ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第388話 遊びに使われた皇帝

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「ウ~ル~ト~ラ~デ~ラ~ック~ス~ス~パ~トゥ~キ~~~~ック!!!」

 皇帝が簀巻きにされているのを発見すると、サッカー選手のフリーキックのように、ボールに吸い込まれる足のように皇帝の顔につま先がめり込む。

 ステータスに差があるとはいえ、簀巻きにされた状態で無抵抗のまま、妻たちの使っていた装備のおさがりで、つま先を守るために強化されていた靴で蹴られればダメージにもなるよな。鼻血を出しながら痛みにうめいていた。

 それだけで怒りが収まらなかったようで、仰々しく必殺技の名前を言っては蹴ったりひっぱたいたりしている。初めのつま先蹴りの時に、ドロップキックの時と言葉の並びが違った気がするな? あの言葉にはやっぱり意味がなさそうだな。

 皇帝の姿を見ていると、昔問題になってニュースにもなったって学校の先生が言っていた……なんだったっけな? 体育の時につかった体操マット? に巻かれてその状態で蹴ったり殴ったりされて、いじめられた子が放置されて亡くなったって話を思い出すな。

 いじめられていた子ってこんな感じだったのかな? こっちではステータスに回復魔法があるから死なないけど、元の世界なら何の抵抗もできない人間なら、ケガしたまま放置されれば亡くなることもあり得るよな。

 十五分位ボカスカやっているけど、落ち着く感じがないな。

「綾乃、そろそろ気が済んだか? 話を進めたいのだが」

「ふしゅ~ふしゅ~。ふ~、もう気は晴れてるよ。何か止められるまで続けなきゃ! っていう気持ちになって、なかなか止められなかったの! テヘペロ!」

 ふしゅ~とかテヘペロって本当に自分で言うやつがいるんだな。

「そうなのな。そろそろ離れてくれ。話せるくらいまで治してから、ちょっと話し合いをするから」

 すっきりした顔をした綾乃が、ピーチの横まで下がった。

「ご主人様、治すのはキリエにお任せください。キリエ、過剰に回復させないように注意してください」

 俺に並ぶようにしてキリエが前に出てきて回復魔法をかけてい……る? 外傷が治っている感じがしないな、どこ治してるんだ? まじまじ観察しているとキリエから声がかかった。

「ご主人様、そんなに見ても治っていくところは見れませんよ? 話すのに必要な部分の中だけ治しているだけですからね。そろそろ話せると思いますよ」

 いつの間にこんな細かいことができるようになったのやら。魔法はイメージが大切だから、キリエは体のつくりをしっかりと把握しているってことだよな。いつの間にそんな勉強までしてたんだ?

 俺なんかこの世界にきて、初めの一週間くらいしか勉強してないぞ。しかも生きていくための手段として、勉強してただけだしな。

 何となく綾乃を見ていて俺の中に疼くものがあった。俺は収納の腕輪の中に入れていた枝を取り出す。目の前には俺たちから見たら醜い者……汚物!

 やることは一つ! 枝で汚物をツンツンする! ドクタ〇スラン〇アラ〇ちゃんが、UNKをツンツンするかのように突っついてみた。

「あなた! 分かってるわね! いい友達になれそうな気がしてきたわ!」

 何が分かってるのか分かりたくないが、ちょっと疼いたのでやってみたかったんだよ!

「ご主人様、それは儀式か何かですか? 私たちにも分かるように教えてください!」

 ピーチが俺と綾乃が何やらわかり合っている事に慌てて、話を聞こうとしてきた。

「それはね、とある漫画の主人公g『綾乃! シャラップ! それ以上しゃべったら置いてく』ごめん、なんでもない」

「「「「ご主人様!?!?」」」」

 他の妻たちも話を聞きたかったらしく、ピーチの声にかぶせるようにして俺の事を叫んだ。

「後で教えるから、今教える事じゃないんだよ。後で元になったネタを、ブッ君に入れてあげるからちょっと、その話から離れて。それじゃあこうt『ストーップ・ジャスト・ア・モーメント!』、何で英語?」

「ちょっと待ちなさいって、ブッ君って何? 元になったネタを入れるってどういう事?」

「お前もうるさいな、話が進まんだろうが」

「私にとっては、命と同じくらい重要なワードが出てきたんだから、聞かずにはいられないでしょ!」

「わかったわかった、今無理に聞こうとするなら、一生出れないようにどっかに幽閉するぞ?」

「ワタシイイコダカラキチントマッテル」

 綾乃が片言になっていた。

「よし、気を取り直してっと。皇帝、起きてるんだろ? どういう状況か分かってるか?」

「俺にこんなことしやがって、どうなるか分かってるのか? 今なら俺の配下になれば許してやるから、さっさとこれを解け!」

 やっぱりこれか、隷属魔法をかけてるから、命令すれば問題ないんだけど、チラッ……綾乃を見るといい笑顔で右手の親指を立ててる。

「よし、綾乃、GO!」

「よっしきたー! ウ~ル~ト~ラ~ス~パ~デ~ラ~ック~ス~トゥ~キ~~~~ック!!!」

 皇帝の顔にキレイに攻撃が決まった。やり切ったみたいな感じで、俺の方にまた右手の親指を立てて、こちらに拳を突き出してきていた。

「貴様らこんな事をして『綾乃、もう1発!』いいとおm『ファイヤー!!』ヒデブゥ、ぐぞーわかって『もういっちょ!』いるのk『アイスストーム』、『そう来たか!もっかい!』『ダイヤキュート』、『もうわかってるな?』『了解!、ブレインダムド……ジュゲム……バヨエーン!!』」

「綾乃よくわかってるな!」

「任せておいて! ボッチでゲームばっかしてる時に、よくやったゲームよ!」

 ピーチだけじゃないな、妻たちよ! うらやましそうに見るな! 後で教えてやるから! でもここまで来たらもう1回!

「じゃぁこっちはいけるか? 二Pの掛け声!」

「任せて!『いてっ!』『やったなー!』『げげげっ!』『大打撃!』『ふにゃあー』『いてててて!』『うわぁぁぁー!』」

 掛け声に合わせて、全力で殴る蹴るを行っていた。

「それにしても、一連鎖からやるとは……お主なかなかやるのぅ」

「いえいえ、お代官様ほどでh……あいたっ!」

「それは悪だくみしてる時の掛け合いだろう、今それ使っちゃダメ」

「ならどういえば正解だったのさ!」

「正解はないんだが、俺なら……貴方ほどではござらんよ。とでもいうかな?」

「ぶーb『置いてくぞ?』……ナニモイッテナイヨ」

 さて気を取り直して話し合いと行こうか。
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