ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第387話 新キャラ登場

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投稿時間をミスってました。
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「スーパーウルトラーデラックスードロップキーーック」

 囚われの勇者の部屋へ入った途端、女の子の元気な声で、必殺技のような掛け声があったと言えばいいのだろうか? ただのドロップキックなのだが、仰々しく頭に色々つけてみただけだろう。チンマイためか、ドロップキックだったはずが、胸に辛うじて届くくらいの高さしかなかった。

 それもシュリの盾に防がれて、そのまま頭から床に落ちて痛みでもがいている。なんだろうなこのキャラ? めっちゃ面白そうな予感!

「ご主人様、この女の子が本当に勇者なんですか?」

「多分勇者だと思うぞ! こいつが視界に入ったらちょっと嫌な感じがしたからな」

「ちょっとあんたたち! こんな可愛い娘が痛がってるんだから、少しくらい心配しなさいよ! あれ? あんた日本人ね? でも何かしら? あなたを見てるとムラッとじゃなかった、イラッとする感じがするわね。何この感じ?」

「自分で可愛いとか言っちゃう系の痛い奴だったか? まぁいい、お前は勇者だな? 女神たちに召喚されたって聞いてるけど、それであってるか?」

「あれが女神っていうなら私の方が女神にふさわしいわね! どう見たって一人はオークレディって見た目だったわよ? でも、召喚された時にオークレディが私に何か言ってたわね。ダンマスがうんたらかんたら……なんだったっけな?」

「ダンマスを倒すために召喚した、とかそこらへんじゃないのか?」

「あ! そんな感じだったわね」

「その倒せと言っていたダンマスが俺だ。ここにいる事からわかるように、この国の上層部は全員ぶつ……っと違うな、話し合いで解決してきた。

 俺の街にこれ以上手出しする事はなくなったって、そんな事君に言っても意味が分かるわけないか。簡単な話、女神たちの暗躍で勇者たちに暗殺されそうになった俺と、暗殺しようとしていた帝国との間の問題は、話し合いの末に解決したって感じだな」

「物理で解決してきたのね。簡潔に説明してもらって気がするけど、私ってこの世界の事、この国の事って全く分からないから、あなたが言ってる事もいまいち理解できてないんだけど。ダンマスを殺そうとしてたのは女神たちじゃないの? それなのにこの国が関係しているの?」

「深く話せば違うんだけどな。よし、わかりやすいかは分からないけど説明してやろう。

 勇者とダンマスは、神たちのゲームの駒に過ぎないんだ。そのゲームで俺が活躍しすぎて、召喚した神が大きい顔するのが、あんたたちを呼んだ女神たちが許せなかったようで、邪魔するために君と他三人が呼ばれたみたいだな。

 ちょうど勇者召喚をしていた帝国を利用して四人を送り込み、皇帝が勇者を使って俺を暗殺しようとしていて、死にかけた俺はムカついたので、帝国に乗り込んで話し合いで解決してきた! 以上こんな感じでほぼ間違いないと思う」

『あんたよくわかってるわね! それにしてももう解決するなんて、さすが私が呼んだだけあるわ!』

 突然ちょこちょこ出てくるのやめろや! チビ神! じゃま! また後でな。

「ふ~~ん、私たちは神の遊戯の駒ね。私がもらったスキルもアイテムも、あなたを倒すために神が準備した道具ってことかな? 皇帝にとられちゃったけど。戦闘能力のない私じゃどうにもできないし、与えられたスキルは魔力を消費して素材を作り出す事、一般人から身を守る程度のステータスだったからね」

「ってことは、その素材を生み出す能力のせいで、こんな所に閉じ込められていたのか? それにしても、皇帝に魔法のききが悪かったのは、君のアイテムを持っていたからってことかな? それはそれとして、君はこれからどうしたい?」

「君じゃなくて私には、綾乃って名前があるんだからそう呼んでよね!」

 といった後に悩むしぐさをみせ、う~んう~んと口から声が漏れている。なんだろうな? この漫画によくありそうなテンプレ的な感じ。

「決めたわ! 私の能力を使ってあなたというか、あなたの街だっけ? 召喚された際におっちゃんが、ダンマスはどこかの街の領主的な話をしていたから、そこの役に立つような素材を出すから連れて行ってもいいわよ」

 役に立つから連れて行ってくれって言えないのかなこの娘は。

「別にイヤイヤなら、連れていく理由もないからここに残ったら?」

「え!? ちょっと待ってよぉぉぉぉぉ! そこは連れて行ってやるっていうのがお約束でしょ!」

「別にどっちでもいいんだけど、自分で行きたいって言わない人間を無理に連れてくのはね……」

「ごべんなざい! ごんなどごろにばもういだぐらりまぜん! づれでっでぐだざい!」

 ガチ泣きになって縋り付いて来ようとしたが、シュリが間に入って綾乃の動きを止めた。ん?

「ご主人様にこれ以上不用意に近付くのは許しません! もし操られていたら、また毒付きナイフを刺されるかもしれません!」

「シュリ、そこまで神経質にならなくていいよ。もし洗脳されていたのならここに監禁されるようなことはないだろうからね。

 そもそもの話、俺がここまで攻めてくることを、想定していなかったはずだから、こいつを洗脳する意味ないしな。あの洗脳って何人も死んでるんだろ? 生かしておくから要求された素材を作れってことで、閉じ込められていてもおかしくないしな」

「よぐわがったわね……あのおっさんぶん殴りたい! 私のアイテムも盗んでいったしね! それより、お願いだから連れてってください! もうここにはいたくありません!」

 俺についてくることを了承して立ち直ったようだ。

「わかった、連れだして俺の街へ連れて行ってやるよ。向こうですることは後で決めよう。さすがに何もしないで飯だけ食べれるなんて思ってないよな?」

「それはもちろんよ! 私なら何でも素材なら作り出すことができるから任せておいて!(魔力がもつ限りだけど・・・)」

 後半何か言った気がするけど、まぁいっか。

「他の三人の勇者は神に能力強化してもらってたけど……えっと、綾乃にはそういうの無かったのか?」

「私は、アイテムと素材を作り出す能力に、レベルにすると五十位のステータスを与えたとか、言ってた気がするわ」

 レベル五十位なら、確かに一般人にからまれても大丈夫だけど、熟練の兵士たちが相手では戦闘経験のない人間では、さすがに対抗できないか。インペリアルガードたちは強かったからな。

「皇帝は、死なせない限りどれだけボコってもかまわないぞ。一撃で死なない限り治してやるからな! 広場に戻るか」

「ご主人様、少しよろしいですか?」

「ん?」

「さすがに綾乃さんの服装は、微妙だと思いますので、適当に服を渡していいですか?」

「それもそうだな。どうせなら俺が出すか?」

「大丈夫です。着なくなった服があったので、レザー系の装備の下に着れる物を出します」

 そういうと綾乃の目が光ったように見えた。めっちゃ食いついてるな。女の子? だからだろうか? 着替えをする前に俺は部屋の外に出て、ついてきたスライムズと廊下で遊ぶことにした。

 着替えて出てきた綾乃は「おっさんぶっ殺す!」とか言っていたので、殺しは無しだと一応言っておいた。この世界で殺すっていう言葉は軽いからな。
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