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第386話 忘れられた勇者
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皇帝が大岩に潰された場所を見て、未だに小さくなり続ける大岩を見て、俺達は唖然としている。
「これで皇帝って生きてると思うか? ステータス的にはかなり高かったから死なない気がするけど」
「マップ先生を見れば分かるのではないでしょうか? 私は皇帝の生死より、イリアが魔法で作った大岩が、小さくなっている事の方が気になりますね。このような現象は初めて見ましたので、とても気になる所です」
「おっと、普段からマップ先生に頼っているのに、こういう時になると忘れてしまう。ごめんよ、マップ先生。ポチっとな、まだ辛うじて生きてるな。この様子なら死ぬ前には、岩も消えそうだし大丈夫だな」
喧嘩というほどではないが、シェリルとネルがイリアに猛抗議していた。俺の警告が遅れても避けれたと思うが、もし巻き込まれた時の事を考えると、二人が抗議する気持ちもわからなくないが、このままにしておくのもよくないよな。
三幼女に近付いていき、イリアを抱きかかえ肩車をする。その後にシェリルとネルを片手ずつで抱っこする。シェリルとネルはそれである程度ご機嫌になったのだが、イリアはまだふくれっ面をして不満をあらわにしているようだ。
「イリア、どうかしたのか?」
「だって、あのおじさんの近くに魔法を撃つと魔法の制御がおかしくなるんだもん! 精霊さんたちも嫌がるわけじゃないけど、あのおじさんに効果的な攻撃ができないからプンプンなの! 私も怒ったから精霊さんたちに頼んで、ご主人様の真似をしてみただけだもん!」
「やっぱり魔法の制御が弱くなってたんだ。初めに使ってたバインド系の魔法も、簡単に引きちぎられてたもんな。もしかして、エアリペットの時も制御がおかしくなったのか?」
「そうなの! あのおじさんに近付くにつれて魔法の制御が難しくなるから、途中で制御ができなくなって途中で発動しちゃったの! あのおじさん嫌い!」
「ご主人様、マップ先生を見る限り特殊なスキルがあるわけではないので、もしかしたら魔導具の類ではないでしょうか?」
「魔法の制御をし難くする。魔法の効果を下げる。の二つの能力がありそうかな? 早い段階で四大精霊から結界の存在を聞いてたから、防ぐ事は考えてたけど効果を弱めるっていう事は、ほとんど考えた事が無かったな。おっと、岩がそろそろ消えるな。三人はこのままでいいか?」
「「「うん!」」」
イリアも多少だが機嫌がよくなったようで、シェリルとネルに今回の事を謝っている。
「シュリ、ピーチ、アリス、ライム、ちょっと確認してきてくれ。裸に引ん剝く必要はないけど、装備は全部取っておいてくれ。後は猿轡もはめてくれ。全部終わったら、話せるくらいまでは回復してやろう」
俺の指示に従って四人が動き出した。初めに猿轡をはめて、鎧などを剥ぎ取り装飾品も外して、何も持っていない事を確認した所で、ロイヤルガードたちと同じように簀巻きにされていた。空もだいぶ明るくなってきたので、城に戻ることにした。
帰りながらふと思ったのだが、このまま皇帝と城で働いていた文官がいなくなったら、混乱必至じゃねえか? 面倒なことに巻き込まれそうな気がする。皇帝には今のうちに隷属魔法をかけて、支配しとくか?
俺たちに危害が加わらないのであれば、問題なく行動できるとかにしておけば、大抵の事は回避できるかね? 支配するのは面倒なので、そういう事にしておこう!
文官たちも全員隷属魔法をかけて、ディストピアに害がないように頑張ってもらおうか! ただ、インペリアルガードの十二人と勇者三人は、強制的に表舞台から退場だけどな。何か忘れている気がする?
今思いついたことをピーチに話すと、「それでいいと思います」と返答が帰ってきた。妻たちってこういった際の意見の時は、ほとんど反対することがないんだよな。何でかね?
「何かやり忘れている気がするんだけど、誰かこれじゃないかなってことないか?」
みんな一緒になって首をかしげている。そこでネルがぽつりと一言。
「勇者って四人いるって言ってなかったっけ?」
「「「「それだ!」」」」
俺以外にも妻の何人かが、喉のつっかえがとれたようにいい笑顔になる。
「城のどっかに隔離だかされている勇者が確かにいたな。終わったらどうにかするとか言ってた気が……なんで隔離されてるんだっけ? 勇者たちから聞くの忘れてたな。どうせ城に向かうんだし、ついでに部屋から出してやるか」
方針が決まったので、狼の従魔たちにひかせている馬車? の中でのんびりすることにした。
ウォーホースと比べれば、力がない気がするが、普通の馬から見れば数倍速く進んでいるので、十分な機動力だろう。こいつらがウォーホースのマネなんてすることないからな、少しだけ頑張ってくれ!
城壁が見えてきた。あっ! 皇帝を簀巻きにしているのに、皇都の中に入れるのか? もう明るくなってきちゃったし、出てくる時みたいに壁を上ってくわけにもいかないしな。
「どうやって中にはいろっか?」
「ご主人様、マップ先生をご覧ください」
ピーチに差し出されたタブレットには、1本の地下道が映っていた。
「あっ! ディストピアから来た時に使った地下通路か! 物忘れが激しいな、穴掘るからそこから城に向かおうか」
ダンマスのスキルを使って、地下通路に続く道を作っていく。城の広場に文官も集めてちゃっちゃと隷属魔法をかけてくか。性気を吸っているサキュバス、インキュバスたちに連絡して連れてきてもらおうとしたところ、全員連れていくのには時間がかかると言われてしまった。
なぜ? って簡単な話だった。
サキュバス曰く、ちょっと性気を吸いすぎちゃって、みんな腰が砕けてるの。担いで持っていくので時間がかかります! テヘペロ! みたいな感じだ。
一時間後に全員集まったが、臭い! 非常に臭い! 確実にサキュバスたちのせいだな。魔法でお湯を作り出して、消防車の火消しの時みたいに大量のお湯をかけて押し流した。
一人ひとりに隷属魔法をかけていくのがめんどくさいと思って、まとめてできないかと思っていたら、範囲指定をして一気に隷属させることもできるようだ。そのまんま全員を隷属させておいた。
さて、残りの勇者を迎えに行くか!
あれ? 隷属魔法って、魔物だけじゃなくて人にも使えるんだな。
「これで皇帝って生きてると思うか? ステータス的にはかなり高かったから死なない気がするけど」
「マップ先生を見れば分かるのではないでしょうか? 私は皇帝の生死より、イリアが魔法で作った大岩が、小さくなっている事の方が気になりますね。このような現象は初めて見ましたので、とても気になる所です」
「おっと、普段からマップ先生に頼っているのに、こういう時になると忘れてしまう。ごめんよ、マップ先生。ポチっとな、まだ辛うじて生きてるな。この様子なら死ぬ前には、岩も消えそうだし大丈夫だな」
喧嘩というほどではないが、シェリルとネルがイリアに猛抗議していた。俺の警告が遅れても避けれたと思うが、もし巻き込まれた時の事を考えると、二人が抗議する気持ちもわからなくないが、このままにしておくのもよくないよな。
三幼女に近付いていき、イリアを抱きかかえ肩車をする。その後にシェリルとネルを片手ずつで抱っこする。シェリルとネルはそれである程度ご機嫌になったのだが、イリアはまだふくれっ面をして不満をあらわにしているようだ。
「イリア、どうかしたのか?」
「だって、あのおじさんの近くに魔法を撃つと魔法の制御がおかしくなるんだもん! 精霊さんたちも嫌がるわけじゃないけど、あのおじさんに効果的な攻撃ができないからプンプンなの! 私も怒ったから精霊さんたちに頼んで、ご主人様の真似をしてみただけだもん!」
「やっぱり魔法の制御が弱くなってたんだ。初めに使ってたバインド系の魔法も、簡単に引きちぎられてたもんな。もしかして、エアリペットの時も制御がおかしくなったのか?」
「そうなの! あのおじさんに近付くにつれて魔法の制御が難しくなるから、途中で制御ができなくなって途中で発動しちゃったの! あのおじさん嫌い!」
「ご主人様、マップ先生を見る限り特殊なスキルがあるわけではないので、もしかしたら魔導具の類ではないでしょうか?」
「魔法の制御をし難くする。魔法の効果を下げる。の二つの能力がありそうかな? 早い段階で四大精霊から結界の存在を聞いてたから、防ぐ事は考えてたけど効果を弱めるっていう事は、ほとんど考えた事が無かったな。おっと、岩がそろそろ消えるな。三人はこのままでいいか?」
「「「うん!」」」
イリアも多少だが機嫌がよくなったようで、シェリルとネルに今回の事を謝っている。
「シュリ、ピーチ、アリス、ライム、ちょっと確認してきてくれ。裸に引ん剝く必要はないけど、装備は全部取っておいてくれ。後は猿轡もはめてくれ。全部終わったら、話せるくらいまでは回復してやろう」
俺の指示に従って四人が動き出した。初めに猿轡をはめて、鎧などを剥ぎ取り装飾品も外して、何も持っていない事を確認した所で、ロイヤルガードたちと同じように簀巻きにされていた。空もだいぶ明るくなってきたので、城に戻ることにした。
帰りながらふと思ったのだが、このまま皇帝と城で働いていた文官がいなくなったら、混乱必至じゃねえか? 面倒なことに巻き込まれそうな気がする。皇帝には今のうちに隷属魔法をかけて、支配しとくか?
俺たちに危害が加わらないのであれば、問題なく行動できるとかにしておけば、大抵の事は回避できるかね? 支配するのは面倒なので、そういう事にしておこう!
文官たちも全員隷属魔法をかけて、ディストピアに害がないように頑張ってもらおうか! ただ、インペリアルガードの十二人と勇者三人は、強制的に表舞台から退場だけどな。何か忘れている気がする?
今思いついたことをピーチに話すと、「それでいいと思います」と返答が帰ってきた。妻たちってこういった際の意見の時は、ほとんど反対することがないんだよな。何でかね?
「何かやり忘れている気がするんだけど、誰かこれじゃないかなってことないか?」
みんな一緒になって首をかしげている。そこでネルがぽつりと一言。
「勇者って四人いるって言ってなかったっけ?」
「「「「それだ!」」」」
俺以外にも妻の何人かが、喉のつっかえがとれたようにいい笑顔になる。
「城のどっかに隔離だかされている勇者が確かにいたな。終わったらどうにかするとか言ってた気が……なんで隔離されてるんだっけ? 勇者たちから聞くの忘れてたな。どうせ城に向かうんだし、ついでに部屋から出してやるか」
方針が決まったので、狼の従魔たちにひかせている馬車? の中でのんびりすることにした。
ウォーホースと比べれば、力がない気がするが、普通の馬から見れば数倍速く進んでいるので、十分な機動力だろう。こいつらがウォーホースのマネなんてすることないからな、少しだけ頑張ってくれ!
城壁が見えてきた。あっ! 皇帝を簀巻きにしているのに、皇都の中に入れるのか? もう明るくなってきちゃったし、出てくる時みたいに壁を上ってくわけにもいかないしな。
「どうやって中にはいろっか?」
「ご主人様、マップ先生をご覧ください」
ピーチに差し出されたタブレットには、1本の地下道が映っていた。
「あっ! ディストピアから来た時に使った地下通路か! 物忘れが激しいな、穴掘るからそこから城に向かおうか」
ダンマスのスキルを使って、地下通路に続く道を作っていく。城の広場に文官も集めてちゃっちゃと隷属魔法をかけてくか。性気を吸っているサキュバス、インキュバスたちに連絡して連れてきてもらおうとしたところ、全員連れていくのには時間がかかると言われてしまった。
なぜ? って簡単な話だった。
サキュバス曰く、ちょっと性気を吸いすぎちゃって、みんな腰が砕けてるの。担いで持っていくので時間がかかります! テヘペロ! みたいな感じだ。
一時間後に全員集まったが、臭い! 非常に臭い! 確実にサキュバスたちのせいだな。魔法でお湯を作り出して、消防車の火消しの時みたいに大量のお湯をかけて押し流した。
一人ひとりに隷属魔法をかけていくのがめんどくさいと思って、まとめてできないかと思っていたら、範囲指定をして一気に隷属させることもできるようだ。そのまんま全員を隷属させておいた。
さて、残りの勇者を迎えに行くか!
あれ? 隷属魔法って、魔物だけじゃなくて人にも使えるんだな。
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