けないようにだけしておけば問題ないと思います」

 他にもいくつか意見は出たが、キリエから出た意見が一番良さそうだったので採用した。ギルドで買った地図を見てどん詰まりの部屋へ向かう事にした。スカルズたちやレイリーに、引きずられている迷賊たちが騒いでいる。

 到着すると、いきなりあたりをひいてしまったようだ。巧妙に隠しているようだが、明らかに地図に書かれていないエリアがある、隠し通路を発見する。副リーダーを連れてきて、

「これが、お前の言っていた地図に書かれていないエリアに続く道か?」

「そうだ……」

 こいつもしかして、俺たちがここに連れてくることを、予想していたんじゃないか? それで俺らがいなくなってから、逃げようとしてた?

「スカルズたち、ちょっと偵察いってきてくれないか? この先にこいつらの仲間がいると思うから、幹部みたいな人間以外は、殺していいからたのむ。レイリーも指揮官としてついていってもらっていいか?」

「かしこまりました。スカルズの皆さんよろしくお願いします。基本は私が前でガードしながら進みますので、罠などの対処をお願いします」

 レイリーがスカルズたちに指示を出して隠し通路を進んでいく。

 残った俺たちは昼食の準備を始める。なんやかんやで十三時三十分を過ぎていたので、食事をいつでも食べれるようにするのだ。ブラウニーたちがいるので、夜の仕込みも同時進行だけどな。

 三十分ほど経つと、レイリーとスカルズたちが戻ってきて、三人引きずって連れてきた。

「シュウ様、この三人が幹部だと思われるので、連れてきました。他に二十人位いましたので、全員始末してきています」

 二十人以上の人間を拘束するのは、面倒くさかったのだろうか、指示通り幹部っぽい人間を連れてきてくれたので問題ない。

「もう一つ報告があるのですが、隠し通路の先に地上に出る階段がありました。こいつらは、そこで指揮というのもおこがましいのですが、率いていたので捕えてきました」

「なるほど、ここから物を外に運び出せるわけか。入り口は荷物のチェックがないだけで、そこから人を連れだしてるとは言っていない。冒険者からはぎ取った装備あたりのチェックがないだけ……だったってことか。あの副リーダーっぽい奴もなかなか曲者だな」

「今すぐ処理しますか?」

 キリエ、いきなり物騒だな。

「まだ利用できるから、殺すのはなしな」

 さて、こいつらの目的って何だろうな? ただの金稼ぎってわけじゃなさそうだけど、ん? 隠し通路の先が地上につながってた?

「あ~この組織? って言えばいいのかな、大本を作ったのはおそらくダンマスだな。そうでもなければ、こんなうまい具合に通路なんてないからな。ダンジョンに冒険者を呼んで、その裏で荒くれものを雇って冒険者を奴隷か何かにしてたんじゃないか?

 ろくでもない奴だったことは間違いないな。ダンマスならダンジョン内の監視ができるわけだし、人間を駒として使えるなら、かなり自由がきくからな」

 俺が独り言を言っていると、それを聞いていた幹部として連れてこられた、二人の表情が一瞬変わった。俺だけではなく、レイリーもキリエもスカルズたちも、全員が気付いていたようだ。

 今は知らないふりをして、食事をすることにした。ダンジョンの隅にクリエイトゴーレムで、牢屋っぽい物を作って迷賊全員を放り込んでおく。色々うるさかったので、遮音結界をはっておいた。

 俺もこの世界にきてから、図太くなったよな。人や魔物を殺した、グロテスクな現場を見たすぐ直後にでも、問題なく食事ができるようになったんだもんな。

 この世界の人間、奴隷に落ちたことある者や、劣悪な環境で生活を強いられた者や、冒険者など戦闘を生業としている者たちは平気なようだ。

 ちなみに調理はキッチン馬車を利用している。ブラウニーたちの覚えているメイドの嗜みという、大容量の収納スキルに入れて持ち運んでいる。

 時間の経過してほしくない調理済みの食材何かは、収納の腕輪に入れているようだ。使い方が似ているスキルとアイテムだから、混乱しないのだろうか?

 食事中に時々イリアが風魔法を発動させていたようだが、何かと思えば迷賊たちの牢屋の方へ、匂いを流していたようだ。レイリーの判断でそういう風に、していたようだがどうしてだろうか?

 香辛料のいい香りの強い風を嗅いでいる迷賊たちは、かなりきついだろうな。若干名それどころじゃない奴もいるだろうけど、あ~リーダーがボコボコに蹴られてる。うるさかったのかな?

 遮音結界でこっちには、聞こえていなかったから分からないけどな。手の拘束は解いてないが、足の拘束は解いておいたのでめっちゃ蹴られてるな。可哀想に。

「領主がかかわっているのは、あいつらの情報で確定だから、俺らに手を出したことの報復をしないといけないよな。その前に、このダンジョンを掌握してからだな。でも、こいつらを置いていくわけにもいかない。スカルズたち、悪いけどこいつらの監視頼んでいいか? 領主に報復する時は、出番を用意するから」

「「「「了解しました」」」」

 いい返事が返ってきた。

 さてさて、ダンジョン攻略の予定を組みなおしますか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗
ファンタジー
 異世界で暮らすただの商人・カイトは『レベル売買』という通常では絶対にありえない、世界で唯一のスキルを所持していた事に気付く。ゆえに最強ギルドに目をつけられ、直ぐにスカウトされ所属していた。  その万能スキルを使いギルドメンバーのレベルを底上げしていき、やがてギルドは世界最強に。しかし、そうなる一方でレベルの十分に上がったメンバーはカイトを必要としなくなった。もともと、カイトは戦闘には不向きなタイプ。やがてギルドマスターから『追放』を言い渡された。  途方に暮れたカイトは彷徨った。  そんな絶望的で理不尽な状況ではあったが、月光のように美しいメイド『ルナ』が救ってくれた。それから程なくし、共に世界で唯一の『レベル売買』店を展開。更に帝国の女騎士と魔法使いのエルフを迎える。  元から商売センスのあったカイトはその才能を遺憾なく発揮していく。すると驚くほど経営が上手くいき、一躍有名人となる。その風の噂を聞いた最強ギルドも「戻ってこい」と必死になるが、もう遅い。  見返すと心に決めたカイトは最強ギルドへの逆襲を開始する――。 【登場人物】(メインキャラ) 主人公 :カイト   / 男 / 商人 ヒロイン:ルナ    / 女 / メイド ヒロイン:ソレイユ  / 女 / 聖騎士 ヒロイン:ミーティア / 女 / ダークエルフ ***忙しい人向けの簡単な流れ*** ◇ギルドを追放されますが、実は最強のスキル持ち ◇メイドと出会い、新しい仲間も増えます ◇自分たちだけのお店を開きます ◇みんな優しいです ◇大儲けしていきます ◇元ギルドへの反撃もしていきます ◇世界一の帝国へ移住します ◇もっと稼ぎまくります

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転移したら~彼女の"王位争い"を手助けすることになった件~最強スキル《精霊使い》を駆使して無双します~

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ とある大陸にあるローレスト王国 剣術や魔法、そして軍事力にも長けており隙の無い王国として知られていた。 だが王太子の座が決まっておらず、国王の子供たちが次々と勢力を広げていき王位を争っていた。 そんな中、主人公である『タツキ』は異世界に転移してしまう。 「俺は確か家に帰ってたはずなんだけど......ここどこだ?」 タツキは元々理系大学の工学部にいた普通の大学生だが、異世界では《精霊使い》という最強スキルに恵まれる。 異世界に転移してからタツキは冒険者になり、優雅に暮らしていくはずだったが...... ローレスト王国の第三王女である『ソフィア』に異世界転移してから色々助けてもらったので、彼女の"王位争い"を手助けする事にしました。

バランスブレイカー〜ガチャで手に入れたブッ壊れ装備には美少女が宿ってました〜

ふるっかわ
ファンタジー
ガチャで手に入れたアイテムには美少女達が宿っていた!? 主人公のユイトは大人気VRMMO「ナイト&アルケミー」に実装されたぶっ壊れ装備を手に入れた瞬間見た事も無い世界に突如転送される。 転送されたユイトは唯一手元に残った刀に宿った少女サクヤと無くした装備を探す旅に出るがやがて世界を巻き込んだ大事件に巻き込まれて行く… ※感想などいただけると励みになります、稚作ではありますが楽しんでいただければ嬉しいです。 ※こちらの作品は小説家になろう様にも掲載しております。

処理中です...