ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第394話 ポーションとはなんぞや?

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 和三盆作りというには拙いが、貴重な体験ができた。したいことが一つまたできたな。次は何を体験できるんだろうな?

「いや~、楽しかったね。邪魔をしにいった感じが否めなかったけど、貴重な体験だった。生産スキルに影響されない技術みたいだから、不思議な感じだよね。普通の生産もデザインはスキルレベルに影響されないんだけど、それとは違うからな」

 ダンジョン農園から自宅に戻るまでの短い間だが、みんなと今日の感想を話しながら帰路を進んでいく。途中からいい匂いがしてきたので、お腹がクゥ~となってしまった。年少組に笑われながら食堂へ向かっていく。夕食にちょうどいい時間になっていたので、そのまま向かう事にしたのだ。

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 食堂に入ると体を傾けながら大きな声をあげてゲームをしていた。さすがに食事前の食堂にしてはうるさかったので、軽く頭をはたく。

「あいた!? あれシュウ君じゃん」

「少しは静かにしろ、もう食事の時間なんだからさすがにうるさいぞ」

「え!? もうそんな時間? まだ一個しかランク上がってないのに! ちょっと待って! 今やってるので二個目のランクが上がるから! 装備整えてたら時間かかっちゃってね」

 順調にゲームを進めているようだ。みんなはもう最上ランクになって、装備を縛ったり時間を競い合ったり、違う装備で討伐してみたり色々している。

 俺はここに来る前に結構はまっていて、オンラインの方もガッツリやってたからな。総プレイ時間にすると、とてつもない時間になるのではないだろうか? その上他のゲームもしてたんだから、昔の俺ってある意味凄くねえか?

 宣言通り十分位でクエストが終わり、無事ランクが上がったようだ。上級の最後くらいまでは、自分で頑張るといきこんでいるので頑張るのだろう。いつ頃追いつくのやら? 綾乃は向こうの世界で、ボッチで一狩りに行ってたみたいなので、すぐに追いつきそうな気がする。

 騒がしかった綾乃が静かになったので食事の準備が始まった。今日は綾乃のリクエストがあってしばらくしていなかった、カレーパーティーだ。いろんな場所のカレーを少しずつ食べることができるように、ビュッフェ形式の夕食になっている。

 もちろん野菜もモリモリで置かれているので、栄養バランスはばっちりだけど……綾乃は、久しぶりのカレーという事で野菜を無視して、キーマカレーときたか。おっと? 次にとったのはインド・ネパールのチキンカレーにナンをとって、さらにグリーンカレーにも手を出していた。

 量がおおいから全部食べたら、お腹痛いとか言いだしそうだな。ブラウニーに言って消化促進ポーションを準備してもらった。

 この消化促進ポーションは、漢方薬にネタでポーションの作成工程を行ってみたら、漢方薬がポーションになってしまったのである。魔法薬なのでかなりの即効性があり、のんびりとしていると大変なことになる、特にトイレという面でだ。

 魔法で強制的に消化を促進させるため、普通の消化の過程とは全く別物になり、飲んでからしばらくすると便がしたくなるのだ。これは消化促進といってはいるが、体に影響の少ない下剤としても用いられる代物だ。

 飲むと催すので、催しポーションといってもいい気がするのだが、鑑定すると消化促進ポーションと出るので、この世界ではそれがルールなのだろう。

 二日酔いの薬にポーションの作成過程を行うと、二日酔い改善ポーションになり、飲んで少し経つと本当に二日酔いがおさまるのだ。もちろん飲みすぎたドワーフたちに大人気である。

 ちなみに、ヴローツマインで飲みすぎて体を壊したドワーフたちには、エリクサーを与えている。もちろん交換条件でだがな。もし治ったらディストピアで働けと、お酒が飲めなくて死のうとさえするほど、酒好きって簡単に街を捨てられるんだからな、すげえよ。

 今日の俺の夕食は、サラダの山盛りにインド・ネパール系のピリ辛のドレッシングをかけたものと、チキンカレーINチーズに、大きめのチーズナンというメニューだ。

 かなりのガッツリメニューになっている。妻の面々は自分たちの好きなカレーを、三・四種類ずつクオーターサイズでもらっていた。カレーのちゃんぽんと言っていいのかな? これってどうなのか?

 しばらく時間が経つと、お腹を抱えて「ぐるじい……」と言っている綾乃の姿が目に入る。案の定食べ過ぎたな。

「これから毎日違うものだけど、美味い物が食えるんだから、食いだめみたいな事しなくてもいいだろうに。綾乃、消化促進ポーションやるから、トイレ行ってから飲めよ。トイレに行く前に飲んだら、大変な事になるから注意しろよな。誰かこいつトイレに連れてってやってくれ」

 そういうと、メイドが一人前に出てきた……あれ? お前さんは誰だい?

「私は、この屋敷付きのメイドになります。この街で一番偉く、実質四つの街を支配されている人の家に、メイドや執事が一人もいないというのはおかしいという事で、ガリア様とグリエル様に派遣されてきた、メイドの一人でございます。

 綾乃様をおトイレへ連れていき、このポーションを飲ませればよろしいですか? では失礼いたします」

 やだ怖い。俺の考えていることを、普通に読み取られてしまった。それにしても俺の家にメイドがいつの間にいたのやら? 基本的に食事以外はプライベートエリアか、外に行ってるから気付かなかっただけか?

 それにしても今まで視界にいなかったのに、呼ばれたら出て来るとかどこの隠密だよ! 意識してなかったけど索敵の気配察知で、メイドと執事と思われる人間が何人も確認できた。この家ちょっと大きくして、領主っぽくしてみようかな? 明日にでもグリエルとガリアに聞いてみるかな。

 ゆっくりと食事をして、食べ終わった頃にすっきりしたような顔で綾乃が帰ってきた。女の子としてそれはどうなんだい? もう少し恥じらいがあってもいいんじゃねえかな? ボッチだった娘にそんな事もとめるだけ無駄かな?

 夕食も終わったので風呂にでも入るかな! 食堂を出ていく際に壁際にあるソファーを見ると、綾乃がすでに一狩り始めていたのだ。がんばりすぎだろ!
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