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第399話 勇者の称号を持っているのに……
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『ご主人様! ご主人様!』
昼食を食べながらのんびりと考え事をしていたら、魔導無線機から急に声がした。誰か分からない、誰だったっけな? とりあえず、応答しておこう。
「どうした?」
『ダンジョン監視室からです。綾乃様ですが……色々な意味ですごいです』
スプリガンの方からの連絡だった。それにしても綾乃がすごい? 何をしたんだ??
「すぐにそっちに行くよ、リプレイで見れるようにしておいてもらっていいかな?」
『了解しました。準備してお待ちしております』
「みんな、綾乃が何かしたみたいだから、ちょっとダンジョン監視室に行ってくる」
そう宣言すると全員が立ち上がって、俺についてきた。そんなにいっぱいで来られても困るのだが。妻を全員連れてダンジョン監視室に向かう事になった。みんな予定はないのか? 集まった段階で今日の予定は全部潰してきたのかな?
ダンジョン監視室に行くと、一番大きい正面のディスプレイに止められたリプレイの画像が映し出されていた。
「お待ちしてました。こちらをご覧ください」
正面に映し出されたディスプレイに流れ始めたのは、綾乃の戦闘シーンだった。
「え? これって、どうなってたんだ?」
「これは、センスのかけらも感じられないですね……」
そう、スプリガンの言うように綾乃の戦闘風景は酷かったのだ。相手は最弱のゴブリン、ステータスだけで言えば十倍近くあって、装備も高級なものなのに、互角の戦闘をしているのだ。普通にぶん殴れば倒せるのに、それができていないのだ。しかも、
『このゴブリンなかなか強いわね。もしかして異常種ね!』
等とアホな事を言っている。戦闘にとことん向いていないんだ、という事が判明した。この後も色々な敵と奮戦するも全部が格下相手だったのだ。
「ミリーに連絡して綾乃に引き上げるように伝えてくれ、この様子だと訓練した兵士に遭遇したら、いくらレベルが上がっても負けそうな気がするわ。今度何か考えよう」
若干頭が痛くなるのを感じながら、綾乃に帰還するように指示をする。
テンション高めに戻って来た綾乃が、
「みんな! 私のかっちょいい姿見てくれた?」
綾乃はダンジョンの監視機能について知らされていたようで、戦闘姿を見てくれたかと聞いてきたのだが、俺を含め三幼女ですら、可哀想な子を見るような目で綾乃の事を見ていた。
その微妙な空気を感じ取った綾乃は、
「え? もしかしてそんなにやばかったの?」
「そうだな、明らかな格下に善戦してる時点で、おかしいと思ってほしかったのだが、ゴブリンが格下だとは思わなかったのか? ステータスだけで見れば、綾乃はゴブリンの十倍は強いんだぞ。装備も良い物を渡してあるのに、善戦ってどれだけ弱いんだよ?」
「あれって、異常種ってやつでしょ? 強くて当たり前じゃない!」
「あのゴブリンは最下級ではないけど、異常種でも何でもないぞ」
「そんな! 嘘でしょ? めっちゃ強かったわよ?」
「それは、お前がめっちゃ弱いだけだろ。ありえないほど戦闘能力が壊滅的に低いんだよ。自分の身を守れるくらいに、修行させようと思った俺が悪かった。素直に護衛をつけて、守ってもらう方が全然良さそうだな」
「そんな、私ってそんなに才能無いんだ……」
「よし分かった。イメージは得意そうだから、自分の好きな見た目で人造ゴーレムを自分で作れば問題解決だな。作り方教えるから頑張ってみろ」
「ゴーレム使いね! これはこれで胸熱だわ! 異世界へ行ったらなってみたかった職業のベスト七位だわ!」
微妙な順位だ……
「コメントに困る順位なんだが、なんて返せばいいんだ?」
「はぁ? 異世界に来たらなりたい職業ベスト三十の内、七位よ? 高いじゃない!」
「おぅ、三十個もなりたい職業をあげてたんだな。よくそんなに絞り出せたもんだな」
「そうね、一五〇個くらいから選んだから、かなり上位なのよ! 一番なりたかったのは、この世界に来てなれちゃったけど、あの扱いは酷いよね! 勇者なんだから英雄的に扱ってほしかったのに、素材製造機として使われてたから不満なのよ! せっかくなりたい職業になれたのに!」
おっと、これは突っ込んでいいのだろうか? この世界の勇者って職業じゃなくて、単なる称号なんだぞってさ。
それに勇者って職業の特徴ってなんだ? ドラ〇エ風に言えば、剣もそこそこ魔法もそこそこ回復もそこそこのオールラウンダーだけど、言ってしまえば単なる貧乏器用だろ? 一五〇個も職業をあげたのに、なぜそれを一位にしたんだよ。
周りを見てみると、苦笑いをしている妻たちが目に入ってきた。俺と同じこと考えてるんだな、みんな耐えろ!
「正直な所、この世界で一番強くなれるのがゴーレム使いだぞ。色々な制限はあるけど、それをクリアできれば最強の軍団も作れるからな!」
「それ聞いたら、みなぎってきたわ! 早く作り方教えなさい!」
「まて、そもそもまだクリエイトゴーレムすら使えないのに何言ってんだよ。覚えてから俺の力で、スキルLvを上げるからそしたら、一つずつ説明するから落ち着け! まぁ、今日は活動終了だから明日からだけどな!」
「ちょっと! ここまで来てお預けは無いでしょ! ここまで来たら最後まで責任取りなさいよ! この燃え滾る気持ちは何処『じゃぁディストピアから出てく? ゲーム機も全部取り上げるけど?』……かにいったわね」
綾乃は俺の発言によって、見事な手のひら返しを行った。いつも思うけどここまできれいに手の平を返されると、楽しくなってくるからついつい何度もやりたくなってくるんだよな。
意地悪で綾乃にクリエイトゴーレムを教えないわけではないのだ。おそらく、この世界にきて初めての戦闘行為だと思うんだ。
他の勇者たちは、戦闘スキルやステータスを与えられて訓練しているが、初めての綾乃に関しては、予想以上に精神的なストレスになるのだから、今日はもう休憩にしたのだ。こういう時って、自分で思っている以上に疲れているんだよな。
俺も初めての戦闘でゴブリンを倒した時は、一時ピンチになりはしたが余裕で倒せたのに、その夜は爆睡してたからな、予想以上に疲れてたんだよね。それ以上に楽しかったから、その次の日も元気に戦闘に出たけどな。
それに興奮しているせいか、自分が怪我していることに気が付いてなかったんだよな。こっそりピーチが治療していたけど、怪我に気付かないほど興奮しているのは、正直危険だからな。今日はゆっくり休んでくれ。明日は嫌がっても、頭の中に知識を詰め込んでやるから覚悟しておけよ!
昼食を食べながらのんびりと考え事をしていたら、魔導無線機から急に声がした。誰か分からない、誰だったっけな? とりあえず、応答しておこう。
「どうした?」
『ダンジョン監視室からです。綾乃様ですが……色々な意味ですごいです』
スプリガンの方からの連絡だった。それにしても綾乃がすごい? 何をしたんだ??
「すぐにそっちに行くよ、リプレイで見れるようにしておいてもらっていいかな?」
『了解しました。準備してお待ちしております』
「みんな、綾乃が何かしたみたいだから、ちょっとダンジョン監視室に行ってくる」
そう宣言すると全員が立ち上がって、俺についてきた。そんなにいっぱいで来られても困るのだが。妻を全員連れてダンジョン監視室に向かう事になった。みんな予定はないのか? 集まった段階で今日の予定は全部潰してきたのかな?
ダンジョン監視室に行くと、一番大きい正面のディスプレイに止められたリプレイの画像が映し出されていた。
「お待ちしてました。こちらをご覧ください」
正面に映し出されたディスプレイに流れ始めたのは、綾乃の戦闘シーンだった。
「え? これって、どうなってたんだ?」
「これは、センスのかけらも感じられないですね……」
そう、スプリガンの言うように綾乃の戦闘風景は酷かったのだ。相手は最弱のゴブリン、ステータスだけで言えば十倍近くあって、装備も高級なものなのに、互角の戦闘をしているのだ。普通にぶん殴れば倒せるのに、それができていないのだ。しかも、
『このゴブリンなかなか強いわね。もしかして異常種ね!』
等とアホな事を言っている。戦闘にとことん向いていないんだ、という事が判明した。この後も色々な敵と奮戦するも全部が格下相手だったのだ。
「ミリーに連絡して綾乃に引き上げるように伝えてくれ、この様子だと訓練した兵士に遭遇したら、いくらレベルが上がっても負けそうな気がするわ。今度何か考えよう」
若干頭が痛くなるのを感じながら、綾乃に帰還するように指示をする。
テンション高めに戻って来た綾乃が、
「みんな! 私のかっちょいい姿見てくれた?」
綾乃はダンジョンの監視機能について知らされていたようで、戦闘姿を見てくれたかと聞いてきたのだが、俺を含め三幼女ですら、可哀想な子を見るような目で綾乃の事を見ていた。
その微妙な空気を感じ取った綾乃は、
「え? もしかしてそんなにやばかったの?」
「そうだな、明らかな格下に善戦してる時点で、おかしいと思ってほしかったのだが、ゴブリンが格下だとは思わなかったのか? ステータスだけで見れば、綾乃はゴブリンの十倍は強いんだぞ。装備も良い物を渡してあるのに、善戦ってどれだけ弱いんだよ?」
「あれって、異常種ってやつでしょ? 強くて当たり前じゃない!」
「あのゴブリンは最下級ではないけど、異常種でも何でもないぞ」
「そんな! 嘘でしょ? めっちゃ強かったわよ?」
「それは、お前がめっちゃ弱いだけだろ。ありえないほど戦闘能力が壊滅的に低いんだよ。自分の身を守れるくらいに、修行させようと思った俺が悪かった。素直に護衛をつけて、守ってもらう方が全然良さそうだな」
「そんな、私ってそんなに才能無いんだ……」
「よし分かった。イメージは得意そうだから、自分の好きな見た目で人造ゴーレムを自分で作れば問題解決だな。作り方教えるから頑張ってみろ」
「ゴーレム使いね! これはこれで胸熱だわ! 異世界へ行ったらなってみたかった職業のベスト七位だわ!」
微妙な順位だ……
「コメントに困る順位なんだが、なんて返せばいいんだ?」
「はぁ? 異世界に来たらなりたい職業ベスト三十の内、七位よ? 高いじゃない!」
「おぅ、三十個もなりたい職業をあげてたんだな。よくそんなに絞り出せたもんだな」
「そうね、一五〇個くらいから選んだから、かなり上位なのよ! 一番なりたかったのは、この世界に来てなれちゃったけど、あの扱いは酷いよね! 勇者なんだから英雄的に扱ってほしかったのに、素材製造機として使われてたから不満なのよ! せっかくなりたい職業になれたのに!」
おっと、これは突っ込んでいいのだろうか? この世界の勇者って職業じゃなくて、単なる称号なんだぞってさ。
それに勇者って職業の特徴ってなんだ? ドラ〇エ風に言えば、剣もそこそこ魔法もそこそこ回復もそこそこのオールラウンダーだけど、言ってしまえば単なる貧乏器用だろ? 一五〇個も職業をあげたのに、なぜそれを一位にしたんだよ。
周りを見てみると、苦笑いをしている妻たちが目に入ってきた。俺と同じこと考えてるんだな、みんな耐えろ!
「正直な所、この世界で一番強くなれるのがゴーレム使いだぞ。色々な制限はあるけど、それをクリアできれば最強の軍団も作れるからな!」
「それ聞いたら、みなぎってきたわ! 早く作り方教えなさい!」
「まて、そもそもまだクリエイトゴーレムすら使えないのに何言ってんだよ。覚えてから俺の力で、スキルLvを上げるからそしたら、一つずつ説明するから落ち着け! まぁ、今日は活動終了だから明日からだけどな!」
「ちょっと! ここまで来てお預けは無いでしょ! ここまで来たら最後まで責任取りなさいよ! この燃え滾る気持ちは何処『じゃぁディストピアから出てく? ゲーム機も全部取り上げるけど?』……かにいったわね」
綾乃は俺の発言によって、見事な手のひら返しを行った。いつも思うけどここまできれいに手の平を返されると、楽しくなってくるからついつい何度もやりたくなってくるんだよな。
意地悪で綾乃にクリエイトゴーレムを教えないわけではないのだ。おそらく、この世界にきて初めての戦闘行為だと思うんだ。
他の勇者たちは、戦闘スキルやステータスを与えられて訓練しているが、初めての綾乃に関しては、予想以上に精神的なストレスになるのだから、今日はもう休憩にしたのだ。こういう時って、自分で思っている以上に疲れているんだよな。
俺も初めての戦闘でゴブリンを倒した時は、一時ピンチになりはしたが余裕で倒せたのに、その夜は爆睡してたからな、予想以上に疲れてたんだよね。それ以上に楽しかったから、その次の日も元気に戦闘に出たけどな。
それに興奮しているせいか、自分が怪我していることに気が付いてなかったんだよな。こっそりピーチが治療していたけど、怪我に気付かないほど興奮しているのは、正直危険だからな。今日はゆっくり休んでくれ。明日は嫌がっても、頭の中に知識を詰め込んでやるから覚悟しておけよ!
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